英語力を武器に転職するなら、どの業界？【業界別】仕事内容と求められるレベルを徹底解剖

「自分の英語力を活かして、キャリアアップしたい。でも、一体どの業界を目指せば、そのスキルを最大限に発揮できるのだろう？」

グローバル化が加速する現代において、英語力は多くのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。しかし、その武器の価値は、どの「戦場」を選ぶかによって大きく変わってきます。

この記事では、英語力が求められる主要な業界をピックアップし、それぞれの仕事内容、求められる英語レベル、そしてキャリアの将来性まで、業界別に徹底比較・解説します。あなたの英語力が最も輝くステージを見つけるための、羅針盤としてご活用ください。

なぜ今、多くの業界で「英語力」が必須スキルになっているのか？

かつて、英語は商社や外資系企業など、一部の業界で使われる特別なスキルでした。しかし、今やその常識は覆され、多くの業界で英語力が必須、あるいは極めて有利なスキルとして位置づけられています。その背景には、以下のような大きな変化があります。

• ビジネスのグローバル化: 海外市場への進出、海外からの部品調達や生産委託（サプライチェーンの国際化）、海外からの投資受け入れなど、あらゆるビジネスが国境を越え、英語は世界共通のビジネス言語としての地位を確立しました。
• 情報収集の優位性: 新技術の論文、最新の市場動向、競合他社の戦略など、ビジネスに不可欠な質の高い一次情報は、そのほとんどが英語で発信されます。情報へのアクセススピードと質が、企業の競争力を左右する時代なのです。
• 人材の多様化: 国内においても、外国籍の同僚、上司、顧客はもはや珍しい存在ではありません。多様なバックグラウンドを持つ人々と円滑に協業し、新たな価値を創造するために、英語でのコミュニケーション能力が求められています。

【業界別】英語が活きる仕事とキャリアの可能性

では、具体的にどのような業界で、あなたの英語力は輝きを放つのでしょうか。代表的な業界とその特徴を見ていきましょう。

① IT・ソフトウェア業界

• 英語が必要な理由: 技術の標準が世界共通であり、最新の技術ドキュメントや開発者コミュニティは英語が基本です。また、海外に開発拠点を置いたり、多国籍なエンジニアチームで開発を進めたりすることが一般的であるため、英語でのコミュニケーションは日常茶飯事です。
• 職種例: ITエンジニア、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、外資系SaaS企業のセールス・カスタマーサクセス
• 求められる英語レベル: TOEIC® 700点〜。特に、技術仕様書などを正確に読み書きする能力が重要視されます。

② メーカー（製造業）

• 英語が必要な理由: 海外工場の管理、世界中からの部品調達、そしてグローバル市場への製品販売など、開発から生産、販売に至るサプライチェーン全体で、英語を使ったコミュニケーションが不可欠です。
• 職種例: 海外営業、購買・調達、生産管理、品質保証、研究開発（R&D）
• 求められる英語レベル: 部署により幅がありますが、**TOEIC® 650点〜**が目安。海外顧客と直接交渉する営業職や、海外のエンジニアと議論する開発職では、800点以上が求められることも珍しくありません。

③ 商社

• 英語が必要な理由: まさにグローバルビジネスの最前線。世界中のサプライヤーと顧客を繋ぎ、金属、エネルギー、食料といった様々な商品のトレーディングや、海外での事業投資を行います。英語ができなければ、仕事そのものが成り立ちません。
• 職種例: 営業（トレーダー）、事業投資担当、コーポレート部門（財務・法務など）
• 求められる英語レベル: TOEIC® 800点以上が最低ライン。タフな交渉を有利に進めるための、高度で論理的なコミュニケーション能力が必須です。

④ 金融業界（特に外資系）

• 英語が必要な理由: 世界中の金融市場とリアルタイムで連動しており、海外の機関投資家やアナリストとのやり取りが日常的に発生します。
• 職種例: アセットマネジメント、M&Aアドバイザリー、外資系投資銀行のアナリスト、証券アナリスト
• 求められる英語レベル: TOEIC® 900点以上、あるいはそれと同等以上の、金融の専門用語を駆使できるネイティブレベルの英語力が求められます。

⑤ 医薬品・医療機器業界

• 英語が必要な理由: 最新の医学論文や臨床データは、そのほとんどが英語で発表されます。また、海外の製薬企業とのライセンス契約や共同開発、外資系企業の日本法人における本社との連携など、英語力が不可欠な場面が多数あります。
• 職種例: 研究開発（R&D）、メディカルアフェアーズ（MA）、薬事申請、マーケティング
• 求められる英語レベル: TOEIC® 800点～。専門用語を正確に理解し、誤解なくコミュニケーションを取る能力が極めて重要です。

⑥ 観光・ホテル業界

• 英語が必要な理由: インバウンド需要の増加により、海外から訪れる旅行客への対応は、今やホテルや旅行会社の生命線です。
• 職種例: ホテルのフロント・コンシェルジュ、旅行会社のツアー企画・手配、インバウンド向けマーケティング
• 求められる英語レベル: TOEIC® 600点～。流暢さ以上に、相手に寄り添う「おもてなしの心」と、丁寧なコミュニケーションが重視される分野です。

業界選びで失敗しないための3つの視点

数ある選択肢の中から、自分に最適な業界を見つけるためには、以下の3つの視点で考えてみましょう。

視点1：自分の「専門性」と掛け合わせる

英語はあくまで、あなたの価値を高めるための強力なツールです。最も重要なのは、**「自分は何のプロフェッショナルか」**ということです。これまでのキャリアで培ってきた専門知識やスキルを、どの業界でなら最も活かせるか、という視点で考えることが、成功への第一歩です。

視点2：求められる「英語スキルの種類」を見極める

一口に英語力と言っても、求められるスキルは様々です。読み書きが中心の仕事（貿易事務など）なのか、会話力が重視される仕事（営業、接客など）なのか。自分の得意なスキルと、業界・職種で求められるスキルが合致しているかを確認しましょう。

視点3：業界の「将来性」と「文化」をリサーチする

その業界は、これから伸びていく成長市場なのか。そして、その業界特有の文化（例：外資系の実力主義、日系メーカーの安定性やチームワーク重視など）は、自分の価値観や理想の働き方に合っているか。長期的な視点でリサーチすることが、後悔のない選択に繋がります。

まとめ

英語力は、あなたを特定の業界に縛りつけるものではありません。むしろ、業界の垣根を軽々と越え、自身のキャリアを自由に選択するための、翼のようなものです。

大切なのは、「どの業界が一般的に良いか」ではなく、「どの業界が、自分の強みを最大限に活かせ、かつ自分自身が成長し続けられる場所なのか」を見極めることです。

この記事を参考に、ぜひ幅広い視野で業界をリサーチし、あなたの英語力が最も輝く、最高のステージを見つけてください。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。