「転職する」は英語で”transfer”?ネイティブが使う自然な表現と正しい使い分け
「来月から、新しい会社に転職することになったんだ」
この、あなたのキャリアにおける重要な一歩を、英語で伝えたいと思ったとき、ふと transfer
という単語が頭に思い浮かんだことはありませんか?ビジネスシーンでよく耳にする言葉ですし、なんとなく「移る」という意味合いで使えそうな気がしますよね。
しかし、ここで注意が必要です。もし、あなたが「会社を変わること」を意図して I will transfer.
と言ってしまうと、相手に大きな誤解を与えてしまう可能性があるのです。
この記事では、多くの日本人が間違いやすい transfer
の本当の意味と、「転職する」を意味する、ネイティブが使う自然で適切な英語表現を、分かりやすく解説していきます。
結論:「転職する」に”transfer”は使わないのが一般的
まず、結論からお伝えします。会社を辞めて、別の会社に移る「転職」を表現する際に、transfer
という単語を使うのは、一般的ではありません。
英語の”transfer”が持つ、本来の意味
では、transfer
はどのような意味で使われるのでしょうか。ビジネスシーンにおける transfer
は、基本的に「同じ組織内での異動」を指します。
日本語で言うところの、
- 転勤 (tenkin): 東京本社から、大阪支社へ異動する
- 異動 (idou): 営業部から、マーケティング部へ異動する
といった、同一企業内での所属部署や勤務地の変更を表すのが、transfer
の最も一般的な使い方です。
<
transfer
の正しい使い方>He **transferred** to the London branch last month.
(彼は先月、ロンドン支社へ転勤しました。)
I was **transferred** to the marketing department.
(私はマーケティング部へ異動になりました。)
もし「I transferred.」と言ったら、どう伝わる?
もしあなたが、A社からB社へ転職した状況で、相手に I transferred.
と言ったとしましょう。
相手は、「(あなたが今も所属している会社の)別の部署か、別の支社に異動したんだな」と解釈してしまいます。これでは、あなたの状況が正しく伝わらず、混乱を招いてしまいます。
では、ネイティブはどう言う?「転職する」の自然な英語表現
それでは、「会社を変わる=転職する」は、どのように表現するのが最も自然なのでしょうか。代表的なフレーズをご紹介します。
① change jobs
:最も一般的で万能な表現
日本語の「転職する」に最も近いのが、この change jobs
です。同じ職種で会社を移る場合も、違う職種に移る場合も、幅広く使うことができます。
I'm planning to **change jobs** next year.
(来年、転職する予定です。)
She **changed jobs** to pursue her dream.
(彼女は、夢を追いかけるために転職しました。)
② move to a new company
:より具体的に「会社を移る」
「新しい会社へ移る」という、具体的で分かりやすい表現です。change jobs
と同じように使えますが、少し柔らかいニュアンスも含まれます。
I decided to **move to a new company** for a better work-life balance.
(ワークライフバランスを改善するため、新しい会社に移ることにしました。)
③ start a new job/role
:「新しい仕事を始める」という前向きな表現
すでに次の職場が決まっている場合に、「辞めた」ことよりも「始まる」ことを強調する、非常にポジティブな表現です。
I'm excited to **start a new role** as a project manager next month.
(来月から、プロジェクトマネージャーとして新しい役割を始めることに、とてもワクワクしています。)
【使い分けクイズ】”transfer” vs “change jobs”
この2つの違いを、具体的なシチュエーションで確認してみましょう。
- シチュエーションA:
A商事の東京本社から、A商事の大阪支社へ移った。
→ この場合は、同一企業内の異動なので、transfer
を使います。
正解:I **transferred** to the Osaka branch.
- シチュエーションB:
A商事を辞めて、ライバル企業のB商事へ移った。
→ この場合は、会社自体が変わっているので、change jobs
やmove to
を使います。
正解:I **changed jobs** and **moved to** B Corp.
不正解:I transferred to B Corp.
← これでは「B商事に(A商事から)出向したのかな?」という誤解を生む可能性があります。
正しい言葉選びで、あなたのキャリアを正確に伝えよう
「転職」という、あなたのキャリアにおける重要な決断。
その事実を英語で伝える際には、transfer
ではなく、change jobs
や move to a new company
といった、状況に合った、より正確で自然な表現を使いましょう。
正しい言葉を選ぶことは、あなたの英語力を正しく示すだけでなく、あなたのキャリアの歩みを、誤解なく、そしてプロフェッショナルに相手に伝えるための、非常に重要なコミュニケーションスキルなのです。