営業職の転職、お世話になった方へ贈るプレゼント|相場とマナー、感謝が伝わる選び方
営業としての日々を振り返ったとき、厳しい場面で助けてくれた上司、共に目標を追いかけた同僚、そして、未熟だった自分を信頼してくれたお客様…。多くの人々の顔が思い浮かぶのではないでしょうか。
転職という新たな門出にあたり、「これまでの感謝の気持ちを、何か形にして伝えたい」と考えるのは、素晴らしい人間関係を築いてきたあなただからこその、とても素敵な心遣いです。
しかし、いざプレゼントを選ぶとなると、「何を贈れば失礼にならないだろうか」「相場はどのくらいが適切なのだろう」「いつ、どうやって渡すのがスマート?」と、意外と悩んでしまうものです。
この記事では、あなたの「ありがとう」の気持ちがまっすぐに伝わるよう、贈る相手や関係性に応じた最適なプレゼント選びから、知っておきたいマナー、そして心に響くメッセージの文例まで、詳しく解説していきます。
プレゼント選びの前に。押さえておきたい基本マナー
感謝の気持ちが、かえって相手の負担になってしまっては本末転倒です。まずは、プレゼント選びの基本マナーを押さえておきましょう。
相手に気を使わせない「相場感」を知る
プレゼントは、高価であれば良いというものではありません。相手との関係性を考慮し、気を使わせない程度の金額に収めるのが大人のマナーです。
- お世話になった上司・先輩へ: 5,000円~10,000円程度
- 同僚・後輩へ: 1,000円~3,000円程度
- 部署全体へ: 3,000円~5,000円程度
上記はあくまで一般的な目安です。大切なのは、金額よりも感謝の気持ちです。
避けたほうが良いNGな贈り物
退職の挨拶というシーンでは、縁起を担ぐ意味合いから、避けたほうが無難とされる品物があります。
- ハンカチ: 日本語で「手巾(てぎれ)」と書くことから、「手切れ=別れ」を連想させます。
- 刃物(ハサミ、ナイフなど): 「縁を切る」という意味合いを持ちます。
- 現金・商品券: 特に目上の方に対しては、「生活の足しにしてください」という意味に取られかねず、失礼にあたる場合があります。
会社の規則も確認しよう
特に、お世話になったお客様への贈り物については注意が必要です。企業によっては、コンプライアンス規定で取引先との金品や贈り物の授受を厳しく制限している場合があります。感謝の気持ちを伝えるつもりが、かえって相手を困らせてしまうことのないよう、事前に自社の規則を確認しておくと安心です。
【相手別】感謝が伝わるプレゼントの選び方とおすすめアイデア
贈る相手の顔を思い浮かべながら、ぴったりの一品を選んでみましょう。
① お世話になった上司・先輩へ
テーマ:これからのビジネスシーンでの活躍を願う、上質で実用的なアイテム
厳しくも温かい指導への感謝を込めて。自分ではなかなか買わないけれど、もらうと嬉しい、少し背伸びしたクラスのものが喜ばれます。
- 高級ボールペンや万年筆: 大切な契約サインの場面で、あなたのことを思い出してくれるかもしれません。(例:パーカー、クロス、ラミーなど)
- 本革の名刺入れ: 新しいステージでの出会いを応援する気持ちを込めて。
- 上質なネクタイ: 相手の好みが分かる場合に。新しい門出にふさわしい、明るい色柄も素敵です。
- デスクで楽しめるコーヒー・紅茶のギフトセット: 仕事の合間のリラックスタイムを、豊かにする贈り物です。
② 苦楽を共にした同僚へ
テーマ:気兼ねなく受け取れて、日々の疲れを癒してくれるアイテム
共に励まし合い、時には愚痴を言い合った戦友へ。「今までありがとう、これからも頑張ってね」という気持ちを込めて、気軽に受け取れるものが良いでしょう。
- おしゃれなハンドクリームやリップバーム: 男女問わず、デスクワークの必需品です。
- ちょっと贅沢なバスソルトや入浴剤のセット: 「疲れた時は、これでゆっくり休んでね」というメッセージが伝わります。
- 人気のスイーツや話題のお菓子: 甘いものが好きな同僚へ。休憩時間に話のきっかけにもなります。
- 気の利いた文房具: 使いやすいノートや、少し変わったデザインの付箋など。
③ これからを担う後輩へ
テーマ:今後の成長を応援する、エールを込めた実用的なアイテム
あなたの背中を見て育ってきた後輩へ。「あとは任せたよ、頑張って!」という応援の気持ちを込めて、成長の糧になるような贈り物がおすすめです。
- ビジネス書: あなたが読んで感銘を受けた、営業やキャリアに関する本。
- 使いやすいノートとペンのセット: 「これでたくさんお客様の話を聞いて、成長してね」というメッセージを添えて。
- PC周りの便利グッズ: モバイルバッテリーや、PCスタンドなど、日々の業務を少し快適にするアイテム。
④ 部署全体へ
テーマ:みんなで楽しめる、分けやすい「消えもの」
個別に渡すのが難しい場合や、部署全体への感謝を示したい場合は、休憩時間にみんなで楽しめるお菓子などが定番です。
- 個包装された有名パティスリーの焼き菓子: クッキーやフィナンシェなど、日持ちがして分けやすいものがベスト。
- ドリップコーヒーやティーバッグの詰め合わせ: 休憩室に置いておけば、誰でも好きな時に楽しめます。
いつ、どう渡す?スマートな渡し方とタイミング
プレゼントを渡す際は、タイミングも重要です。
- ベストなタイミングは「最終出社日」業務の邪魔にならないよう、朝礼後や終業後など、比較的時間に余裕のあるタイミングで、一人ひとりに挨拶をしながら直接手渡すのが最も丁寧で、気持ちが伝わります。
- 送別会で渡す場合送別会を開いてもらった場合は、会の終盤、締めの挨拶の際に、代表者(上司など)や部署全体へのプレゼントを渡すとスマートです。
- お客様へのご挨拶基本的には、後任担当者との引き継ぎ挨拶に伺い、これまでの感謝を直接言葉で伝えるだけで十分です。もし何かを渡す場合は、会社の規則を確認した上で、個人名ではなく会社として、全員で分けられる菓子折りなどにするのが無難です。
気持ちが何倍にも伝わる、メッセージカードの文例
プレゼントには、ぜひ手書きのメッセージカードを添えましょう。短い言葉でも、気持ちの伝わり方が全く違います。
【メッセージのポイント】
- 具体的なエピソードを交えた、あなただけの感謝の言葉
- 相手の今後の健康や活躍を願う言葉
- 自分の今後の抱負
<例文(上司向け)>
〇〇部長
〇年間、大変お世話になりました。
特に、私が新規開拓で伸び悩んでいた際にいただいた「答えはお客様の中にある」というアドバイスは、今でも私の営業活動の指針です。
部長からいただいた多くの学びを胸に、次のステージでも精一杯頑張ります。
部長の今後の益々のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
令和〇年〇月〇日
営業部 〇〇 〇〇
<例文(同僚向け)>
〇〇さん
いつも相談に乗ってくれて、本当にありがとう!
去年の△△プロジェクト、〇〇さんがいなければ絶対に乗り越えられませんでした。
これからも、持ち前の明るさで頑張ってね!私も負けないように頑張ります。
また近いうちに、ぜひ飲みに行きましょう!
〇〇より
最高のプレゼントは、あなたの「感謝の気持ち」
プレゼント選びに悩む時間は、それだけあなたが周りの人々に感謝している証拠です。しかし、忘れないでください。どんなに高価な贈り物よりも、あなたの口から直接伝える「ありがとうございました」という言葉と、誠実な気持ちこそが、最高のプレゼントです。
立つ鳥跡を濁さず。素晴らしい人間関係を築いてきたあなただからこそ、気持ちの良い形で新たな門出を迎え、次のステージでも、きっと多くの人に愛されることでしょう。