未経験からの転職、給料は下がる?上がる?年収のリアルと交渉術を徹底解説
「未経験の仕事に挑戦したいけど、給料が下がるのは不安…」
「キャリアチェンジをしたいけれど、生活水準は維持したい」
新しいキャリアへの一歩を踏み出すとき、「給料」は誰もが気になる、そして非常に重要な問題です。未経験からの転職では、給与が下がることも少なくないのが現実。しかし、職種の選び方や戦略次第では、現状維持、あるいは年収アップさえも十分に可能です。
この記事では、未経験からの転職における給料のリアルな事情から、求人票の正しい見方、そして「未経験だから…」と諦めないための給与交渉術まで、お金にまつわる不安を解消するための全てを解説します。
未経験転職のリアル|なぜ給料が下がりやすいのか?
まず、なぜ未経験からの転職では給料が下がりやすいと言われるのか、その理由を正しく理解しておくことが重要です。
- 理由1:教育コストがかかるため企業にとって、未経験者を採用することは、一人前の戦力になるまでの研修費や人件費を「投資」することを意味します。そのため、即戦力である経験者と比較して、スタート時点での給与は抑えられる傾向にあります。
- 理由2:「ポテンシャル」への期待値だから企業が未経験者に支払う給与は、現時点でのスキルに対してではなく、今後の成長や活躍への「期待値」が大きく反映されています。入社後にその期待に応え、成果を出すことで、給与は上がっていきます。
- 理由3:すぐに利益に貢献できるわけではないから特に営業職や開発職など、直接的に会社の利益を生み出す職種では、入社後すぐには大きな成果を出すことが難しいです。そのため、貢献度に応じて徐々に給与が上がっていく体系になっていることが多くあります。
しかし、これはあくまで一般的な傾向です。業界や職種によっては、未経験でも高い給与水準が期待できる場合もあります。
未経験でも高めの給料が期待できる!狙い目の職種・業界
「給料もキャリアも、どちらも妥協したくない」という方へ。未経験からでも、比較的に高い給与水準が期待できる、狙い目の職種をご紹介します。
- 1. 営業職(特にインセンティブ比率が高いもの)不動産、金融、IT業界などの営業職は、基本給に加えて、個人の成果に応じた「インセンティブ(成果給)」が支払われることが多くあります。未経験でも、コミュニケーション能力や目標達成意欲が高ければ、成果を出すことで年齢や経験に関係なく高収入を得られる可能性があります。
- 2. ITエンジニア深刻な人材不足を背景に、ITエンジニアの需要は非常に高く、スキルを持つ人材の給与水準は年々上昇しています。未経験からのスタートでも、スキルを習得すれば、数年後には市場価値の高い人材として、大幅な年収アップが期待できる将来性の高い職種です。
- 3. 施工管理(建設)建設業界もまた、技術者の高齢化と若手不足が深刻なため、業界全体として給与水準が高く設定されています。未経験者を歓迎し、手厚い待遇で迎え入れる企業も少なくありません。国家資格を取得すれば、さらに資格手当が上乗せされます。
- 4. ドライバー(運輸)EC市場の拡大に伴い、ドライバーの需要も増加しています。特に大型トラックのドライバーなどは、その専門性から高い給与が期待できます。歩合給制度を導入している会社も多く、頑張りが収入に反映されやすい仕事です。
求人票の「給与」欄、どこを見ればいい?正しいチェックポイント
求人票に書かれた給与の額面だけを見て、一喜一憂していませんか?正しい見方を知ることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。
- 「月給〇〇万円~△△万円」の幅の意味を理解する給与に幅がある場合、これまでの経験やスキルに応じて金額が決まります。未経験者の場合は、下限である「〇〇万円」に近い金額からのスタートになると想定しておくのが現実的です。
- 「基本給」と「各種手当」の内訳を確認する「月給」には、住宅手当や役職手当といった各種手当が含まれている場合があります。賞与(ボーナス)は「基本給」をベースに計算されることが多いため、基本給がいくらなのかをしっかり確認しましょう。
- 「みなし残業代(固定残業代)」の有無をチェックするこれは、月給にあらかじめ一定時間分の残業代が含まれている制度です。**「月給30万円(みなし残業45時間分を含む)」**といった記載がないか、必ず確認してください。何時間分の残業代が含まれているのか、そしてそれを超えた分の残業代は別途支給されるのかは、非常に重要なポイントです。
- 「年収例」を参考にする「28歳・入社3年目/年収500万円」といったモデル年収例は、その企業でのキャリアパスと昇給のイメージを掴むための良い参考になります。
未経験でも諦めない!給与交渉を成功させるための準備と伝え方
「未経験の立場で、給与交渉なんてできるの?」――結論から言えば、正しいタイミングと伝え方を守れば、交渉は可能です。
- 交渉のベストタイミング:内定後、労働条件を承諾する前に行われる「オファー面談」が絶好の機会です。企業側も「あなたに入社してほしい」と思っているため、交渉に応じてもらいやすいタイミングです。
- 交渉の根拠を準備する:未経験者が武器にできるのは、スキルではなく「ポテンシャル」と「意欲」です。
- ポータブルスキル: 「前職で培った〇〇のスキルは、貴社で貢献できる価値があります」
- 学習意欲: 「現在、〇〇の資格取得に向けて勉強しており、入社後いち早く戦力になります」
- 前職の給与: 「現在の生活を維持するため」という現実的な根拠も有効です。
- 賢い伝え方:まずは内定への感謝と入社意欲を伝えた上で、「大変申し上げにくいのですが…」と謙虚に切り出します。そして、「前職での経験や、現在学習中のスキルもご評価いただき、もし可能であれば〇〇円でご検討いただくことは可能でしょうか」と、根拠と共に希望を伝えましょう。
目先の給料だけじゃない。長期的な視点でキャリアを考えよう
交渉がうまくいかず、前職より給料が下がってしまうこともあるでしょう。そんな時は、目先の金額だけでなく、長期的な視点でキャリアを捉えることが大切です。
- 「自己投資」と捉える最初の数年間は、新しいスキルや経験を身につけるための「投資期間」と考えることもできます。市場価値の高いスキルを身につければ、数年後の転職で、今の給料を大きく上回ることも夢ではありません。
- 「トータルパッケージ」で判断する給与だけでなく、研修制度の充実度、得られる経験の価値、働きやすさ、福利厚生といった、お金以外の価値も含めて、その転職が自分にとってプラスかどうかを総合的に判断しましょう。
まとめ:戦略的な転職活動で、納得のいく給料とキャリアを掴もう
未経験からの転職において、給料はあなたの生活とモチベーションを支える重要な要素です。しかし、それが全てではありません。
自分の市場価値を客観的に見つめ、将来のキャリアプランを描き、時には戦略的に交渉する。そうすることで、金銭的にも、そしてキャリアとしても、あなたが本当に納得のいく転職を実現することができるはずです。