転職前の有給消化、どう過ごす？有意義な時間にするためのヒントと注意点

転職が決まり、現在の職場を退職するまでの間に取得する「有給休暇」。まとまった休みが取れるこの期間を、どのように過ごせば良いのか、あるいは過ごすべきなのか、悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。単に休息するだけでなく、次の仕事への準備や、普段できないことに挑戦する絶好の機会とも言えます。

この記事では、転職前の有給消化期間を有意義に過ごすための様々なアイデアや、その期間中に気をつけておきたいポイント、そして社会保険や税金に関する注意点などを分かりやすく解説します。新しいキャリアへのスムーズな移行と、心身のリフレッシュのために、ぜひ参考にしてください。

なぜ有給休暇の消化が推奨されるのか？

有給休暇（年次有給休暇）は、労働基準法で定められた労働者の権利です。心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与されるものであり、退職時に残っている有給休暇を消化することは、基本的に労働者の自由です。

• 権利の行使: 法律で認められた当然の権利を有効に活用する。
• 心身のリフレッシュ: これまでの仕事の疲れを癒し、新しい環境に向けて心身ともに良い状態でスタートを切るため。
• 次の仕事への準備期間: 新しい職場に関する情報収集や、必要な知識・スキルの予習、生活リズムの調整など、スムーズな移行のための準備に充てる。
• プライベートの充実: 普段なかなかできない趣味や旅行、家族との時間などを楽しむ。

有給消化中の過ごし方：目的別アイデア集

有給消化期間をどのように過ごすかは、個人の状況や価値観によって様々です。ここでは、いくつかの目的別に過ごし方のアイデアをご紹介します。

1. 次の仕事への準備・スキルアップ

新しい職場でスムーズにスタートダッシュを切りたい、あるいはキャリアアップを目指したいという方は、この期間を自己投資の時間に充てるのも良いでしょう。

• 業界・企業研究の深化: 転職先の業界動向や、入社する企業について、より深く情報を収集し、理解を深めます。
• 関連知識・スキルの学習: 新しい仕事で必要となる専門知識やスキルがあれば、書籍を読んだり、オンライン講座を受講したりして予習・復習を行います。
• 資格取得の勉強: 業務に関連する資格や、以前から興味のあった資格の取得に向けて集中的に勉強するのも良いでしょう。
• 語学力の向上: オンライン英会話や教材を使って、語学力のブラッシュアップを図ります。
• 生活リズムの調整: 新しい職場の勤務時間に合わせ、起床時間や就寝時間など、生活リズムを整えておきます。

2. 心身のリフレッシュ・自己メンテナンス

これまでの仕事の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュすることも非常に大切です。

• 十分な睡眠と休息: 普段不足しがちな睡眠時間を確保し、ゆっくりと体を休めます。
• 趣味や好きなことに没頭する: 読書、映画鑑賞、音楽、スポーツ、手芸、ガーデニングなど、自分が心から楽しめることに時間を使いましょう。
• 旅行（国内・海外）: 時間に余裕があるこの時期だからこそ、行ってみたかった場所へ旅行に出かけるのも良いリフレッシュになります。
• 健康管理・体力づくり: バランスの取れた食事を心がけ、ウォーキングやジョギング、ジム通いなど、適度な運動を取り入れて体力を向上させましょう。
• 美容やメンテナンス: エステやマッサージ、ヘアサロン、歯科検診など、普段なかなか時間を取れない自分自身のケアに時間を充てるのも良いでしょう。

3. やりたかったこと・後回しにしていたことの実践

仕事が忙しくてなかなかできなかったことや、後回しにしていたことに取り組むチャンスです。

• 部屋の片付け・断捨離: 新しい生活に向けて、身の回りを整理整頓し、不要なものを処分してスッキリしましょう。
• 友人・知人との交流: しばらく会えていなかった友人と食事に行ったり、恩師を訪ねたりするのも良いでしょう。
• 平日にしかできない手続き: 役所や銀行、郵便局など、平日の日中にしか対応していない手続きがあれば、この期間に済ませておくとスムーズです。
• 運転免許の更新や各種講習の受講（必要な場合）。

4. その他：社会との繋がりや新しい発見

• 短期のボランティア活動: 興味のある分野でのボランティア活動は、新しい経験や人との出会いをもたらし、社会貢献にも繋がります。
• 単発のアルバイト（就業規則の確認が必要）: 短期間だけ興味のある仕事を体験してみたり、少しでも収入を得たりすることも考えられます。ただし、後述する「有給消化中の注意点」を必ず確認してください。

有給消化中の注意点：知っておくべきこと

有給消化期間は自由な時間が多いですが、いくつか注意しておきたい点があります。

• 在籍企業との雇用契約は継続中: 有給休暇を取得している間も、退職日までは現在の会社との雇用契約は継続しています。そのため、会社の就業規則（副業禁止規定、情報漏洩に関する規定など）は引き続き遵守する必要があります。
• 社会保険・雇用保険の扱い:
  • 社会保険（健康保険・厚生年金保険）： 退職日まで被保険者資格が継続します。そのため、有給消化中も社会保険料は発生し、通常通り給与から控除されるか、退職時に精算されることになります。
  • 雇用保険: こちらも退職日まで被保険者資格が継続します。
• 次の会社での就労（二重就労の問題）:
  • 原則として避けるべき: 有給消化期間中に、まだ在籍している会社の許可なく新しい会社で働き始めると、「二重就労」となり、就業規則違反として問題になる可能性があります（懲戒処分の対象となることも）。最悪の場合、新しい会社の内定が取り消されるリスクも考えられます。
  • どうしても必要な場合: 現職と転職先の双方の就業規則を確認し、両社から明確な許可を得た上で、雇用保険や社会保険の手続きについてもしっかりと調整する必要があります。手続きが煩雑になるため、一般的には推奨されません。
• 引き継ぎに関する連絡: 円満に引き継ぎを終えていたとしても、万が一、後任者や関係者から業務に関する問い合わせの連絡が入る可能性もゼロではありません。緊急性の高いものに対応できるよう、ある程度の連絡体制は考えておくと良いでしょう（ただし、休暇中に過度な業務対応を求められるのは問題です）。
• 生活リズムの維持: 時間の制約がなくなると、つい夜更かしをして昼夜逆転の生活になりがちです。新しい職場での生活にスムーズに適応するためにも、ある程度規則正しい生活リズムを保つよう心がけましょう。
• モチベーションの維持（転職活動が続く場合）: もしまだ転職先が決まっておらず、有給消化中に転職活動を続ける場合は、適度な緊張感を保ち、モチベーションが低下しないように自己管理することが大切です。

有給消化中の社会保険料や税金について

• 社会保険料: 前述の通り、有給消化中も退職日までは被保険者資格があるため、社会保険料は発生します。
• 住民税: 住民税は前年の所得に対して課税されます。退職時期によって、最後の給与や退職金から一括で天引きされるか、後日送られてくる納税通知書に従って自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。
• 所得税: 有給消化中の給与からも所得税は源泉徴収されます。年の途中で退職し、年内に再就職しなかった場合などは、確定申告を行うことで納めすぎた所得税が還付されることがあります。

まとめ

転職前の有給消化期間は、これまでの努力を労い、心身をリフレッシュさせ、そして新しいキャリアへの準備を整えるための貴重な時間です。単に「休み」と捉えるだけでなく、目的意識を持って計画的に過ごすことで、その価値は大きく高まります。

会社の就業規則や社会保険などのルールを理解し、周囲への配慮も忘れずに、あなたにとって最も有意義な過ごし方を見つけてください。そして、万全の状態で新しい職場でのスタートを切れるよう、この期間を有効に活用しましょう。あなたの新しい門出を心から応援しています。

本サイトがおすすめする転職エージェント

JACリクルートメント

特徴から登録方法、活用ポイント、評判を解説

JACリクルートメント登録ガイド

理想の職場・仕事を見つけませんか？

おすすめ転職コンテンツ

「キャリアプランの計画」「応募書類の作成」
「面接対策」「企業との年収交渉」など
転職希望者におすすめのコンテンツを紹介

キャリアプランの計画にお困りの方はコチラ

キャリアプラン案内所

履歴書や職務経歴書の作成にお困りの方はコチラ

応募書類マスター

面接試験にお困りの方はコチラ

面接のトリセツ

企業との年収交渉にお困りの方はコチラ

給与交渉ナビ

岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

X

ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。