「貴学」?「貴校」?大学職員への転職で迷わない、正しい“呼び方”完全マニュアル
「憧れの大学への転職。いざ、応募書類を書き始めたとき、ふと手が止まる…」
「志望動機で、大学のことに触れたいけれど、この場合は“貴校”でいいんだっけ?」
「“貴学”という言葉も聞いたことがあるけど、どう使い分ければ…?」
普段、あまり使う機会のない言葉だからこそ、いざという時に迷ってしまうのが、大学に対する「敬称」、すなわち“呼び方”です。
たかが呼び方、されど呼び方。正しい敬称の使い方は、あなたの社会人としての常識と、応募先への敬意を示すための、大切な第一歩です。
この記事では、そんな大学職員への転職における「呼び方」に関するあらゆる疑問を解決し、あなたが自信を持って選考に臨むための、完全マニュアルをお届けします。
大原則はこれだけ!「書き言葉」と「話し言葉」の使い分け
まず、日本のビジネスシーンにおける、敬称の最も基本的なルールを思い出しましょう。これは、大学が相手でも全く同じです。
- 書き言葉(履歴書・メールなど) → 「貴」応募書類やメールなど、文章で相手への敬意を示す際には、「貴社」「貴行」と同じく、「貴」という漢字を使います。大学の場合は、「貴学」「貴校」「貴園」などがこれにあたります。
- 話し言葉(面接・電話など) → 「御(おん)」面接や電話など、口頭で相手への敬意を示す際には、「御社(おんしゃ)」「御行(おんこう)」と同じく、「御」という漢字を当て、「おん」と読みます。大学の場合は、「御学(おんがく)」「御校(おんこう)」「御園(おんえん)」となります。
「書くときは“貴”、話すときは“御”」。まずは、この大原則をしっかりと頭に入れましょう。
【これで完璧】応募先別・正しい「呼び方」一覧表
基本ルールを踏まえた上で、応募先の学校の種類によって、どの敬称を使うのが最も適切か、一覧で確認してみましょう。
応募先の種類 | 書き言葉(書類) | 話し言葉(面接) | 備考 |
大学・短期大学 | 貴学(きがく) | 御学(おんがく) | 最も一般的で丁寧な表現です。「貴大学」も使えます。 |
大学院 | 貴学府(きがくふ) | 御学府(おんがくふ) | 「貴大学院」「御大学院」も正しい表現です。 |
高等学校 | 貴校(きこう) | 御校(おんこう) | 中学・高校・専門学校など、幅広く使えます。 |
中学校 | 貴校(きこう) | 御校(おんこう) | |
小学校 | 貴校(きこう) | 御校(おんこう) | |
幼稚園・こども園 | 貴園(きえん) | 御園(おんえん) | 「園」で終わる施設には「貴園」を使います。 |
専門学校 | 貴校(きこう) | 御校(おんこう) | |
学校法人そのもの | 貴学園(きがくえん) | 御学園(おんがくえん) | 複数の学校を運営する法人全体を指す文脈で使います。 |
「貴学」と「貴校」— 最も迷いやすい、使い分けのポイント
多くの方が最も混同しやすいのが、「貴学」と「貴校」の使い分けでしょう。
「学」は、大学・大学院に使う、より丁寧な呼び方
「大学」「短期大学」「大学院」のように、教育機関の種類に「学」の字がつく場合は、**「貴学(御学)」**を使うのが最も丁寧で、一般的なマナーとされています。「学問の府」への敬意を表す言葉、と覚えておくと良いでしょう。
「校」は、広く使える便利な呼び方
「学校」と名の付く、高等学校、中学校、小学校、専門学校などには、幅広く**「貴校(御校)」**を使います。
もし、大学に「貴校」を使ってしまったら?
ご安心ください。大学に対して、間違えて「貴校」を使ってしまったとしても、それだけで即座に不採用になるような、致命的なマナー違反ではありません。しかし、正しい「貴学」という言葉を自然に使えることは、あなたが「細やかな配慮ができる、丁寧な人物であること」や、「応募先への理解度が高いこと」を示す、さりげないアピールに繋がります。
【例文付き】履歴書・面接での具体的な使い方
実際の使用シーンをイメージしてみましょう。
【履歴書の志望動機欄(大学応募の例)】
「〇〇という理念を掲げ、長年にわたり地域社会の発展に貢献されている貴学の姿勢に深く共感し、志望いたしました。前職で培った広報の経験を活かし、貴学の魅力をさらに多くの人々に伝えていきたいと考えております。」
【面接での受け答え(専門学校応募の例)】
面接官:「なぜ、数ある学校の中から本校を志望されたのですか?」
応募者:「はい。御校の『実践教育』を重視する方針と、業界の第一線で活躍されている先生方の指導に魅力を感じたからです。」
【学校法人全体を指す場合】
「貴学園が、幼稚園から大学までの一貫した教育理念のもとで、人材育成に取り組まれている点に感銘を受けました。」
呼び方の間違いは、選考にどれくらい影響する?
結論から言えば、敬称を一つ間違えただけで、不合格になることは稀です。採用担当者は、あなたのこれまでの経験やスキル、そして仕事への熱意といった、より本質的な部分を重視しています。
**ただし、**社会人としての基本的なビジネスマナーを疑われたり、「あまり準備をしてこなかったのかな」「志望度が低いのかもしれない」という、わずかなマイナスイメージを与えてしまったりする可能性は否定できません。
「細部まで気を配れる、丁寧な人物である」というポジティブな印象を与えるチャンスを逃さないためにも、正しい言葉遣いを心がけるに越したことはありません。
まとめ
大学職員への転職における「呼び方」は、一見すると複雑に感じるかもしれません。しかし、
- 書くときは「貴」、話すときは「御」
- 大学・大学院には「学」、それ以外には「校」
という基本を押さえておけば、大きく間違うことはありません。
そして、最も大切なのは、呼び方という形式以上に、その大学が持つ**「建学の精神」や教育への想いを深く理解し、心からの敬意を持って選考に臨む姿勢**です。
正しい言葉遣いは、そのあなたの深い敬意を、採用担当者に的確に伝えるための、大切なツールです。ぜひ、自信を持って、憧れの大学への扉を叩いてください。