大学病院への転職、採用担当者に響く志望動機の作り方【職種別・例文付き】
「看護師として、もっと専門性を高めたい」
「薬剤師として、最先端の医療に触れ、チーム医療に貢献したい」
「医療事務として、日本のトップレベルの医療現場を支えたい」
そんな高い志を持つあなたにとって、「大学病院」への転職は、キャリアを大きく飛躍させる、非常に魅力的な選択肢です。
しかし、その競争率の高い選考を突破する上で、最大の鍵を握るのが**「志望動機」**です。
「なぜ、数ある医療機関の中から、大学病院なのですか?」
この本質的な問いに、あなたはどう答えますか?
この記事では、あなたの熱意とスキルを採用担当者の心に届け、内定を勝ち取るための、戦略的な志望動機作成の完全ガイドをお届けします。
なぜ大学病院の転職で「志望動機」がこれほど重要なのか?
大学病院は、単に患者さんの治療を行うだけの場所ではありません。採用担当者は、あなたの志望動機から、大学病院が担う**「3つの使命」**への深い理解と、貢献への意欲を見極めようとしています。
- ① 高度な「臨床」への貢献意欲:大学病院は、地域の“最後の砦”として、高度急性期医療や、希少疾患の治療などを担っています。この最前線の医療に、プロフェッショナルとして貢献したいという、強い意志があるかを見ています。
- ② 未来を育てる「教育」への関心:大学病院は、医学生、看護学生、薬学生、そして若手医療人たちが学ぶ、最も重要な「教育の場」です。あなたは、患者さんをケアすると同時に、未来の医療人を育てる「教育者」としての一面も期待されます。後進の育成に貢献したいという姿勢は、高く評価されます。
- ③ 医療を進化させる「研究」へのマインド:日々の臨床から生まれた疑問(クリニカル・クエスチョン)を大切にし、それを新しい治療法や看護技術の開発に繋げていく。そうした、医療の発展に貢献しようとする「研究マインド」を持っているかどうかも、重要な評価ポイントです。
【これが王道】どんな職種にも通じる!志望動機作成の3ステップ
説得力のある志望動機を、論理的に構築するための、黄金のフレームワークをご紹介します。
- ステップ1:過去 (Why) – なぜ「大学病院」でなければならないのか?あなたの「原体験」です。これまでの臨床経験(一般病院や調剤薬局など)で感じた**「課題意識」や、「もっとこうしたい」**という向上心を語ります。「〇〇という経験から、より専門性の高い知識が必要だと痛感した」「後輩指導を通じて、教育への関心が高まった」など、大学病院を目指すに至った、あなただけの必然的なストーリーを構築します。
- ステップ2:現在 (How) – なぜ「この大学病院」なのか?数ある大学病院の中で、なぜ、その病院でなければならないのか。応募先の大学病院の**「理念」や「強み」**(例:がん治療、移植医療、再生医療、地域医療への貢献など)を具体的に挙げ、それに強く惹かれた理由を、あなた自身のキャリアプランと結びつけて説明します。「貴院が特に力を入れている〇〇の分野で、自分の経験を活かしたい」と伝えるのです。
- ステップ3:未来 (What) – どう貢献し、どう成長したいか?あなたの「未来へのビジョン」です。自身のスキルを活かして、その大学病院の「臨床・教育・研究」にどう貢献できるのか、具体的なビジョンを語ります。「将来的には〇〇専門看護師/薬剤師の資格を取得し、貴院のチーム医療の質向上に貢献したい」など、自己の成長と組織への貢献をセットで語ることで、高い意欲を示します。
【職種別】面接で使える!志望動機の回答例文集
この「3ステップ構成術」に基づいた、具体的な志望動機の例文を見ていきましょう。
① 看護師の例文
「〇〇病院の急性期病棟で5年間、循環器疾患の看護を経験して参りました。その中で、より複雑な病態を持つ患者様に対し、最新のエビデンスに基づいた、より質の高い看護を提供したいという想いが強くなりました(ステップ1)。特に、心臓移植において国内トップクラスの実績を持つ貴院の、高度なチーム医療の中でこそ(ステップ2)、私の目指す専門性の高い看護が実践できると考えております。将来的には、専門看護師の資格も視野に入れ、臨床だけでなく、後進の指導や看護研究にも貢献することで、貴院の発展に尽力したいです(ステップ3)。」
② 薬剤師の例文
「調剤薬局で服薬指導を行う中で、より早期の段階から、患者様の薬物療法に深く関わり、チームの一員として貢献したいと考えるようになりました(ステップ1)。最先端の臨床研究が活発に行われ、薬剤師が治験やDI業務で重要な役割を担う貴院の環境に、大きな魅力を感じております(ステップ2)。これまでの経験で培った患者様とのコミュニケーション能力を活かし、チーム医療の一員として、一人ひとりに最適な薬学的ケアを提供することで、貴院に貢献したいです(ステップ3)。」
③ 医療事務・病院事務の例文
「前職の一般企業で培ったデータ分析能力を、利益追求だけでなく、より社会貢献性の高い医療の現場で活かしたいと考え、志望いたしました(ステップ1)。数ある医療機関の中でも、地域の中核病院として高度医療を担い、常に経営の効率化にも取り組まれている貴院の姿勢に深く共感しております(ステップ2)。私の持つ課題発見・解決能力で、病院運営を裏方から支え、医療従事者の皆様が、より臨床に集中できる環境作りに貢献したいです(ステップ3)。」
これは避けたい!志望動機でやってはいけないNG例
- NG1:「給与が良い」「福利厚生が手厚い」「有名だから」:待遇面やブランドイメージだけを理由にすると、仕事そのものへの意欲が低いと見なされ、一瞬で信頼を失います。
- NG2:「学びたい」だけの受け身の姿勢:「研修制度が充実しているので、色々学びたいです」だけでは不十分です。「学んだ上で、その知識や技術を、どう患者様や組織に還元し、貢献したいのか」という、能動的な姿勢が不可欠です。
- NG3:どの大学病院にも言える、抽象的な内容:「最先端の医療に貢献したい」だけでなく、「なぜ、この大学病院の、どの部分に惹かれ、どう貢献したいのか」まで、具体的に語りましょう。
まとめ
大学病院への転職における志望動機は、あなたが、臨床・教育・研究という3つの使命を深く理解し、その発展に貢献する意欲を持つ、向上心あふれるプロフェッショナルであることを証明するための、最も重要なメッセージです。
「なぜ、大学病院でなければならないのか?」
この問いに、あなた自身の経験に基づいた、熱意とロジックのある答えを準備すること。それができたとき、採用担当者はあなたを、単なる「候補者」としてではなく、未来の医療を共に創る、かけがえのない「パートナー」として見てくれるはずです。