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【意外な収益源】フジ・メディア・ホールディングスの不動産収入、その実力と株価への影響

岩下隼人
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「フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の主な収入源は、もちろんテレビCMの広告でしょ?」

株式投資を始め、フジ・メディア・ホールディングス(東証コード: 4676)に興味を持った方の多くは、このように考えるかもしれません。しかし、現在の同社の収益構造を詳しく見ていくと、そのイメージを覆す、意外で、そして非常に重要な「もう一つの収益の柱」が浮かび上がってきます。

それが、**「不動産収入」**です。

この記事では、株式投資初心者の方にも分かりやすく、

  • 企業の「不動産収入」とは何か?
  • フジ・メディア・ホールディングスの不動産収入はどれくらいあるのか?
  • なぜ、この不動産収入が投資家にとって極めて重要なのか?

といった点を、最新の決算データを基に、基本から丁寧に解説していきます。

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そもそも企業の「不動産収入」とは?

まず、企業における「不動産収入」の基本を理解しましょう。これは主に、以下の2つから構成されます。

  1. 賃貸収入:企業が保有するオフィスビルや商業施設、マンションなどを他の企業や個人に貸し出すことで得られる、毎月の「家賃収入」です。これは、景気の変動を受けにくく、安定的で継続的な収入となるのが特徴です。
  2. 分譲収入:自社で開発したマンションなどを販売することで得られる収入です。こちらは賃貸収入と比べて、一度に大きな金額になりますが、市況によって変動しやすい特徴があります。

フジ・メディア・ホールディングスの不動産事業、その正体は?

FMHの不動産事業は、「都市開発・観光事業」というセグメント(事業部門)に含まれています。 この事業を中核で担っているのが、総合不動産デベロッパーである完全子会社の「株式会社サンケイビル」です。

サンケイビルは、東京や大阪の都心部を中心に、オフィスビルや商業施設の開発・賃貸、マンション分譲、ホテルの運営など、非常に幅広い不動産ビジネスを展開しています。

【数字が示す真実】不動産収入は「本業」の利益を超えている

では、この不動産事業は、グループ全体でどれほどの収益を上げているのでしょうか。最新の決算(2024年3月期)を見ると、驚くべき事実が分かります。

フジ・メディア・ホールディングスの営業利益(本業の儲け)の内訳は、以下のようになっています。

  • メディア・コンテンツ事業: 85億円
  • 都市開発・観光事業(不動産事業): 201億円

なんと、不動産事業が生み出す営業利益は、フジテレビなどを中核とするメディア事業の利益の2倍以上に達しているのです。

この数字は、投資家にとって極めて重要な意味を持ちます。つまり、現在のフジ・メディア・ホールディングスは、「テレビ事業の利益の落ち込みを、それを遥かに上回る不動産事業の安定した利益でカバーしている」会社なのです。

なぜ、この「不動産収入」が投資家にとって重要なのか?

この「テレビ局と不動産会社のハイブリッド」というビジネスモデルは、投資家にとってどのような魅力と意味を持つのでしょうか。

1. 経営の「安定装置」としての役割

テレビ業界がインターネットの台頭により大きな変革期を迎え、広告収入が不安定になる中で、不動産からの安定した賃料収入は、会社全体の経営を支える強力な「安定装置(ショック・アブソーバー)」となります。 これにより、経営基盤が強固になり、投資家は安心して長期的に投資しやすくなります。

2. 「割安株」であることの根拠

同社が保有する都心の一等地の不動産は、その実際の市場価値が、会計上の帳簿価額を大きく上回る「含み益」を持っていると見られています。この莫大な「隠れた資産価値」が、同社の株価が本来の価値よりも割安に評価される「PBR1倍割れ」の大きな要因となっています。

「不動産の価値を考えれば、今の株価は安すぎる」と考える投資家にとって、この不動産収入と資産は、最大の投資魅力となっているのです。

3. 株主還元の「原資」

不動産事業が生み出す安定したキャッシュフローは、株主への利益還元、すなわち「配当金」の支払いや「自社株買い」を行うための、重要な原資となります。会社が安定して株主に利益を還元できる背景には、この不動産収入の存在が大きいと言えるでしょう。

まとめ

今回は、フジ・メディア・ホールディングスの「もう一つの顔」である、不動産収入について解説しました。

  • フジ・メディア・ホールディングスの収益構造は、主力の「メディア・コンテンツ事業」と、それを利益面で上回る「都市開発・観光事業(不動産事業)」の2つの柱で成り立っています。
  • 不動産事業が生み出す安定した収入は、メディア事業の業績変動を補う「安定装置」であり、グループ全体の経営を下支えしています。
  • 投資家としては、同社を単なる「テレビ局」としてではなく、**優良な不動産を多数保有する「資産価値の高い企業」**として評価することが、その本質を見抜く上で非常に重要です。

企業の決算書を見る際には、ぜひ事業ごとの「セグメント情報」に注目してみてください。その会社の意外な強みや、本当の収益源を発見できるかもしれません。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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