「転職してきた」経歴を英語で語る|あなたのキャリアを魅力的な物語にする方法
転職活動の面接で、採用担当者からこう言われたとします。
「あなたのこれまでのキャリアについて、教えていただけますか?(Could you walk me through your career path?)」
これは、単に職務経歴書に書かれた会社名を、順番に読み上げてほしい、という質問ではありません。
それは、あなたが、**どのような想いや目的を持って「転職してきた」のか、その背景にある「あなただけの物語」**を、採用担当者が知りたい、というサインなのです。
特に、英語での面接において、これまでのキャリアを、一貫性のある、そして魅力的なストーリーとして語れるかどうかは、あなたの評価を大きく左右する、極めて重要なスキルとなります。
この記事では、あなたの「転職してきた」という事実を、単なる経歴の羅列ではなく、あなたの成長とポテンシャルを示す、説得力のある「キャリアストーリー」として、英語で語るための具体的な方法とフレーズを、分かりやすく解説していきます。
「転職してきた」は、あなたの「成長の物語」
まず、最も大切なマインドセットは、あなたのキャリアは、あなたという主人公が、成長していくための「物語」であると捉えることです。面接官は、その物語のあらすじを聞きたがっています。
単なる事実の羅列で終わらせない
- NG: 「A社で3年、B社で2年働きました。」
- OK: 「A社で〇〇を経験した後、△△というスキルを身につけるため、B社へ移りました。」
このように、それぞれの転職が、あなたにとってどんな意味を持ち、次のステップへとどう繋がっていったのか、その**「繋がり」**を意識することが重要です。
過去から現在、そして「未来」へ繋げる
優れたキャリアストーリーは、必ず、**過去(これまでの経験)**から、現在(なぜ、今、この会社に応募しているのか)、そして、**未来(入社後、どう貢献したいか)**へと、時間軸が繋がっています。あなたの物語のクライマックスが、応募先企業での活躍であることを、明確に示しましょう。
一貫した「テーマ」を見つける
たとえ、あなたが異なる業界や職種を経験してきたとしても、そのキャリア全体を貫く「一貫したテーマ」を見つけ出すことが、物語に説得力を持たせる鍵となります。
それは、「一貫して、顧客の課題解決に貢献してきた」ということかもしれませんし、「新しい技術を学び、それをビジネスに応用することに挑戦し続けてきた」ということかもしれません。
【英語フレーズ】キャリアの歩みを語るための、3つの構成要素
あなたのキャリアストーリーを、英語でスムーズに組み立てるための、3つの構成要素と、それぞれの場面で使えるフレーズをご紹介します。
① 各ステップの「始まり」を語る
キャリアの出発点や、それぞれの会社でのスタートを説明するフレーズです。
I started my career at [会社名] as a [役職名].
(私は、[会社名]で、[役職名]としてキャリアをスタートしました。)My first role was in the sales department.
(私の最初の役職は、営業部でした。)After X years, I moved to [会社名].
(X年後、[会社名]へ移りました。)
② 転職の「目的」と「得たもの」を語る
それぞれの転職が、あなたにとって、どんな目的を持ったステップだったのかを具体的に語ります。
I changed jobs in order to gain experience in [分野名].
([分野名]での経験を積むために、転職しました。)At that company, I learned how to manage a team.
(その会社で、私はチームをマネジメントする方法を学びました。)That role gave me the opportunity to work with global clients.
(その役職は、私にグローバルなクライアントと仕事をする機会を与えてくれました。)
③ 「次」のステップ(応募先)に繋げる
そして、物語の結論として、なぜ今、目の前の会社を志望しているのかを、力強く結びつけます。
Now, I am looking for an opportunity to utilize these combined skills.
(そして今、私は、これらの複合的なスキルを活かす機会を探しています。)That's why I was so interested in this position at your company.
(だからこそ、私は、御社のこのポジションに大変興味を持ちました。)I believe my unique background makes me a strong candidate for this role.
(私のこのユニークな経歴こそが、この役職にとって、自分を強力な候補者にしていると信じています。)
【面接の例文】「これまでの経歴を教えてください」への、完璧な回答
それでは、これらの要素を組み合わせて、面接での回答を組み立ててみましょう。
“Certainly. I started my career in sales at a domestic electronics manufacturer. There, I learned the fundamentals of building client relationships and sales planning.”
“After three years, I decided to change jobs and moved to an IT company. My goal was to gain experience with intangible, solution-based products, which I believed was crucial for my future career. At that company, I was responsible for selling SaaS to small and medium-sized businesses, and I learned how to identify complex customer needs and propose logical solutions.”
“Now, having experienced both tangible and intangible product sales, I am looking for an opportunity to leverage this comprehensive skill set at a global company like yours, which offers integrated hardware and software solutions to top-tier enterprise clients. That is why I was so excited to apply for this position.”
あなたのキャリアは、あなただけのオリジナルストーリー
「転職してきた」というあなたの経歴は、決して隠すべきものでも、言い訳すべきものでもありません。
それは、あなたが常に成長を求め、主体的にキャリアを切り拓いてきた証であり、あなたという人間を形作る、かけがえのない「オリジナルストーリー」です。
大切なのは、その物語を、あなた自身が、自信と一貫性を持って語ること。
そうすれば、あなたのキャリアの歩みは、採用担当者の心に深く響き、未来への大きな期待を抱かせる、最高の自己PRとなるでしょう。