転職で内定を保留したい… いつまで待ってもらえる?伝え方のマナーと注意点
転職活動の末にようやく手にした内定の通知。喜ばしい瞬間である一方、「他の企業の選考結果も待ちたい」「もう少し考える時間が欲しい」といった理由から、すぐに返事ができない状況に置かれることも少なくありません。そんなとき、「内定を保留してもらえないだろうか」と考えるのは自然なことです。
この記事では、転職における内定保留の可否、企業への伝え方、一般的な保留期間の目安、そして注意点について詳しく解説します。
そもそも内定保留は可能なのか?
結論から言うと、内定の回答を保留してもらうこと自体は、相談可能です。多くの企業では、応募者が複数の企業を比較検討していることを理解しており、常識的な範囲内であれば回答期限の延長(保留)に応じてくれる場合があります。
ただし、企業側にも採用計画や他の候補者の選考スケジュールがあるため、必ずしも希望通りに保留が認められるわけではありません。また、企業文化や募集ポジションの緊急度によっても対応は異なります。内定保留を依頼する際は、その点を十分に理解しておく必要があります。
内定保留を依頼する際の一般的な理由
企業に内定保留を納得してもらうためには、正直かつ具体的な理由を伝えることが大切です。一般的に、以下のような理由で保留を願い出るケースが多いようです。
- 他の企業の選考結果を待ちたい: 最も一般的な理由の一つです。第一志望の企業の結果が出るまで待ちたい、あるいは複数の最終選考が残っている場合などです。
- 提示された条件について家族と相談したい: 給与や勤務地、福利厚生など、重要な労働条件について、家族と話し合ってから最終的な判断をしたいというケースです。
- 現職の退職交渉に時間がかかりそう: 円満退職のための引き継ぎや、上司との退職交渉に想定よりも時間がかかる見込みがある場合などです。
- 複数の内定があり、じっくり比較検討したい: 同時期に複数の企業から内定を得て、それぞれの条件や社風などを冷静に比較し、後悔のない選択をしたいという場合です。
内定保留を依頼する際のマナーと伝え方
内定保留は、企業にとってはイレギュラーな対応をお願いすることになります。そのため、失礼のないよう、マナーを守って慎重に進めることが重要です。
1. できるだけ早く連絡する
内定通知を受け、保留したいと考えたら、できる限り早く採用担当者に連絡しましょう。回答期限ぎりぎりになってから申し出るのは、企業側の心証を損ねる可能性があります。
2. まずは電話で直接伝えるのが基本
メールだけで済ませるのではなく、まずは電話で直接、採用担当者に内定のお礼と保留の相談を伝えるのが最も丁寧な方法です。声のトーンや言葉遣いから誠意を伝えることができます。担当者が不在の場合は、電話があった旨を伝言してもらい、改めてかけ直すか、メールで一報を入れた上で後ほど電話で詳細を伝える旨を添えましょう。
3. 感謝の気持ちと入社意欲を伝える
まず、内定をいただいたことに対する感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。その上で、「貴社に大変魅力を感じており、前向きに検討させていただきたいのですが…」といった形で、入社への強い意欲があることを示すのがポイントです。
4. 保留したい理由を正直に、かつ具体的に伝える
なぜ保留したいのか、その理由を正直に、かつ具体的に説明します。曖昧な伝え方では、企業側も判断に困ってしまいます。「他社の選考結果が〇月〇日に出る予定です」など、可能な範囲で具体的な状況を伝えましょう。
5. 希望する回答期限を明確に伝える
いつまで回答を待ってほしいのか、具体的な希望期限を提示します。ただし、あまりにも長すぎる期間を要求するのは現実的ではありません。常識的な範囲(後述)でお願いしましょう。
6. 企業側の事情を理解し、丁重にお願いする姿勢
「こちらの都合ばかりで申し訳ございませんが」「ご迷惑をおかけし恐縮ですが」といった謙虚な言葉遣いを心がけ、企業側の採用スケジュールに影響を与える可能性があることを理解している姿勢を示すことが大切です。
【例文あり】内定保留のお願い(電話・メール)
実際に内定保留をお願いする際の伝え方の例文を、電話とメールそれぞれでご紹介します。
電話での伝え方例文
自分: 「お世話になります。先日、貴社より内定をいただきました〇〇(氏名)と申します。採用ご担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか。」
(担当者に代わってもらう)
自分: 「△△様、お世話になります。〇〇(氏名)です。この度は、内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。大変光栄に思っております。つきましては、大変恐縮なのですが、内定のお返事につきまして、少々お時間をいただくことは可能でしょうか。」
担当者: 「そうですか。差し支えなければ理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
自分: 「はい。実は、もう一社選考が進んでいる企業がございまして、そちらの結果が〇月〇日に判明する予定です。貴社には大変魅力を感じており、前向きに検討させていただきたく存じますが、すべての結果が出揃った上で、慎重に判断させていただきたいと考えております。誠に勝手なお願いで恐縮ですが、〇月〇日までお返事をお待ちいただくことは可能でしょうか。」
自分: 「こちらの都合でご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんが、何卒ご検討いただけますようお願い申し上げます。」
メールでの伝え方例文(電話連絡後のフォローや、電話が難しい場合)
件名: 内定お礼とご返答期限に関するご相談/〇〇(氏名)
本文:
株式会社□□(企業名)
人事部 △△様(採用担当者名)
お世話になります。
先日、貴社より内定のご連絡をいただきました〇〇(氏名)です。
この度は誠にありがとうございました。貴社より高い評価を賜り、大変光栄に存じます。
早速ではございますが、内定のお返事につきまして、大変恐縮ながら少々お時間をいただきたく、ご連絡いたしました。
現在、もう一社選考が進んでいる企業がございまして、そちらの選考結果が〇月〇日に判明する予定です。
貴社には大変魅力を感じており、入社を前向きに検討させていただきたいと考えておりますが、
すべての結果が出揃った段階で、責任をもって判断させていただきたく存じます。
誠に勝手なお願いとは存じますが、〇月〇日までご返答の期限を延長していただくことは可能でしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒ご検討いただけますようお願い申し上げます。
署名
〇〇(氏名)
メールアドレス:✕✕✕@✕✕✕.com
電話番号:✕✕✕-✕✕✕✕-✕✕✕✕
内定保留の期間はどれくらいが目安?
内定保留を依頼する場合、企業が待ってくれる期間はケースバイケースですが、一般的には1週間程度が目安とされています。長くても2週間が限度と考えた方が良いでしょう。
企業の採用計画、他の候補者の状況、募集ポジションの緊急性などによって、保留できる期間は大きく変わります。無理な期間を要求するのではなく、まずは相談してみる姿勢が大切です。
内定保留を依頼する際の注意点とリスク
内定保留は、慎重に行わないとマイナスの印象を与えかねません。以下の点に注意しましょう。
- 必ずしも承諾されるとは限らない: 企業の事情によっては、保留が一切認められない場合もあります。
- 保留期間が短い場合もある: 希望通りの期間を待ってもらえない可能性も考慮しておきましょう。
- 企業の印象が悪くなる可能性: 伝え方や態度によっては、「入社意欲が低いのでは」「自分勝手だ」といったネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。誠実な対応を心がけましょう。
- 他の候補者に内定が出てしまうリスク: 企業は採用枠を埋めるために他の候補者の選考も進めています。保留期間中に、他の候補者に内定が出てしまう可能性もゼロではありません。
- 保留期間中に気持ちが変わった場合の対応: もし保留期間中に辞退を決めた場合は、速やかに企業に連絡を入れるのがマナーです。
内定を承諾するか辞退するかの最終判断:保留期間中に何をすべきか
貴重な保留期間は、後悔のない選択をするための重要な時間です。以下の点を改めて確認し、最終的な判断を下しましょう。
- 企業情報の再確認: 労働条件、業務内容、企業文化、将来性などを再度詳しく確認します。
- 自己分析との照らし合わせ: 自分のキャリアプラン、価値観、強み・弱みと、その企業が合致しているか冷静に分析します。
- キャリアプランとの整合性: 今回の転職が、自身の長期的なキャリア目標達成にどう繋がるのかを考えます。
- 家族や信頼できる人への相談: 客観的な意見を聞くことで、新たな視点が見つかることもあります。
まとめ:内定保留は慎重に。誠実な対応で、後悔のない選択を。
転職活動における内定保留は、応募者にとっては重要な選択肢の一つですが、企業にとってはイレギュラーな対応をお願いすることになります。保留を依頼する際は、まず内定への感謝の気持ちを伝え、誠実な態度で、具体的な理由と希望期限を伝えることが大切です。
企業側の事情も考慮し、マナーを守ったコミュニケーションを心がけることで、円満な形で回答期限を待ってもらえる可能性が高まります。そして、与えられた保留期間を有効に活用し、自分にとって最善の決断を下してください。