【不動産転職】未経験の悩み、知恵袋のリアルな質問にプロが本音で回答

「不動産業界に挑戦してみたい。でも、知恵袋を見ると『きつい』『やめとけ』という声もあって、正直怖い…」

人生の大きな節目に関わる、やりがいの大きな仕事。そして、成果次第では高収入も夢ではない――。そんな魅力にあふれる不動産業界に、強い関心を抱いているあなた。しかし、その一歩を踏み出す前に、インターネット上で目にするリアルな声に、不安を感じているのではないでしょうか。

ご安心ください。あなたが知恵袋で目にする悩みの多くは、実際に多くの未経験者が直面する、共通の課題です。

この記事では、そんな知恵袋に溢れる、不動産業界への未経験転職に関する「リアルな質問」を厳選し、業界の光と影の両面を知るプロの視点から、その一つひとつに本音で、そして具体的に答えていきます。

Q1.「不動産営業は『きつい』『やめとけ』と書かれていますが、本当ですか？」

A1.「本当」の部分も、「そうでない」部分もあります。大切なのは、「なぜきついか」を正しく理解することです。

知恵袋で「きつい」と言われるのには、主に3つの理由があります。

1. 成果主義（ノルマ）のプレッシャー:多くの不動産会社では、個人の売上目標（ノルマ）が設定されています。目標を達成できない月が続けば、上司からの厳しい指導や、精神的なプレッシャーを感じることは確かにあるでしょう。
2. 労働時間と休日:お客様の都合に合わせて、平日の夜に商談をしたり、土日祝日に物件を案内したりするのが基本です。そのため、勤務時間は不規則になりがちで、カレンダー通りの休みを希望する方には、厳しい環境かもしれません。
3. 精神的なタフさ:数千万円という、お客様の人生で最も高額な商品を扱います。その責任の重さや、時にはお客様からの厳しいご意見に、冷静に対応する精神的なタフさが求められます。

しかし、この「厳しさ」の裏側には、それを上回る大きな魅力があります。

• 大きなやりがい: お客様の人生最大の決断に立ち会い、「あなたのおかげで、最高の家が見つかりました」と心から感謝される瞬間の感動は、何物にも代えがたいものです。
• 正当な評価（高収入）: 年齢や学歴に関係なく、あなたの頑張りと成果が、インセンティブ（歩合給）として給与にダイレクトに反映されます。
• 自己成長: 高い目標に向かって試行錯誤する中で、営業スキルはもちろん、人間的にも大きく成長することができます。

「楽な仕事」ではないことは事実です。しかし、その厳しさを乗り越える覚悟がある人にとっては、大きなリターンが期待できる、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。

Q2.「宅建も知識もありません。全くの未経験でも、本当に大丈夫でしょうか？」

A2. はい、大丈夫です。多くの不動産会社は「入社後の育成」を大前提として考えています。

不動産業界は、未経験者に対して非常に門戸が広い業界です。その理由は、以下の通りです。

• 人柄・ポテンシャル重視の採用:専門知識よりも、お客様に信頼される「誠実さ」や、目標達成への「意欲」といった、人間性が何よりも重視されます。
• 充実した研修制度:不動産の専門知識や営業のノウハウは、入社後の研修で一から丁寧に教えてくれる会社がほとんどです。
• 宅建資格の取得支援:不動産取引に不可欠な国家資格である「宅地建物取引士（宅建）」も、多くの会社が、入社後に取得するための費用補助や勉強会といった、手厚い支援制度を用意しています。

もちろん、「入社前に宅建の勉強を始めている」といった姿勢を見せれば、あなたの熱意が伝わり、選考で非常に有利になることは間違いありません。

Q3.「賃貸と売買、未経験はどちらから始めるべきですか？」

A3. それぞれにメリット・デメリットがあります。あなたのキャリアプランや性格に合わせて選ぶのが良いでしょう。

• 賃貸仲介営業
  • メリット: お客様の検討期間が比較的短く、契約の成功体験を積みやすいのが特徴です。「不動産業界の基本」と「営業のイロハ」を学ぶには、最適なスタート地点と言えます。
  • デメリット: 一件あたりの仲介手数料が売買に比べて低いため、爆発的な高収入は狙いにくい傾向にあります。
• 売買仲介営業
  • メリット: 一件あたりの成果報酬が非常に大きく、若くして高収入を目指せます。より深い専門知識や、高度な交渉力が身につきます。
  • デメリット: お客様の意思決定に時間がかかるため、契約までの期間が長く、成果が出ない時期は精神的にきついこともあります。

まずは「賃貸」で経験を積み、自信をつけてから「売買」に挑戦する、というキャリアパスも一般的です。

Q4.「ブラック企業が多いと聞きます。どうやって見分ければいいですか？」

A4. 求人票の「数字」と、面接での「空気感」にヒントが隠されています。

残念ながら、労働環境が厳しい企業が存在するのも事実です。後悔しないために、以下の点は必ずチェックしましょう。

• 求人票のチェックポイント:
  • 給与体系: 「月給50万円以上可能！」といった派手な言葉だけでなく、安定して支給される**「固定給」**が、あなたの生活を支えられる現実的な金額かを確認しましょう。
  • 休日: 「週休2日制（水曜、他1日）」など、休日が明確に記載されているか。「完全週休2日制」との違いも理解しておきましょう。
  • 研修制度: 「研修あり」だけでなく、その内容が具体的に書かれているか。
• 面接でのチェックポイント:
  • 訪問した際の、社員の方々の表情や職場の雰囲気は、何よりの判断材料です。
  • あなたの質問に対して、誠実に、そして具体的に答えてくれるか。
  • 「1日の仕事の流れ」や「未経験で入社された方のキャリアパス」などを質問し、入社後の働き方が具体的にイメージできるかを確認しましょう。

Q5.「面接で志望動機を聞かれますが、何をアピールすれば良いですか？」

A5.「お金を稼ぎたい」という気持ちを、「お客様への貢献意欲」に変換して伝えましょう。

「稼ぎたいから」という本音は、それ自体が悪いわけではありません。しかし、それをそのまま伝えるのは得策ではありません。

OK例:

• 「お客様の人生における、最も大きな決断の一つである『住まい』選びを、専門家として、そして人生のパートナーとしてサポートし、心から喜んでいただくことに、大きなやりがいを感じます。」
• 「前職の〇〇で培った△△というスキルを活かし、お客様一人ひとりに最適な提案を行うことで、貴社に貢献したいと考えております。」

「稼ぎたい」という気持ちは、**「高い目標を掲げ、成果を出すことで、会社に貢献し、その対価として正当な評価を得たい」**という、プロフェッショナルな言葉に置き換えて伝えましょう。

まとめ：知恵袋の向こう側のあなたへ。リアルを知り、覚悟を持って挑もう

不動産業界は、知恵袋で語られるように、確かに厳しい側面を持つ仕事です。しかし、その厳しさの先には、他では決して得られない、大きな達成感と、自分の力で人生を切り拓いていくという、ダイナミックなやりがいが待っています。

インターネット上の評判だけで判断せず、あなた自身の目で会社を見極め、話を聞き、そして挑戦する覚悟を決めること。それができれば、不動産業界は、あなたの人生をより豊かにする、素晴らしいステージになるはずです。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。