転職で大学の成績証明書は必要?提出を求められる理由と、不安を解消する全知識
転職活動もいよいよ最終盤。「内定にあたり、大学の卒業証明書とあわせて、成績証明書を提出してください」—。
採用担当者から突然そう告げられ、「なぜ、今さら大学の成績を?」「正直、成績はあまり良くなかったけど、選考に影響するのだろうか…」と、急に不安になった経験はありませんか?
新卒の就職活動では必須だった成績証明書ですが、社会人経験を積んだ転職の場で、一体なぜ求められるのでしょうか。
この記事では、そんなあなたの疑問と不安に全てお答えします。転職で成績証明書の提出を求められる本当の理由から、成績が選考に与える影響、そしてスマートな準備・対応方法まで、その全てを徹底的に解説していきます。
【結論】転職で成績証明書の提出は、求められる?求められない?
まず、皆さんが最も知りたいであろう結論からお伝えします。
一般的に、社会人の中途採用において、成績証明書の提出を求められるケースは、それほど多くはありません。 なぜなら、企業が中途採用者に最も期待しているのは、あくまで「これまでの職務経歴と、そこで培われたスキル・実績」だからです。
しかし、一部の企業や業界では、内定後や最終面接後といった、選考の最終段階で提出を求められるケースが確かに存在します。
どのような企業で求められることが多い?
- 金融機関(銀行、証券、保険など)
- コンサルティングファーム
- 一部の大手メーカーや、伝統的な大企業
- 官公庁や、学校法人などの教育機関
これらの組織に共通しているのは、候補者の**「真面目さ」や「誠実さ」、「高い基礎学力(地頭)」**を、採用の重要な判断材料の一つとして、慎重に見極めたいという傾向があることです。
なぜ企業は、転職者の「成績」を今さら確認するのか?3つの本当の理由
では、採用担当者は、あなたの成績証明書から、何を読み取ろうとしているのでしょうか。
理由1:経歴の真実性の確認(卒業・在籍確認)
これが、提出を求める最大の目的です。履歴書に記載された学歴に、嘘や偽りがないか。つまり、「本当にその大学を、その学部で卒業しているか」という、学歴詐称がないかどうかの裏付けとして、正式な証明書を確認しているのです。
理由2:基礎学力・地頭の確認
特に、高い論理的思考能力や、数的処理能力が求められるコンサルティングファームや金融専門職などでは、候補者が大学レベルの学問を、きちんと修めてきたかどうかの、基礎的な能力を判断するための一つの参考資料として、成績を確認することがあります。
理由3:人柄や興味関心の把握
あなたがどのような科目を履修し、どの分野に力を入れていたのか。その履修履歴を見ることで、「この人は、〇〇という分野に強い興味を持っているようだ」「ゼミでの活動から、チームで協働する姿勢がうかがえる」といったように、あなたの人柄や興味の方向性を、より深く理解するためのヒントにしているのです。
「成績が良くない…」その不安、選考への影響はどれくらい?
「成績に自信がないから、提出したくない…」と、不安に思う方もいるでしょう。その影響は、どの程度あるのでしょうか。
原則として、成績が合否を直接左右することは「稀」
まず、安心してください。中途採用の評価の主役は、あくまで職務経歴です。大学時代の成績が悪かったという、ただそれだけの理由で、内定が取り消されるといったケースは、よほど極端でない限り、まず考えられません。
ただし、注意すべきケースも
- 「不可」や、それに準ずる評価が異常に多い場合: 「学業に対して、不誠実だったのではないか?」と、仕事への取り組み姿勢を懸念される可能性はあります。
- 応募職種と密接に関連する専門科目の成績が極端に悪い場合: 例えば、経理職に応募しているにも関わらず、会計学関連の単位をほとんど落としている、といったケースでは、その職務への適性を疑問視される可能性があります。
面接で成績について質問された時の、誠実な答え方
もし、面接で成績について触れられたとしても、正直に、そして前向きに答えることが重要です。
- NG例: 「サークル活動が忙しくて…」「その分野には、特に興味がなくて…」
- OK例: 「当時は、学業以外の〇〇という課外活動に特に注力しており、学業との両立が、必ずしもうまくいかない時期もありました。その点は、若気の至りとして反省しております。しかし、その活動を通じて△△という、社会人としての今の私の基盤となる力を得ることができました」
このように、事実は正直に認めつつ、そこから何を得て、どう成長したかをポジティブに語ることで、あなたの誠実さと人間的な深みを伝えることができます。
慌てないための準備!成績証明書の入手方法と提出マナー
いざ提出を求められたときに、慌てないための準備も大切です。
入手方法
- ① 大学の窓口で直接申請: 各大学の教務課や学務課、証明書発行係といった窓口で、直接申請します。即日発行可能な場合もあります。
- ② オンラインでの申請: 近年、この方法が増えています。大学のウェブサイトから申請し、後日郵送されるか、提携するコンビニのマルチコピー機で発行できる大学もあります。
- ③ 郵送での申請: 大学のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要書類(身分証明書のコピーなど)と発行手数料(定額小為替など)、返信用封筒を同封して、郵送で申請します。
準備のポイントと提出時のマナー
- 発行には時間がかかる!: 郵送の場合、申請から手元に届くまで、1週間~10日程度かかることも珍しくありません。提出を求められてから申請するのではなく、転職活動を始めた段階で、あらかじめ1〜2通、取り寄せておくと安心です。
- 厳封のまま提出: 企業から「厳封(封筒の封が開けられていない状態)で提出してください」という指示があれば、絶対に自分で開封してはいけません。厳封には、その証明書が改ざんされていないことを保証する意味があります。
まとめ
転職活動における成績証明書は、主に**「あなたが申告した経歴が、真実であることを確認するため」**に求められるものであり、成績の良し悪しそのものが、合否を直接決定づけることは、極めて稀です。
大切なのは、大学時代の成績に一喜一憂することではなく、あなたが社会人として、これまでの職務経歴で、何を学び、何を成し遂げてきたかを、自信を持ってアピールすることです。
もし提出を求められても、この記事を参考に、慌てず、そして誠実に対応すれば、何も心配することはありません。自信を持って、転職活動に臨んでください。