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転職時の「月末入社」:給与や社会保険、手続きはどうなる?

岩下隼人
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転職活動を経て、新しい会社への入社日が決まると、様々な準備や手続きが必要になります。その中で、「入社日」が月の初めではなく、「月末」や「月の途中」になるケースもあるでしょう。「月末入社の場合、最初の給与はどうなるの?」「社会保険料の支払いはどうなるんだろう?」「何か特別な手続きは必要?」など、普段あまり意識しないだけに、疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、転職時に「月末入社」となった場合の給与計算の考え方、社会保険料の取り扱い、そして入社前後の手続きについて、分かりやすく解説します。

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なぜ「月末入社」というケースがあるのか?

企業が中途採用者の入社日を月末に設定する、あるいは応募者が月末入社を希望する背景には、いくつかの理由が考えられます。

  • 企業の受け入れ体制の都合:
    • 新しい社員を受け入れるための準備(PCやデスクの用意、研修の準備など)に時間がかかり、キリの良い月末や週初めを入社日とすることがあります。
    • 他の入社者とまとめて入社時研修を行いたい場合など。
  • プロジェクトの区切りや業務の都合:
    • 特定のプロジェクトの開始に合わせて入社日を設定したり、月末の締め業務が落ち着いた後からの合流を想定したりする場合があります。
  • 退職する会社との調整:
    • 在籍していた会社での引き継ぎ業務や有給休暇の消化の関係で、退職日が月末になり、その結果、新しい会社への入社も月末近くになることがあります。
  • 応募者側の希望:
    • 「月末まで現在の会社に在籍し、社会保険料の区切りを良くしたい」「少しでも長く有給休暇を消化したい」といった応募者側の希望が考慮されることもあります。

「月末入社」の場合の給与計算はどうなる?

月の途中で入社した場合、最初の給与計算はどのようになるのでしょうか。

  • 日割り計算が一般的: 多くの企業では、月の途中で入社した場合、最初の給与は**「日割り計算」**で支給されます。つまり、入社日からその月の末日までの勤務日数に応じて給与が計算されます。
  • 日割り計算の方法は企業によって異なる: 給与の日割り計算の方法は、法律で明確に定められているわけではなく、企業の就業規則や給与規程によって異なります。主な計算方法としては、以下のものがあります。
    1. 暦日数で割る方法: 月給額 ÷ その月の暦日数 × 勤務日数
    2. 所定労働日数で割る方法: 月給額 ÷ その月の所定労働日数 × 実働日数
    3. 月平均の所定労働日数で割る方法: 月給額 ÷ 年間の月平均所定労働日数 × 実働日数 どの計算方法を採用しているかによって、支給額が変わってきます。
  • 手当の扱いも確認が必要: 基本給だけでなく、通勤手当や住宅手当といった各種手当が日割り計算の対象となるか、あるいは満額支給されるかなども、企業の規定によります。
  • 入社前に確認を: 最初の給与額は、生活設計にも関わる重要なポイントです。入社前に、人事担当者や採用担当者に、初任給の計算方法について確認しておくと安心です。

月末1日だけの勤務でも、給与は発生します。 ただし、その場合の給与額は日割り計算の結果、非常に少額になる可能性があります。

「月末入社」の場合の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)

社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の扱いは、給与計算とは異なり、日割り計算という考え方はありません。

  • 入社した月から保険料が発生: 社会保険の被保険者資格は、入社日に取得します。そして、社会保険料は資格取得日(入社日)が属する月から発生します。つまり、たとえ月末の1日だけの入社であっても、その月の1ヶ月分の保険料を支払う必要があります。
  • 保険料の徴収(天引き)は翌月の給与からが一般的: 多くの企業では、当月分の社会保険料を翌月の給与から天引きします。例えば、5月31日に入社した場合、5月分の社会保険料が、6月に支払われる給与から天引きされるのが一般的です。
  • 給与が少ない場合の注意点: 月末1日だけの入社などで、初月の給与が日割り計算の結果、社会保険料よりも少なくなってしまうケースも稀にあります。その場合は、差額を会社に支払う必要があるかなど、事前に会社に確認しておくと良いでしょう。

同月得喪について(同じ月に入退社した場合):

もし、同じ月の間に新しい会社に入社し、かつ同じ月内に退職した場合(同月得喪)は、健康保険料は原則として1ヶ月分徴収されますが、厚生年金保険料については、その同じ月内に別の会社で厚生年金保険に加入したり、国民年金(第2号被保険者を除く)に加入したりした場合は、先に資格を喪失した厚生年金保険料の納付が不要となり、後日還付されることがあります。この扱いは複雑なため、該当する場合は会社や年金事務所に確認しましょう。

「月末入社」の場合の雇用保険料

雇用保険料も、入社した月から発生します。

  • 毎月の給与から天引き: 雇用保険料は、毎月の賃金総額に雇用保険料率を乗じて計算され、給与から天引きされます。
  • 日割り計算はなし: 月の途中の入社であっても、その月に支払われる賃金全額が保険料計算の対象となります。

「月末入社」の場合の税金(所得税・住民税)

所得税

  • 毎月の給与から源泉徴収: 所得税は、毎月の給与から源泉徴収(天引き)されます。月末入社の場合も、その月に支払われる給与(日割り計算されたもの)から所得税が源泉徴収されます。
  • 年末調整: 年の途中で入社した場合、原則として年末に新しい会社で年末調整が行われます。その際、前職の源泉徴収票(その年の1月1日から前職の退職日までに支払われた給与に関するもの)を提出し、1年間の所得を合算して正しい所得税額を計算し、過不足を精算します。

住民税

住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に基づいて計算され、翌年の6月から翌々年の5月にかけて納付します。

  • 支払い方法の切り替え:
    • 前職を退職後、無職期間があった場合: 通常、住民税の支払いは給与からの天引き(特別徴収)から、自分で納付する「普通徴収」に切り替わっています。
    • 新しい会社で特別徴収を再開: 月末入社後、新しい会社の人事・経理担当者に申し出れば、手続きを経て、再び給与からの特別徴収に切り替えることができます。切り替えのタイミングによっては、一部の期間は普通徴収で自分で納付する必要が生じることもあります。
  • 切れ目なく転職し、特別徴収を継続している場合: 前職の会社と新しい会社の間で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の手続きが適切に行われていれば、引き続き特別徴収が継続されます。

月末入社に向けて準備しておくこと・確認しておくこと

  • 入社手続き書類の確認: 新しい会社から指示される入社手続きに必要な書類(年金手帳、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、給与振込口座情報、マイナンバーなど)を事前に確認し、漏れなく準備しましょう。
  • 社会保険・税金に関する説明の確認: 入社時のオリエンテーションや、人事担当者からの説明で、社会保険料や税金の控除のタイミング、初任給の計算方法などについて、しっかりと確認しておきましょう。不明な点は遠慮なく質問することが大切です。
  • 前職の退職手続きの完了: 前職の会社から受け取るべき書類(離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書など)が全て揃っているか、退職手続きが完了しているかを確認しておきましょう。
  • 生活費の準備(必要な場合): 月末入社で初月の給与が日割り計算となり、かつ社会保険料の天引きが翌月給与からとなる場合、最初の給与支給までの期間や、手取り額が想定より少なくなる可能性も考慮し、ある程度の生活費を準備しておくと安心です。

まとめ:「月末入社」も計画的に、不明点は確認を

転職時の「月末入社」は、給与計算が日割りになったり、社会保険料の徴収タイミングが通常と異なったりと、月の初めに入社する場合とは少し異なる点があります。しかし、これらの仕組みを事前に理解し、必要な手続きや準備を計画的に行うことで、スムーズな入社と新しい職場での生活のスタートを切ることができます。

最も大切なのは、不明な点や疑問点をそのままにせず、新しい会社の人事・経理担当者に遠慮なく確認することです。この記事が、あなたの「月末入社」に関する不安を少しでも和らげ、新しいキャリアへの円滑な移行の一助となれば幸いです。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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