【初心者向け】営業利益とは?フジ・メディア・ホールディングスの「本業の儲け」を徹底解剖
「フジ・メディア・ホールディングスの決算、営業利益は〇〇億円…」
株式投資を始めると、決算ニュースで必ず目にする「営業利益」という言葉。これは、企業の健康状態を知る上で、売上高と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な指標です。
この記事では、株式投資初心者の方にも分かりやすく、
- そもそも「営業利益」とは何か?売上や純利益との違いは?
- フジ・メディア・ホールディングスの「本業の儲け」は今どうなっているのか?
- 投資家として、営業利益をどう分析すれば良いのか?
といった点を、基本から丁寧に解説していきます。「営業利益」を理解すれば、企業の本当の実力を見抜く力が格段にアップするはずです。
そもそも「営業利益」とは?~会社の本業で稼いだ儲け~
企業の利益にはいくつかの種類がありますが、投資家が特に重視するのが「営業利益」です。
営業利益とは、その名の通り、**企業が「本業」のビジネスで稼いだ利益(儲け)**のことを指します。
売上や純利益との違い
ここで、よく混同される他の利益との違いを簡単に整理しておきましょう。
- 売上高: 会社に入ってきた収入の総額。
- 営業利益: 売上高から、商品の原価や人件費、広告費といった本業にかかるコストを差し引いた儲け。
- 純利益(最終利益): 営業利益に、本業以外の損益(例:株の売買益や災害による損失など)を加減し、最終的に税金を差し引いて会社に最終的に残る儲け。
つまり、営業利益は**「その会社が、主力のビジネスでしっかりと稼ぐ力があるかどうか」**を示す、最も重要な指標の一つなのです。
フジ・メディア・ホールディングスの営業利益はいくら?
では、フジ・メディア・ホールディングス(東証コード: 4676)の「本業の儲け」は、実際にどれくらいあるのでしょうか。
最新の通期決算(2025年3月期)によると、フジ・メディア・ホールディングスグループ全体の営業利益は182億9,300万円でした。
この数字は、前の期(2024年3月期)の335億1,900万円と比べると、45.4%の大幅な減少となっています。 なぜ、本業の儲けがこれほど大きく減ってしまったのでしょうか。その答えは、「利益の内訳」に隠されています。
利益の「中身」を大解剖!FMHの2大事業の収益力
フジ・メディア・ホールディングスの営業利益は、主に2つの事業(セグメント)から生み出されています。それぞれの事業がどれだけ稼いでいるかを見ていくと、会社全体の状況がより鮮明になります。
① メディア・コンテンツ事業
フジテレビの放送事業などを中核とする、グループの顔となる事業です。しかし、近年の決算を見ると、このセグメントが営業利益全体の足を引っ張る要因となっています。
- 主な利益源: テレビCMの広告収入、番組の海外販売、映画事業、イベント事業など。
- 動向: インターネット広告の拡大などを背景に、主力のテレビ広告収入が減少し、利益を圧迫しています。 映画のヒットや大型イベントの成功などで一時的に利益が上向くことはあっても、構造的な課題に直面しており、この事業の収益性をどう改善していくかが最大の経営課題です。
② 都市開発・観光事業
メディア事業の不振を補い、グループの利益を下支えしているのが、この事業です。
- 主な利益源: 子会社の「サンケイビル」が手掛けるオフィスビルの賃貸収入や、「グランビスタ ホテル&リゾート」が運営するホテル事業など。
- 動向: オフィス賃貸などから得られる収益は比較的安定しており、景気の変動を受けにくいのが特徴です。近年の決算でも、メディア・コンテンツ事業の利益減少分を、この都市開発・観光事業がカバーする構図が続いています。
このように、営業利益の内訳を見ると、フジ・メディア・ホールディングスが**「本業のメディア事業で苦戦し、それを安定した不動産事業などで補っている」**というリアルな姿が浮かび上がってきます。
投資家として「営業利益」をどう分析するか
では、私たち投資家は、この営業利益という情報をどう投資判断に活かせば良いのでしょうか。
1. 「利益率」で収益性をチェックする
営業利益の金額だけでなく、売上高に対してどれだけの営業利益を上げられたかを示す「営業利益率(営業利益 ÷ 売上高 × 100)」にも注目しましょう。この利益率が高いほど、「効率よく儲ける力がある」と判断できます。同業他社(他のテレビ局など)と比較することで、その企業の収益性の高さがより明確になります。
2. 長期的なトレンドを見る
単年だけでなく、過去5年、10年といったスパンで営業利益がどのように推移してきたかを見ることが重要です。長期的に成長しているのか、それとも減少傾向にあるのか、そのトレンドを掴むことで、企業の本当の実力が見えてきます。
3. 利益の「内訳」の変化に注目する
フジ・メディア・ホールディングスの例のように、どの事業が利益を稼ぎ、どの事業が足を引っ張っているのか、その構成比の変化に注目しましょう。「メディア事業の利益は減っているが、不動産事業の利益がそれを上回る勢いで伸びている」といった変化を捉えることができれば、企業の未来を予測する精度が高まります。
まとめ
今回は、企業の「本業の儲け」を示す最も重要な指標の一つである「営業利益」について、フジ・メディア・ホールディングスを例に解説しました。
- 「営業利益」とは、企業が主力のビジネスでどれだけ稼いだかを示す指標であり、会社の本当の実力を測る上で欠かせません。
- フジ・メディア・ホールディングスの営業利益は、主力の「メディア・コンテンツ事業」が苦戦する一方で、安定した「都市開発・観光事業」が下支えする構図となっています。
- 投資家としては、単に営業利益の金額を見るだけでなく、その**「利益率」、長期的な「トレンド」、そして「事業ごとの内訳」**を分析することで、企業の本当の姿と将来性を見抜くことができます。
企業の決算書を見る際に、ぜひこの「営業利益」に注目してみてください。数字の裏側にある企業のドラマを読み解く、株式投資の面白さがきっと見つかるはずです。