未経験から測量士へ！仕事内容から資格、転職成功の秘訣まで徹底解説

道路、橋、鉄道、そして私たちが住む家や街――。私たちの社会を形作る、あらゆる建設プロジェクトの、全ての「第一歩」を担う、非常に重要な仕事があります。それが「測量」です。

「専門的で難しそう」「理系の知識がないと無理なのでは？」

そんなイメージから、自分には縁のない世界だと感じているかもしれません。しかし、測量業界は、社会に不可欠な役割を担いながらも、深刻な人手不足と技術者の高齢化という課題に直面しています。 そのため、意欲のある未経験者を温かく迎え入れ、一からプロフェッショナルに育てようという動きが、今、非常に活発なのです。

この記事では、未経験から「社会の基準を創る」測量の仕事への転職を成功させるための、リアルな仕事内容から、必須となる資格、そして具体的な転職活動のステップまで、その全てを徹底的に解説します。

なぜ今、測量業界は「未経験者」を求めているのか？

専門職である測量の世界で、なぜ未経験者に大きなチャンスがあるのでしょうか。

• 1. 深刻な人手不足と技術継承の課題社会インフラの維持・更新や、防災・減災対策など、測量の仕事は今後もなくなることはありません。しかし、その重要な役割を担う技術者は高齢化が進み、次世代への技術継承が業界全体の大きな課題となっています。そのため、年齢や経験を問わず、新しい担い手を広く求めているのです。
• 2. 技術革新による働き方の変化近年、測量業界では、ドローンや3Dレーザースキャナ、GIS（地理情報システム）といった新しい技術の導入が急速に進んでいます。これにより、従来のやり方に固執せず、新しいIT技術を素直に吸収できる人材や、PCスキルを持つ人材への需要が高まっています。
• 3. 育成を前提とした採用文化測量の仕事は、現場でのOJT（実務を通じた教育）を通じて、一人前になるのが基本です。そのため、多くの企業では、入社時点での経験よりも、仕事に対する真面目さや、新しいことを学ぶ意欲といった、ポテンシャルを重視した採用を行っています。

測量士の仕事とは？社会の「基準」を創る仕事のリアル

測量の仕事は、大きく「外業」と「内業」の2つに分かれます。

外業（フィールドワーク）

• 仕事内容: 実際に現場（山、川、道路、建設現場など）へ出て、トータルステーションやGNSS受信機といった専門の測量機器を使い、土地の位置（座標）、高さ、形状、面積などを正確に測定します。
• 特徴: 2〜3名のチームで行動することが多く、体力や協調性が求められます。自然の中で働くことが好き、体を動かすのが好きな方に向いています。

内業（デスクワーク）

• 仕事内容: 現場で得た測量データをオフィスに持ち帰り、専用のCADソフトなどを使って、地図や設計図といった図面を作成したり、面積などの計算を行ったり、発注者への報告書を作成したりします。
• 特徴: 高い正確性と集中力が求められる、PCを使ったデスクワークです。コツコツとした地道な作業が好きな方に向いています。

未経験からのスタートの場合、まずは測量アシスタントとして、現場で測量機器の設置や、目印となるポールを持つといった補助業務から始めるのが一般的です。ここで現場の空気と仕事の流れを学びながら、徐々に専門的な知識と技術を身につけていきます。

【最重要】資格は必要？「測量士補」が転職の鍵

未経験から測量業界への転職を成功させる上で、**最強の武器となるのが、国家資格である「測量士補」**です。

• 資格の種類:
  • 測量士: 測量計画を作成し、実施することができる、測量の責任者。
  • 測量士補: 測量士が作成した計画に基づき、測量業務を行うことができる。
• なぜ「測量士補」が鍵なのか？いきなり測量士になるのは難易度が高いですが、測量士補は、未経験者でも取得が十分に可能な資格です。そして、この資格を持つことには、計り知れないメリットがあります。
  1. 知識と意欲の証明: 測量の基礎知識を持っていること、そして何よりも「この業界で働く」というあなたの高い意欲と本気度を、客観的に証明できます。
  2. 選考で圧倒的に有利に: 未経験者歓迎の求人であっても、資格保有者は他の候補者と明確な差別化ができ、採用の可能性が格段に高まります。
  3. キャリアアップへの道: 入社後、実務経験を積むことで、国家試験を受けずに「測量士」の資格を取得できる道が拓けます。（※学歴により必要な実務経験年数は異なります）

転職活動を始める前に、まずは「測量士補」の資格取得を目指すこと。これが、成功への最も確実なルートです。

測量士に向いている人の特徴【適性チェック】

1. 数学・地理への抵抗がない: 高度で複雑な数学は必要ありませんが、三角関数といった高校レベルの基本的な計算や、地図を読むことに抵抗がないことが望ましいです。
2. 責任感が強く、正確である: 測量で出した一つの数字のミスが、その後の工事全体に大きな影響を与えてしまうこともあります。ミリ単位の正確さにこだわり、何度も確認を怠らない、強い責任感が求められます。
3. 体力と忍耐力: 夏の炎天下や冬の寒さの中での現場作業にも耐えられる体力と、時には変化の少ない地道な作業を、集中力を切らさずに続けられる忍耐力が必要です。
4. チームで働く協調性: 測量は、決して一人ではできません。チームの仲間と声を掛け合い、円滑に連携を取るコミュニケーション能力が不可欠です。

未経験からの転職活動｜成功の秘訣とアピール術

• 求人の探し方: ハローワークや、一般的な転職サイトで「測量」「未経験」と検索すると、多くの求人が見つかります。また、建設・土木業界に特化した転職サイトも有効です。
• 志望動機の作り方: 「社会のインフラを支えたい」「地図に残る仕事がしたい」といった想いを、あなた自身の具体的な経験と結びつけて語りましょう。「前職の〇〇という仕事で、全ての物事の基礎となる、正確なデータがいかに重要かを学び、あらゆる建設の第一歩となる測量の仕事に、大きな魅力を感じました」といった形です。
• 自己PRのポイント: 測量士補の資格取得（または、取得に向けて学習中であること）は、最大のアピールポイントです。それに加え、体力に自信があること、前職で培った真面目さや継続力、チームで協力した経験などを、具体的なエピソードで伝えましょう。

測量の仕事のリアル、気になるQ&A

Q1. 30代・40代からでも未経験でなれますか？

A1. はい、十分に可能です。人手不足が深刻なため、年齢よりも仕事への意欲や人柄が重視されます。30代・40代の持つ責任感や、社会人としての安定性は、むしろ強みとして評価されます。

Q2. 給与水準はどうですか？

A2. 未経験からのスタートの場合、月給20万円前後からが中心となりますが、資格手当が付くことが多く、経験を積んで「測量士」の資格を取得すれば、安定して高い収入を目指せる、専門職です。

Q3. 文系でも大丈夫ですか？

A3. 全く問題ありません。必要な数学は、入社後に実務を通じて学べば十分に身につくレベルです。それ以上に、真面目さや責任感、コミュニケーション能力といった資質の方が、この仕事では重要になります。

まとめ：社会の「あたりまえ」を創る、誇り高き仕事へ

測量の仕事は、決して派手ではありませんが、私たちの安全で快適な暮らしを支える、社会の「あたりまえ」を創り出す、非常に重要で誇り高い仕事です。

実務経験はなくても、測量士補という「地図」と、社会に貢献したいという「羅針盤」さえあれば、あなたもこの専門的な世界への扉を開き、確かなキャリアを築いていくことは必ずできます。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。