未経験から会計事務所の事務へ転職!成功のポイントと必要な準備を解説
「会計や税務の専門知識を身につけたいけれど、実務経験がない…」「未経験でも会計事務所の事務として働けるのだろうか?」そんな思いや疑問を抱えながら、会計事務所の事務職への転職を検討している方もいらっしゃるでしょう。会計事務所の仕事は専門性が高いイメージがありますが、未経験からでも挑戦し、キャリアを築いていくことは十分に可能です。
この記事では、未経験から会計事務所の事務職への転職を目指すあなたのために、仕事内容の理解から、求められるスキルや資格、効果的な求人の探し方、そして応募書類の作成や面接対策のポイントまで、成功への道のりを具体的に解説します。
未経験でも会計事務所の事務になれる?その可能性と事務所側の視点
まず、未経験者が会計事務所の事務職として採用される可能性についてですが、決して閉ざされているわけではありません。多くの会計事務所が、経験者だけでなく、ポテンシャルを秘めた未経験者の採用も視野に入れています。
- 会計事務所における事務職の役割と重要性: 会計事務所の事務職は、税理士や公認会計士といった専門家がスムーズに業務を遂行できるよう、記帳代行、書類作成、データ入力、クライアント対応など、多岐にわたるサポート業務を担います。その正確かつ効率的な仕事ぶりは、事務所の信頼性やクライアント満足度に直結する重要な役割です。
- 未経験者採用の現状と事務所側の視点: 会計事務所によっては、人手不足の解消や、将来の育成を見据えて未経験者を採用するケースがあります。その際、事務所側が未経験者に期待するのは、これまでの実務経験よりも、むしろ以下のような点です。
- 学習意欲の高さ: 会計や税務の知識は専門性が高いため、新しいことを積極的に学び、吸収しようとする意欲。
- 人柄とコミュニケーション能力: クライアントや所長、先輩スタッフと円滑な関係を築けるか。
- 基本的なPCスキル: WordやExcelといった基本的な操作能力。
- 簿記への関心・知識: 簿記の資格を取得している、あるいは学習経験があることは、会計業務への関心の高さを示すものとして評価されます。
- ポテンシャル: 将来的に成長し、事務所に貢献してくれる可能性。
- 未経験者が抱えやすい不安とその対処法: 「専門知識がないとついていけないのでは…」「実務経験がないと迷惑をかけるのでは…」といった不安は当然です。しかし、多くの会計事務所では、入社後の研修制度やOJT(On-the-Job Training)を通じて、必要な知識やスキルを段階的に習得できる体制を整えています。まずは、学ぶ姿勢と向上心を持つことが大切です。
会計事務所の事務の主な仕事内容(未経験者が担当しやすい業務から)
未経験から会計事務所の事務職に就いた場合、最初は比較的取り組みやすい業務からスタートし、徐々に専門的な業務へとステップアップしていくのが一般的です。
初期に任されやすい業務
- 書類整理・ファイリング: クライアントから預かった領収書や請求書、過去の申告書類などを整理し、適切にファイリングします。
- データ入力(会計ソフトへの簡単な入力補助): 指示に従い、会計ソフトへ基本的な取引データを入力する作業の補助。
- 電話・来客対応、庶務業務: クライアントや税務署などからの電話の一次対応、来客時の受付やお茶出し、郵便物の仕分け、事務所内の清掃や備品管理といった一般的な庶務業務。
徐々にステップアップしていく業務
経験やスキルに応じて、以下のような専門的な業務にも携わるようになります。
- 記帳代行の補助: 会計ソフトへの本格的な仕訳入力。
- 簡単な試算表作成の補助: 月次試算表の作成に必要なデータの取りまとめや入力。
- 請求書発行、経費精算: 事務所の請求書発行や経費精算業務。
- 税理士・会計士のスケジュール管理補助: 会議やクライアント訪問などのスケジュール調整。
- 将来的には、決算業務の補助や簡単な税務申告書の作成補助といった、より高度な業務に関わることもあります。
事務所の規模や教育体制によって、任される業務の範囲やステップアップのスピードは異なります。
未経験者が会計事務所の事務へ転職する際にアピールできる強み
会計事務所での実務経験がなくても、これまでの経験の中で培ってきたスキルやあなたの強みは、必ずアピールポイントになります。
ポータブルスキル
- コミュニケーション能力: 前職での接客経験や営業経験、社内での調整業務などで培った、相手に分かりやすく伝える力、丁寧に話を聞く力は、クライアント対応や所内連携で活かせます。
- 基本的なPCスキル: Wordでの文書作成経験や、Excelでのデータ入力・簡単な集計経験は、会計事務所の業務でも必須です。
- 正確性・几帳面さ: 前職で細かい作業や数字を扱う業務に携わっていた経験があれば、会計事務所で求められる正確性や緻密さへの適性をアピールできます。
- 学習意欲と向上心: 新しい知識やスキルを積極的に学び、吸収しようとする姿勢は、未経験者にとって最も重要なアピールポイントの一つです。
- 責任感と誠実さ: 任された仕事を最後まで責任を持ってやり遂げる力や、真摯に業務に取り組む姿勢は、どの職場でも評価されます。
簿記資格取得などの自己啓発
日商簿記などの資格を取得している、あるいは現在取得に向けて勉強中であることは、会計・税務分野への強い関心と学習意欲を具体的に示すことができます。
なぜ会計事務所の事務職に興味を持ったのかという明確な理由
「数字を扱う仕事に興味がある」「専門知識を身につけて長く働きたい」「企業の経営をサポートする仕事にやりがいを感じる」など、あなた自身の言葉で、会計事務所の事務職を選んだ理由を明確に伝えることが大切です。
未経験から会計事務所の事務を目指すために準備すべきこと・有利になる資格
未経験から会計事務所の事務職への転職を成功させるためには、事前の準備が非常に重要です。
必須となる準備
- 簿記の知識の習得: 日商簿記3級は最低限の知識として、できれば日商簿記2級の取得を目指しましょう。 簿記の知識は、会計事務所の業務を理解し、遂行する上で基礎中の基礎となります。資格を取得することで、知識レベルを客観的に証明できます。
- 基本的なPCスキル(特にExcel)の習得・向上: WordやExcelの基本操作はもちろん、ExcelであればSUM関数、IF関数、VLOOKUP関数といった基本的な関数や、効率的なデータ入力方法などを習得しておくと、実務で役立ちます。
- 会計・税務に関する基礎知識の学習: 簿記の学習と並行して、会計や税務に関する入門書を読んだり、オンライン講座を受講したりして、基本的な知識を身につけておくと、入社後の業務理解がスムーズになります。
有利になる資格
- 日商簿記検定(2級以上が理想): 最も代表的で、会計事務所での評価も高い資格です。
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト、特にExcel): PCスキルを客観的に証明できます。
- 全経簿記能力検定: 日商簿記と同様に評価される簿記資格です。
- (可能であれば)税理士試験の会計科目(簿記論、財務諸表論)の学習経験: 税理士を目指している、あるいは過去に学習経験がある場合は、会計への深い関心と知識レベルを示す上で非常に有利です。
未経験者向け会計事務所の事務求人の探し方と選び方のポイント
未経験者を対象とした会計事務所の事務求人を見つけるためには、探し方にも工夫が必要です。
- 求人サイトの活用法: 「会計事務所 事務 未経験」「税理士事務所 アシスタント 未経験 正社員」「簿記3級 活かせる 事務」といったキーワードで検索してみましょう。勤務地や雇用形態(正社員、パートなど)などの条件も絞り込めます。
- 会計・税務業界に特化した求人サイトや転職エージェントの利用: これらの専門媒体では、未経験者向けの求人情報や、業界に精通したキャリアアドバイザーからのサポートを受けられる可能性があります。
- ハローワークの活用: 地元の会計事務所の求人が見つかることがあります。また、簿記やPCスキルに関する職業訓練の情報なども得られます。
- 求人選びのポイント(未経験者向け):
- 「未経験者歓迎」「研修制度あり」「OJT充実」などの記載: これらの記載がある事務所は、未経験者の受け入れに積極的である可能性が高いです。
- 教育体制・サポート体制が整っているか: 入社後に安心して業務を覚えられるような研修制度や、先輩スタッフからの指導・サポート体制が整っているかを確認しましょう。
- 事務所の規模や雰囲気: 最初は、比較的アットホームな雰囲気の小規模な事務所で、幅広い業務を経験しながら学ぶというのも一つの方法です。
- アシスタント業務からのスタートアップが可能か: まずは補助的な業務からスタートし、徐々に専門的な業務へとステップアップできるような求人かどうかも確認ポイントです。
【未経験者向け】応募書類(履歴書・職務経歴書)作成のコツ
応募書類は、あなたの熱意とポテンシャルを伝えるための最初の関門です。未経験であることを踏まえ、以下のポイントを意識して作成しましょう。
- 志望動機:なぜ未経験から会計事務所の事務を目指すのか、会計・税務への強い関心と学習意欲を具体的に。 「簿記の学習を通じて会計の面白さに目覚め、専門知識を活かして企業経営をサポートする会計事務所の仕事に強い魅力を感じました」「未経験ではございますが、貴事務所で実務経験を積みながら、一日も早く戦力となれるよう、積極的に知識やスキルを吸収していきたいと考えております」など、具体的なきっかけや熱意、そして学習意欲を自分の言葉で記述しましょう。
- 自己PR:これまでの経験で培ったポータブルスキルを、会計事務所の業務とどう結びつけられるかをアピール。簿記学習の経験や意欲も。 「前職の〇〇業務で培った、細部まで注意を払う正確性と、複数のタスクを効率的に処理する段取り力は、会計事務所でのデータ入力や書類管理業務においても必ず活かせると考えております。日商簿記2級の資格取得に向けて現在勉強中であり、会計に関する知識習得にも積極的に取り組んでおります」というように、これまでの経験と会計事務所の業務を結びつけて説明します。
- 職務経歴:事務経験がなくても、これまでの職務内容や役割、そこから学んだことをポジティブに記述。 担当した業務内容、期間、そして具体的な実績(数値化できるものがあれば尚良い)や、そこから何を学び、どのようなスキルを身につけたのかを、前向きな言葉で分かりやすく記載します。
- 保有資格(簿記など)は必ず明記。現在勉強中の資格もアピール可。 取得年月日とともに正確に記載します。現在学習中の資格があれば、それも付記することで学習意欲を示すことができます。
- 丁寧かつ正確に作成し、誤字脱字がないように(会計事務所に求められる資質)。 会計事務所の事務に求められる最も重要な資質の一つである「正確性」を、応募書類の段階から示すことが大切です。提出前には必ず複数回チェックしましょう。
【未経験者向け】面接対策:会計事務所の事務採用を勝ち取るために
面接は、あなたの熱意や人柄、そして会計事務所の事務への適性を直接伝える絶好の機会です。未経験であることを強みに変えられるように、しっかりと準備しましょう。
- よく聞かれる質問への準備: 自己PR、志望動機、転職理由(前職がある場合)、長所・短所、学生時代に力を入れたこと(新卒・既卒の場合)などに加え、「なぜ会計事務所の事務なのですか?」「簿記の勉強で面白いと感じた点は何ですか?」「PCスキルはどの程度ですか?」「細かい作業は得意ですか?」といった、会計事務所ならではの質問にも答えられるように準備しておきましょう。
- 未経験であることへの懸念を払拭する前向きな受け答え。 「未経験の分野ではございますが、一日も早く業務を覚え、貢献できるよう努力いたします」「新しいことを学ぶ意欲は誰にも負けません。貴事務所の研修制度などを活用し、積極的にスキルアップに努めます」など、不安を払拭し、意欲を示す言葉を選びましょう。
- 会計・税務に関する学習意欲と、入社後にどのように成長していきたいかを具体的に伝える。 「入社後は、まず基本的な会計処理業務を確実に習得し、将来的には月次決算のサポート業務にも携われるようになりたいと考えております。そのためにも、日々の業務を通じて積極的に学び、必要であれば関連資格の取得も目指してまいります」など、具体的な目標と学習意欲を伝えましょう。
- コミュニケーション能力、協調性、正確性、責任感をアピール。 面接官の質問の意図を的確に理解し、簡潔かつ分かりやすく回答することを心がけます。また、クライアントや所長・税理士、他のスタッフと協力して業務を進めるための協調性、重要な情報を正確に扱う責任感、そして誠実な人柄を伝えましょう。
- 守秘義務の重要性を理解していることを示す。 クライアントの機密情報を扱う会計事務所において、守秘義務の遵守は絶対です。その重要性を理解していることを明確に伝えましょう。
- 逆質問で事務所への関心と貢献意欲を伝える(研修制度やキャリアパスについてなど)。 面接の最後に質問の機会があれば、「特にありません」という回答は避け、事前に準備しておいた質問をしましょう。事務所の得意とする分野やクライアント層、入社後の研修制度やキャリアパス、使用している会計ソフト、職場の雰囲気、未経験から活躍されている先輩社員の事例などについて質問することで、入社意欲の高さと事務所への深い関心、そして貢献したいという意欲を示すことができます。
まとめ:未経験からの挑戦でも大丈夫!会計事務所の事務で専門性を磨こう
未経験から会計事務所の事務職へ転職することは、決して簡単な道のりではないかもしれません。しかし、簿記の知識習得をはじめとするしっかりとした準備と、「会計・税務のプロフェッショナルをサポートしたい」「専門知識を身につけて社会に貢献したい」という強い熱意があれば、その道は必ず開けます。
大切なのは、未経験であることを卑下するのではなく、これまでの経験で培ってきたポータブルスキルや学習意欲を最大限にアピールし、会計事務所という専門性の高いフィールドで成長していきたいという前向きな姿勢を示すことです。この記事で紹介した情報を参考に、自信を持って転職活動に臨み、会計事務所の事務としての新たなキャリアをスタートさせてください。