転職「6月入社」を目指す!梅雨時のキャリアチェンジ、成功のポイントとは
「夏のボーナスをもらってから、新しい環境でスタートしたい」「年度初めのバタバタが落ち着いた頃に転職したい」。そんな思いから、転職の入社時期として「6月」を考える方もいらっしゃるでしょう。梅雨の時期にあたる6月は、新年度の慌ただしさが一段落し、企業側も夏の賞与支給後の退職者を見越して採用活動を行うなど、中途採用市場において一定の動きが見られるタイミングです。
この記事では、6月入社を目指す転職活動について、そのメリット・デメリット、適切な準備スケジュール、そして選考を有利に進めるためのポイントや、入社後の社会保険・税金、ボーナスといった待遇面での注意点などを分かりやすく解説します。
なぜ「6月入社」が転職の一つの選択肢となるのか?
企業が6月入社の中途採用を行う背景や、転職希望者がこの時期を選ぶ理由には、いくつかの要因があります。
- 企業の夏の賞与支給後の人員調整: 多くの企業では、6月または7月に夏の賞与(ボーナス)が支給されます。この賞与を受け取ってから退職する社員も一定数いるため、企業はその欠員補充や、下半期に向けた組織体制の強化のために、6月頃から採用活動を活発化させることがあります。
- 新年度の落ち着きと、下半期への準備期間: 4月の新年度開始に伴う組織変更や新入社員の受け入れなどが一段落し、企業側も落ち着いて中途採用者の受け入れ準備を進められる時期です。また、下半期の事業計画に向けて、必要な人材を早期に確保したいという意図もあります。
- 転職希望者側の事情:
- 夏のボーナスを受け取ってから退職したい: これが最も大きな理由の一つでしょう。現在の勤務先の夏のボーナスを受け取ってから、円満に退職し、新しい会社へスムーズに移行したいと考える人にとって、6月入社は魅力的なタイミングです。
- 年度末の繁忙期を避けて転職活動をしたい: 3月・4月の年度末・年度初めの繁忙期を避け、比較的業務が落ち着く時期にじっくりと転職活動に取り組みたいと考える人。
- 気候的に活動しやすい(梅雨を除く): 真夏や真冬の厳しい気候を避け、比較的過ごしやすい時期に面接などに臨みたいという方もいます。
6月入社を目指す転職:メリットとデメリット
6月入社には、他の時期の入社と比較していくつかのメリットとデメリットがあります。
メリット
- 夏のボーナスを受け取ってから退職できる可能性が高い: 現在の勤務先の夏のボーナス支給条件(支給日在籍など)を満たしていれば、ボーナスを受け取ってから退職し、6月入社を目指すという計画が立てやすいです。
- 求人数が比較的安定している時期に活動できることも: 4月入社ほどのピークではないものの、企業の採用ニーズが継続しており、一定数の求人が見込めます。特に、夏のボーナス後の退職者を見越した欠員補充の求人が出始めることもあります。
- 新年度の喧騒が落ち着き、比較的じっくりと業務を覚えられる可能性: 4月入社と比較して、新入社員研修などが一段落し、OJT(On-the-Job Training)などで先輩社員から丁寧に業務を教えてもらえる時間が確保しやすい場合があります。
- 年末調整を新しい会社で行える: 6月入社であれば、その年の年末調整は新しい勤務先で行うことになります。前職の源泉徴収票を提出すれば、1年間の所得についてまとめて精算できます。
デメリット
- 梅雨時期と重なり、体調管理や移動に注意が必要: 6月は梅雨の時期にあたり、雨の日が多く、湿度も高くなるため、面接時の身だしなみや体調管理に普段以上に気を配る必要があります。交通機関の遅延なども考慮に入れる必要があるかもしれません。
- 企業の夏季休暇前で、選考プロセスが駆け足になる可能性も: 企業によっては、夏季休暇前に採用活動を一段落させたいという意向から、選考スケジュールがタイトになったり、内定後の回答期限が短めに設定されたりする可能性があります。
- 4月入社組と比較されることへの意識(稀なケース): 企業によっては、4月入社が中途採用のメインとなる場合、6月入社者は「追加採用」といった位置づけになり、研修などが個別対応になることも考えられます。
- 求人数のピークは過ぎている場合も: 新年度に向けた採用の大きな山場である1月~3月と比較すると、求人数自体はやや落ち着いている可能性があります。
6月入社を目指す転職活動の理想的なスケジュール
6月入社を目標とする場合、逆算して計画的に転職活動を進めることが非常に重要です。一般的な転職活動期間(応募から内定獲得までに1~2ヶ月、内定獲得から入社までに1ヶ月程度)を考慮すると、以下のようなスケジュールが理想的です。
- 当年2月~3月頃:準備期間(自己分析・情報収集)
- 自己分析とキャリアプランの明確化: なぜ転職したいのか、転職して何を実現したいのか、これまでの経験やスキル、自分の強み・弱みなどを徹底的に洗い出し、キャリアプランを具体化します。
- 業界・企業研究の開始: 興味のある業界や企業の情報を収集し始めます。
- 応募書類(履歴書・職務経歴書)の準備: ベースとなる応募書類を作成し始めます。
- 当年3月~4月頃:応募開始・書類選考
- 興味のある企業へ応募を開始します。この時期は、新年度の採用計画が動き出し、夏のボーナス後の退職を見越した求人が出始めるタイミングでもあります。
- 複数の企業に並行して応募することも検討します。
- 当年4月~5月上旬頃:面接・選考
- 書類選考を通過した企業との面接が本格化します。一次面接、二次面接、場合によっては最終面接へと進みます。
- ゴールデンウィークを挟むため、企業からの連絡が一時的に滞る可能性も考慮に入れておきましょう。
- 当年5月中旬~下旬頃:内定獲得・条件交渉
- 内定を得たら、労働条件(給与、勤務時間、休日など)をしっかりと確認し、必要であれば条件交渉を行います。
- 複数の内定がある場合は、慎重に比較検討し、入社する企業を決定します。
- 当年5月下旬~6月中:退職交渉・業務引き継ぎ・入社準備
- 現在の勤務先に退職の意思を伝え、退職日(5月末または6月中旬など)を決定し、後任者への業務引き継ぎを責任を持って行います。
- 新しい会社への入社に必要な書類の準備や、社会保険の手続きなどを行います。
- 有給休暇が残っていれば、この期間に消化することも検討しましょう。
- 当年6月中(または7月1日など):新しい会社へ入社
重要なポイント:
- 早めの行動開始が鍵: 特に夏のボーナスを受け取ってからの退職を考えている場合は、ボーナス支給日や支給条件を確認した上で、逆算して計画的に活動を開始する必要があります。
- 企業の夏季休暇前というタイミングを意識する: 企業によっては、7月・8月に夏季休暇に入るため、それまでに採用活動を一段落させたいと考える場合があります。選考がスピーディーに進む可能性もあれば、逆に休暇期間は連絡が滞る可能性も考慮しましょう。
- 転職エージェントの活用も検討: 6月入社向けの求人情報や、選考スケジュールに関するアドバイス、企業との日程調整代行など、専門的なサポートを受けることで、効率的に活動を進めることができます。
6月入社の場合の「年末調整」「ボーナス」「有給休暇」はどうなる?
年末調整
- 6月に入社し、その年の年末(通常12月31日)までその会社に在籍している場合は、原則として新しい勤務先で年末調整が行われます。
- その際、その年の1月1日から前職の退職日までに支払われた給与等に関する「源泉徴収票」を、前職の会社から取り寄せて、新しい会社に提出する必要があります。 これにより、1年間の所得全体を合算して正しい所得税額が計算され、精算されます。
ボーナス(賞与)
- 転職先の夏のボーナス: 多くの企業では、夏のボーナス(6月~7月頃支給が一般的)の査定期間は、例えば前年10月~当年3月(上半期)や、当年4月~9月(上半期)といった形になっています。6月入社の場合、この査定期間の途中からの参加となるため、入社初年度の夏のボーナスは、支給されるとしても寸志程度か、あるいは在籍期間に応じて按分された金額、場合によっては支給対象外となるのが一般的です。 ただし、企業によっては、入社時期や貢献度に応じて一定額を支給する規定を設けている場合もありますので、内定時の労働条件確認の際に確認しておくことをお勧めします。
- 転職先の冬のボーナス: 冬のボーナスの査定期間(例えば当年10月~翌年3月など)には在籍していることになるため、こちらは規定通りに支給される可能性が高いです。
有給休暇
- 年次有給休暇の付与: 労働基準法では、雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に、原則として10労働日の有給休暇が付与されます。
- 6月に入社した場合: 上記の原則に基づけば、12月頃に最初の有給休暇が付与されることになります。
- 企業の「前倒し付与」や「一斉付与」の確認: 企業によっては、法律の基準よりも早く(例えば入社時に数日付与など)、あるいは全社員の基準日を統一して(例えば毎年4月1日など)有給休暇を付与する制度を設けている場合があります。これらの扱いは企業の就業規則によって異なりますので、入社前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ:「6月入社」は夏のボーナス後の新たなスタート、計画的な準備で成功を掴もう
「6月入社」を目指す転職活動は、夏のボーナスを受け取ってから新しいキャリアをスタートさせたい方や、年度初めの慌ただしさを避けたい方にとって、魅力的な選択肢の一つです。企業側も、下半期に向けた人員体制の強化のために、この時期に採用活動を行うことがあります。
しかし、選考スケジュールが企業の夏季休暇と重なる可能性や、求人数が4月入社を目指す時期ほど多くない可能性なども考慮に入れる必要があります。
最も重要なのは、あなた自身のキャリアプランやライフプランと照らし合わせ、なぜ6月入社を目指すのか、その目的を明確にし、そこから逆算して計画的に準備を進めることです。そして、年末調整やボーナス、有給休暇といった待遇面についても、事前にしっかりと情報を収集し、理解しておくことが、入社後のミスマッチを防ぎ、安心して新しいキャリアをスタートさせるための鍵となります。
この記事が、あなたが「6月入社」という目標を達成し、より良い未来へと繋がる転職を実現するための一助となれば幸いです。あなたの新しい挑戦を心から応援しています。