転職「4月入社」を目指す！成功のためのスケジュールと準備のポイント

「新年度から新しい環境でスタートしたい」「キリの良いタイミングでキャリアチェンジしたい」。転職を考える際、多くの方が一つの目標として意識するのが「4月入社」ではないでしょうか。日本の多くの企業が4月を事業年度の始まりとしているため、この時期は新しい組織体制がスタートしたり、新入社員が入社したりと、会社全体が新たな気持ちで動き出すタイミングです。

この記事では、4月入社を目指す転職活動について、そのメリット・デメリット、適切な準備スケジュール、そして選考を有利に進めるためのポイントなどを分かりやすく解説します。

なぜ「4月入社」が転職の一つの区切りとなるのか？

企業が4月入社の中途採用を行う背景や、転職希望者がこの時期を選ぶ理由には、いくつかの要因があります。

• 企業の事業年度と組織体制の区切り: 日本の多くの企業では、4月が新しい事業年度の開始となります。これに合わせて、新しい組織体制が敷かれたり、新規プロジェクトが始動したり、あるいは年間予算が執行されたりするため、このタイミングで新しい人材を迎え入れたいというニーズが高まります。
• 新卒採用との連携: 4月は新卒社員が入社する時期でもあります。中途採用者もこのタイミングで入社することで、新卒社員と一緒に導入研修を受けられたり、新しいメンバーとして組織に馴染みやすかったりするメリットを企業側が考慮することがあります。
• 3月末での退職者の補充ニーズ: 年度末である3月末で退職する社員も一定数いるため、その後任として4月入社の人材を確保したいという企業の動きがあります。
• 転職希望者側の心理的な区切り: 「新年度から心機一転、新しい環境で頑張りたい」という、心理的な区切りをつけやすいタイミングであると感じる人が多いです。
• 求人数の増加傾向: 上記の理由から、一般的に1月～3月頃は中途採用の求人数が増加する傾向にあり、転職希望者にとっては選択肢が広がる時期と言えます。

4月入社を目指す転職：メリットとデメリット

4月入社には、他の時期の入社と比較していくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット

• 求人数が比較的多い時期に活動できる: 一般的に、企業の採用活動が活発になる1月～3月頃に選考のピークを迎えるため、多くの求人の中から自分に合った企業を選びやすい可能性があります。
• 新年度のスタートに合わせて業務を開始できる: 新しいプロジェクトや組織体制が始まるタイミングで合流できるため、仕事の流れを掴みやすく、周囲にも馴染みやすいと言われています。
• 中途入社向けの研修が用意されている場合がある: 4月入社者が複数いる場合、企業によっては中途入社者向けの合同研修などが実施されることもあり、会社理解を深めたり、同期の仲間を作ったりする良い機会となります。
• 新卒社員と一緒に入社時研修を受けられる可能性も: 企業によっては、新卒社員向けの導入研修に中途採用者も参加できる場合があります。ビジネスマナーの再確認や、企業文化への理解を深めるのに役立ちます。
• ボーナス査定期間への影響（企業による）： 夏のボーナスの査定期間に最初から含まれるため、満額ではないものの、ある程度のボーナス支給が期待できる場合があります（ただし、企業の規定や入社後の評価によります）。

デメリット

• 転職活動の競争率が高い: 求人数が多い一方で、同じように4月入社を目指す転職希望者も多いため、人気企業や好条件の求人では競争率が高くなる傾向があります。
• 選考に時間がかかることがある: 応募者が多いため、書類選考や面接の結果連絡に時間がかかったり、面接日程の調整が難しかったりすることがあります。
• 年末年始や年度末の繁忙期と活動が重なる可能性: 在職中に転職活動を行う場合、1月～3月は多くの企業で年末年始の休暇明けや年度末の繁忙期にあたるため、時間的な制約の中で活動を進める必要があります。
• 退職交渉や引き継ぎが慌ただしくなることも: 3月末での退職を目指す場合、年度末の業務と並行して退職交渉や引き継ぎを行う必要があり、スケジュール的にタイトになる可能性があります。

4月入社を目指す転職活動の理想的なスケジュール

4月入社を目標とする場合、逆算して計画的に転職活動を進めることが非常に重要です。一般的な転職活動期間（応募から内定まで1～2ヶ月、内定から入社まで1ヶ月程度）を考慮すると、以下のようなスケジュールが理想的です。

• 前年の10月～11月頃：準備期間（自己分析・情報収集）
  • 自己分析とキャリアプランの明確化: なぜ転職したいのか、転職して何を実現したいのか、これまでの経験やスキル、自分の強み・弱みなどを徹底的に洗い出し、キャリアプランを具体化します。
  • 業界・企業研究の開始: 興味のある業界や企業の情報を収集し始めます。
  • 応募書類（履歴書・職務経歴書）の準備: ベースとなる応募書類を作成し始めます。
• 前年の12月～当年1月頃：応募開始・書類選考
  • 興味のある企業へ応募を開始します。年末年始休暇を挟むため、企業からの連絡が遅れる可能性も考慮に入れておきましょう。
  • 複数の企業に並行して応募することも検討します。
• 当年1月～2月頃：面接・選考
  • 書類選考を通過した企業との面接が本格化します。一次面接、二次面接、場合によっては最終面接へと進みます。
  • 適性検査や筆記試験が課される場合は、その対策も行います。
• 当年2月～3月上旬頃：内定獲得・条件交渉
  • 内定を得たら、労働条件（給与、勤務時間、休日など）をしっかりと確認し、必要であれば条件交渉を行います。
  • 複数の内定がある場合は、慎重に比較検討し、入社する企業を決定します。
• 当年3月中：退職交渉・業務引き継ぎ・入社準備
  • 現在の勤務先に退職の意思を伝え、退職日を決定し、後任者への業務引き継ぎを責任を持って行います。
  • 新しい会社への入社に必要な書類の準備や、社会保険の手続きなどを行います。
  • 有給休暇が残っていれば、この期間に消化することも検討しましょう。
• 当年4月1日：新しい会社へ入社

重要なポイント:

• 早めの行動開始が鍵: 特に人気企業や競争率の高いポジションを目指す場合は、できるだけ早めに準備を始め、情報収集や応募活動を開始することが、選択肢を広げ、余裕を持った活動に繋がります。
• 在職中の場合は、現在の仕事との両立を計画的に: 面接日程の調整や、退職準備などをスムーズに進めるためには、現在の仕事への支障を最小限に抑えるための計画性と自己管理能力が求められます。
• 転職エージェントの活用も検討: 4月入社向けの求人情報や、選考スケジュールに関するアドバイス、企業との日程調整代行など、専門的なサポートを受けることで、効率的に活動を進めることができます。

4月入社の場合の「年末調整」「ボーナス」「有給休暇」はどうなる？

年末調整

• 4月に入社し、その年の年末（通常12月31日）までその会社に在籍している場合は、原則として新しい勤務先で年末調整が行われます。
• その際、その年の1月1日から前職の退職日までに支払われた給与等に関する「源泉徴収票」を、前職の会社から取り寄せて、新しい会社に提出する必要があります。 これにより、1年間の所得全体を合算して正しい所得税額が計算され、精算されます。

ボーナス（賞与）

• 転職先の夏のボーナス: 多くの企業では、夏のボーナス（6月～7月頃支給が一般的）の査定期間は、例えば前年10月～当年3月（上半期）といった形になっています。4月入社の場合、この査定期間の全て、あるいは一部に在籍していないため、入社初年度の夏のボーナスは支給されないか、あるいは寸志程度の支給となるのが一般的です。 ただし、企業によっては、入社時期や貢献度に応じて一定額を支給する規定を設けている場合もありますので、内定時の労働条件確認の際に確認しておくと良いでしょう。
• 転職先の冬のボーナス: 冬のボーナスの査定期間（例えば当年4月～9月など）には在籍していることになるため、こちらは規定通りに支給される可能性が高いです。

有給休暇

• 年次有給休暇の付与: 労働基準法では、雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に、原則として10労働日の有給休暇が付与されます。
• 4月1日に入社した場合: 上記の原則に基づけば、10月1日に最初の有給休暇が付与されることになります。
• 企業の「前倒し付与」や「一斉付与」の確認: 企業によっては、法律の基準よりも早く（例えば入社時に数日付与など）、あるいは全社員の基準日を統一して（例えば毎年4月1日など）有給休暇を付与する制度を設けている場合があります。これらの扱いは企業の就業規則によって異なりますので、入社前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ：「4月入社」は新たなスタートを切る良いタイミング、計画的な準備で成功を掴もう

「4月入社」を目指す転職活動は、求人数が増加する時期に活動できるメリットがある一方で、競争率の高さや、在職中であれば繁忙期との調整といった課題も伴います。

成功の鍵は、あなた自身のキャリアプランやライフプランと照らし合わせ、なぜ4月入社を目指すのか、その目的を明確にし、そこから逆算して計画的に準備を進めることです。そして、年末調整やボーナス、有給休暇といった待遇面についても、事前にしっかりと情報を収集し、理解しておくことが、入社後のミスマッチを防ぎ、安心して新しいキャリアをスタートさせるための重要なポイントとなります。

この記事が、あなたが「4月入社」という目標を達成し、より良い未来へと繋がる転職を実現するための一助となれば幸いです。あなたの新しい挑戦を心から応援しています。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。