メタプラネットのセキュリティは大丈夫？生命線を守るビットコインの保管方法とハッキング対策

ビットコイン戦略で日本の株式市場を席巻する株式会社メタプラネット。同社が保有するビットコインは、今や数十億円という規模にまで膨れ上がっています。これを知った投資家、特に株式投資初心者の方が抱く素朴で、しかし最も本質的な疑問はこれではないでしょうか。

「もし、その大量のビットコインがハッキングされたらどうなるの？」

会社の資産そのものであるビットコインが一瞬で消え去るようなことがあれば、株価は暴落し、投資家の資産も大きなダメージを受けます。だからこそ、「セキュリティ対策」は、メタプラネットの事業のまさに生命線と言えるのです。

この記事では、多くの投資家が抱くこの不安を解消するため、メタプラネットがどのようにして大切なビットコインを守っているのか、その具体的なセキュリティ対策の仕組みを分かりやすく解説していきます。

なぜビットコインのセキュリティが「生命線」なのか？

まず大前提として、ビットコインをはじめとする暗号資産は、一度不正に送金されてしまうと、その取引を取り消したり、犯人を追跡して取り返したりすることが、現在の技術ではほぼ不可能です。銀行預金のように、不正利用が補償される制度もありません。

メタプラネットにとって、保有するビットコインは単なるITデータではなく、会社の価値そのものです。その消失は、即座に企業価値の壊滅的な毀損に直結します。したがって、同社がどのようなセキュリティ対策を講じているかを知ることは、投資判断を行う上で極めて重要なのです。

セキュリティの核心：「カストディ」に秘密あり

メタプラネットは、自社でビットコインを直接管理するのではなく、その道のプロに資産の保管・管理を委託しています。このサービスを**「カストディ」**と呼びます。

「カストディ」とは、顧客の資産を預かり、安全に保管・管理するサービスのこと。分かりやすく言えば、**「暗号資産専門の金庫番」や「高度なセキュリティを備えた警備会社」**のような存在です。

パートナーは日本の金融大手「SBIグループ」

メタプラネットがその重要なパートナーとして選んだのが、日本の大手金融グループSBIホールディングス傘下の**「SBI VCトレード」**です。

同社は、法人向けの高度なカストディサービス「SBIVC for Prime」を提供しており、メタプラネットはこのサービスを活用してビットコインを安全に保管しています。個人で管理するのとは比較にならない、機関投資家レベルの厳重なセキュリティ体制の下で資産が守られていることは、投資家にとって大きな安心材料と言えるでしょう。

ハッキングを防ぐ「3つの鉄壁」

では、SBI VCトレードのようなプロのカストディサービスは、具体的にどのような技術で資産を守っているのでしょうか。その守りには、主に「3つの鉄壁」があります。

鉄壁1：コールドウォレット管理

ビットコインを保管する電子的な財布を「ウォレット」と呼びます。このうち、インターネットから物理的に完全に切り離された状態で資産を保管する方法が**「コールドウォレット」**です。

• ホットウォレット：常にオンライン。取引には便利だが、ハッキングの危険に晒される。
• コールドウォレット：完全にオフライン。「ネットに繋がっていない金庫」なので、外部からのサイバー攻撃で盗まれることはない。

カストディサービスでは、顧客から預かった資産の大部分をこのコールドウォレットで保管するのが鉄則です。

鉄壁2：マルチシグ（複数署名）

「マルチシグ」とは、ビットコインを送金する際に、一人の署名だけでは実行できず、複数の管理者の承認（電子署名）が必要になる仕組みです。

これは、銀行の貸金庫の鍵を「支配人と顧客の二人が揃わないと開けられない」仕組みに似ています。仮に一人の担当者のパソコンがウイルスに感染したり、内部の人間が悪意を持って不正送金しようとしても、他の承認者が許可しない限り資産は動かせません。人為的なミスや内部不正を防ぐための、非常に強力な対策です。

鉄壁3：巨額の保険（インシュアランス）

プロ向けの高度なカストディサービスでは、万が一のハッキングや盗難、内部不正といった事故に備えて、巨額の損害保険をかけているのが一般的です。これにより、万が一資産が失われた場合でも、その損害が補償される体制が整えられています。これも、投資家にとって重要なセーフティネットの一つです。

投資家はセキュリティをどう見ればいいか？

• IR情報をチェックする会社がどのようなセキュリティ対策を講じているかについては、決算説明資料や事業提携に関するお知らせ（プレスリリース）などで言及されることがあります。メタプラネットがSBI VCトレードと提携したことも公式に発表されています。こうした情報に目を通すことで、会社の姿勢を確認できます。
• 「絶対安全」はないと心得るどんなに強固な対策をしても、100%安全とは言い切れないのがセキュリティの世界です。大切なのは、そのリスクをゼロに近づけるために、会社がどれだけ信頼性の高いパートナーと組み、どのような努力を継続しているか、という姿勢を見極めることです。

まとめ

• メタプラネットは、ハッキングなどのリスクから会社の資産であるビットコインを守るため、信頼性の高いプロの**「カストディ」**サービスを利用しています。
• パートナーは日本の金融大手であるSBI VCトレードであり、機関投資家レベルの厳重な管理体制が敷かれています。
• その対策の核心は、**「コールドウォレット」「マルチシグ」「巨額の保険」**といった鉄壁の守りです。
• 企業のセキュリティ対策は、その事業の信頼性と安定性を測る上で非常に重要な評価項目です。

メタプラネットへの投資を検討する際は、株価の動きだけでなく、その根幹を支える「守り」の部分にも目を向けることで、より安心して投資判断を下すことができるでしょう。

岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

X

ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。