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営業の転職、どこまで話していい?「営業秘密」の境界線と注意点

岩下隼人
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営業職としてキャリアを積んできたあなたが転職を決意したとき、その頭の中には、これまでの経験で培った知識、ノウハウ、そして大切なお客様の情報といった、多くの「資産」があるはずです。

新しい職場で一日も早く成果を出したいと思うあまり、「この知識や情報は、どこまで使っていいのだろう?」と、その境界線に悩むことはありませんか。

これは、あなたのキャリアと信頼を守る上で非常に重要な問題です。意図せずとも、前職の「営業秘密」を侵害してしまえば、法的なトラブルに発展する可能性すらあります。この記事では、安心して新しいキャリアをスタートさせるために、営業職の転職において知っておくべき「営業秘密」のルールと、クリーンに成果を出すための方法を詳しく解説します。

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あなたの知識はどこから「営業秘密」になるのか?

まず、何が法的に保護される「営業秘密」にあたるのかを正しく理解しましょう。日本の「不正競争防止法」では、営業秘密として認められるために、以下の3つの条件を満たす必要があると定められています。

  1. 秘密として管理されていること(秘密管理性)その情報が「秘密である」ことが、従業員に明確に示されている状態です。例えば、「CONFIDENTIAL」といったスタンプが押された書類、アクセス制限がかけられた顧客データベースなどがこれにあたります。
  2. 事業活動に役立つ技術上または営業上の情報であること(有用性)顧客リスト、販売マニュアル、価格情報、具体的な営業ノウハウなど、企業の競争力の源泉となる情報が該当します。
  3. 公然と知られていないこと(非公知性)インターネットで検索すれば誰でも手に入るような情報や、業界新聞に掲載されているような情報は、営業秘密にはあたりません。

あなた自身の「スキル」や「経験」は営業秘密ではない

ここで最も重要なことは、あなたが仕事を通じて体得した「スキル」や「経験」そのものは、営業秘密にはあたらないということです。例えば、ヒアリング能力、交渉術、課題解決の思考プロセスといった能力は、あなた個人の資産であり、転職先で存分に発揮して問題ありません。

問題となるのは、USBメモリや紙で物理的に持ち出したデータ、あるいは記憶していたとしても、前職で秘密として管理されていた具体的な「情報」そのものを利用することです。

【具体例】これはOK?NG?転職時のグレーゾーン

具体的なケースで、OKかNGかの境界線を見ていきましょう。

  • 前職の顧客リストを持ち出し、アプローチする【完全NG】 これは、営業秘密の不正利用にあたる典型的な例です。絶対にやめましょう。法的な責任を問われるリスクが非常に高い行為です。
  • 自分の頭の中にある顧客の記憶を頼りに、連絡を取る【グレーゾーン・非推奨】 記憶であっても、前職の秘密情報である顧客リストを体系的に再現して利用することは、不正の意図があると見なされる可能性があります。
  • 前職で使っていた提案書のテンプレートを流用する【NG】 提案書も企業の著作物であり、営業ノウハウが詰まった資産です。フォーマットやデザイン、文言などをそのまま流用することは避けましょう。
  • 前職で培った営業ノウハウやスキルを活かす【OK】 「〇〇業界の顧客には、△△というアプローチが有効だった」といった、あなた自身が体得したスキルや知見は、あなたのものです。どんどん活用しましょう。

誓約書にサインした。「競業避止義務」の効力とは

退職時に「競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)」に関する誓約書にサインを求められることがあります。これは、「一定期間、競合他社に転職したり、同種の事業を自分で始めたりしない」という約束です。

しかし、この義務は「職業選択の自由」を制限するため、無制限に有効なわけではありません。その効力が認められるかは、「期間」「場所」「職種の範囲」が合理的で、かつ十分な代償(高い給与など)が支払われていたかなど、個別のケースで判断されます。もし、不当に広範囲な制約だと感じる場合は、安易にサインせず、専門家に相談することも検討しましょう。

新しい職場で成果を出すためのクリーンな方法

前職の情報に頼らずとも、あなたの力で成果を出す方法はいくらでもあります。

  • まずは自社の製品・サービス・営業スタイルを徹底的に学ぶ新しい職場で最も重要なのは、その会社のやり方を素直に学び、吸収することです。それが、成果への一番の近道であり、周囲からの信頼にも繋がります。
  • 公開情報から、顧客との接点を再構築する前職で担当していた顧客と、どうしてももう一度仕事がしたい場合。その企業のウェブサイトの問い合わせフォームから連絡したり、人事異動のプレスリリースを参考にしたり、あるいはLinkedInのようなビジネスSNSを通じて、公な情報からアプローチするのが正攻法です。
  • 自分の「スキル」で勝負する前職の顧客リストではなく、前職で培った「リストの作り方」「アプローチの仕方」というスキルを活かして、新しい顧客リストをゼロから作成しましょう。それこそが、あなたの本当の実力です。

もし転職先で前職の情報を聞かれたら?

新しい上司や同僚から、善意で「前の会社では、A社にどういう提案をしていたの?」などと聞かれることがあるかもしれません。その際は、以下のように、誠実かつ毅然と断ることが、逆にあなたの信頼を高めます。

「申し訳ありません。前職の守秘義務に関わるため、具体的な情報はお話しできません。貴社に入社したからには、同様に貴社の情報管理を徹底いたします。」

このように答えることで、あなたは「口が堅く、信頼できるプロフェッショナルである」という印象を与えることができます。

信頼こそが、最高の営業資産

営業職の転職において、前職の情報を守ることは、単なる法律遵守やリスク回避のためだけではありません。それは、ビジネスパーソンとしてのあなたの**「信頼性」**そのものを示す行為です。

目先の成果のために安易な道を選ばず、誠実な姿勢を貫くこと。それこそが、長期的にあなたのキャリアを築き、顧客や同僚からの揺るぎない信頼を勝ち取るための、最高の営業資産となるのです。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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