転職で「営業利益」を意識するとキャリアは変わる。企業の選び方と面接でのアピール術
営業職の転職を考えたとき、多くの人が自身のキャリアを「売上〇〇円達成」「達成率〇〇%」といった**「売上」という指標で語りがちです。しかし、本当に優秀な営業パーソンや、将来性のある優良企業が注目しているのは、その先にある「営業利益」**なのです。
「営業利益を意識するって、具体的にどういうこと?」
「それが、自分の転職活動とどう関係があるの?」
もしあなたがそう感じたなら、この記事はあなたの市場価値を大きく高め、後悔のない転職を実現するための、新たなキャリアの羅針盤となるはずです。営業利益という視点を持つことで、仕事の質が変わり、見える世界が変わり、そしてあなたのキャリアそのものが変わります。
そもそも「営業利益」とは?売上との決定的な違い
まず、基本となる言葉の定義を正しく理解しておきましょう。
- 売上高: 商品やサービスを販売して得た代金の総額です。
- 営業利益: その売上高から、商品の仕入れ値である**「売上原価」と、人件費や広告費、家賃といった「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いた、「企業が本業で稼いだ儲け」**のことです。
たとえ売上が1億円あっても、コストに9,900万円かかっていれば、営業利益は100万円です。一方で、売上が8,000万円でも、コストが5,000万円なら、営業利益は3,000万円になります。
つまり、企業の**「本当の稼ぐ力」**を示しているのが、この営業利益なのです。
「できる営業」は利益を意識する。明日からできる3つの行動
「利益を意識する」と言っても、難しいことではありません。日々の営業活動の中で、少し視点を変えるだけで、あなたの仕事は「売る」から「稼ぐ」へと進化します。
- 無理な値引き交渉に応じない安易な値引きは、売上を立てやすくする一方で、会社の利益を直接的に削る行為です。値引きで契約を取るのではなく、製品やサービスの持つ本来の「価値」を顧客にしっかりと伝え、適正な価格で納得してもらうことに全力を注ぎます。
- 利益率の高い商品を戦略的に提案する自社が扱う商品ラインナップの中で、どの商品が利益率の高い「儲かる商品」なのかを把握しましょう。そして、その商品を、ニーズの合う顧客に戦略的に提案することで、会社全体の収益に大きく貢献できます。
- コスト意識を持つ営業活動には、交通費や交際費、資料の印刷代など様々な経費がかかります。これらのコストは、最終的に営業利益を圧迫する要因になります。無駄な経費を削減し、費用対効果を意識して活動することも、利益への貢献です。
なぜ優良企業は「営業利益」が高いのか?転職先選びの新たな視点
転職先を選ぶ際に、企業の「営業利益」や「営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)」に注目することは、極めて重要です。
営業利益が高い企業の特徴
- 高い付加価値を持つ製品・サービスがある: 価格競争に陥らない、独自の技術やブランド力を持っています。
- 効率的な経営体制が整っている: 無駄なコストが少なく、筋肉質で健全な経営ができています。
営業利益が高い企業へ転職するメリット
- 給与や賞与への還元が期待できる: 会社がしっかり儲かっているため、社員への還元も手厚い傾向にあります。
- 事業の安定性と将来性: 稼ぐ力があるため、不況時にも強く、研究開発や新規事業への投資も積極的に行えます。
- 疲弊しない営業活動ができる: 会社として無理な安売りを推奨しないため、営業は価値提案に集中でき、やりがいを感じやすい環境です。
上場企業であれば、企業のIR情報サイトにある「決算短信」や「有価証券報告書」といった資料で、誰でも営業利益を確認することができます。ぜひ一度、気になる企業の「稼ぐ力」をチェックしてみてください。
面接で差がつく!「営業利益への貢献」をアピールする方法
転職の面接で、この「利益意識」をアピールできれば、他の候補者と大きく差別化を図ることができます。
職務経歴書でのアピール
単に売上実績を書くだけでなく、「高利益率商材の提案により、担当エリアの利益率を前年比5%改善」「業務プロセスの見直しを提案し、営業経費を年間〇〇万円削減」といった、利益への貢献を意識した記述を加えましょう。
面接でのアピール(回答例文)
面接官から「あなたの強みは何ですか?」と聞かれた際に、以下のように答えることができます。
【回答例】
「私の強みは、単に売上目標を追うだけでなく、常に利益を意識した営業活動ができる点です。前職では、価格競争に陥りがちだったAという商材に対し、付加価値の高いBという高利益率のオプションをセットで提案する手法を考案しました。その結果、顧客単価を平均15%向上させることに成功し、事業部全体の利益率改善に貢献することができました。」
このように、具体的なエピソードを交えて「利益への貢献」を語ることで、単なる営業担当者ではなく、ビジネス視点を持った優秀な人材であることを強く印象付けられます。
「売る」から「稼ぐ」へ。利益視点で、市場価値の高い営業になろう
営業の本当の役割は、目の前の商品を売ることだけではありません。その活動を通じて、会社の利益を生み出し、企業の持続的な成長に貢献することです。
「営業利益」という視点を持つことで、あなたの仕事の質は格段に向上し、転職市場におけるあなたの価値も飛躍的に高まります。この記事をきっかけに、日々の仕事やこれからの転職活動において「利益」を意識し、より戦略的で市場価値の高い営業パーソンを目指してみてはいかがでしょうか。