未経験からの転職、年収相場はいくら？給与が決まる仕組みと収入アップの戦略

「未経験の仕事に挑戦してみたい。でも、実際のところ、年収はどのくらいになるんだろう？」

「今の給料より、大きく下がってしまうのではないか…」

新しいキャリアへの一歩を踏み出すとき、期待と同じくらい、あるいはそれ以上に、この「年収」に関する不安が頭をよぎるのは当然のことです。

未経験からの転職における年収の「相場」を知ることは、現実的な目標設定をし、後悔のない企業選びをするための、非常に重要な第一歩です。

この記事では、未経験転職における年収のリアルな相場から、その金額が決まる仕組み、そしてあなたの未来の収入を戦略的に上げていくための方法まで、その全てを徹底的に解説します。

未経験転職の年収相場、その現実的なラインとは？

まず、最も気になるであろう、未経験からの転職における年収の現実的な相場観からお伝えします。

もちろん、業界や職種、年齢によって大きく異なりますが、一つの目安として、未経験からの転職では、年収300万円～450万円の範囲が最も多いボリュームゾーンとなります。

これは、多くの場合、前職で経験を積んできた方にとっては、一時的に年収がダウンする可能性が高いことを意味します。

なぜ年収は下がりやすいのか？

企業側の視点に立つと、その理由は明確です。

• 教育コストがかかる: 企業は、あなたを一人前に育てるための研修費や人件費を「先行投資」します。そのため、スタート時点での給与は、その投資分を考慮して抑えられる傾向にあります。
• ポテンシャルへの期待値: 給与は、現時点でのスキルだけでなく、将来の成長への「期待値」として支払われます。入社後にその期待に応え、成果を出すことで、年収は上がっていくのです。

求人票の年収レンジの正しい見方

求人票によくある「年収350万円～600万円」といった表記。この場合、未経験者は、特別なスキルがない限り、下限である「350万円」に近い金額からのスタートになると想定しておくのが、最も現実的です。

【業界・職種別】未経験でも年収相場が高いのはどこ？

「それでも、できるだけ高い年収を目指したい！」という方へ。未経験からでも、比較的高い年収が期待できる、狙い目の業界・職種をご紹介します。

• IT業界（特にエンジニア）深刻な人材不足を背景に、ITエンジニアの需要は非常に高く、スキルを持つ人材の価値は年々高まっています。未経験からでも、入社後のスキルアップに応じて、昇給スピードが速いのが大きな魅力です。
• 建設業界（特に施工管理）こちらも社会インフラを支える重要な役割を担いながら、人手不足が深刻な業界です。そのため、業界全体として給与水準が高く設定されており、未経験者でも好待遇で迎え入れられるケースが少なくありません。
• 営業職（不動産・金融など）基本給は標準的でも、個人の成果に応じて支払われる「インセンティブ（成果給）」の割合が大きいのが特徴です。実力次第では、年齢に関係なく、年収500万円以上、トップセールスであれば1000万円以上を目指すことも可能です。
• 運輸業界（特にドライバー）EC市場の拡大に伴う需要増と、担い手不足から、安定した収入が期待できます。歩合給制度などを導入している会社も多く、頑張りが収入に反映されやすい仕事です。

【年齢別】20代・30代・40代、年代で変わる年収相場と戦略

年代によって、企業からの期待値や評価されるポイントが異なるため、年収相場や取るべき戦略も変わってきます。

• 20代:年収相場は300万円台が中心となりますが、何よりも「ポテンシャル」が評価される時期です。スタート時の年収にこだわり過ぎるよりも、研修制度が充実し、将来大きく成長できる環境を選ぶことが、未来の年収アップへの最短ルートとなります。
• 30代:ポテンシャルに加え、これまでの社会人経験で培った「ポータブルスキル（コミュニケーション能力など）」が評価の対象となります。前職での経験を活かせる分野を選ぶことで、年収ダウンを最小限に抑える戦略が重要です。年収350万円～500万円が現実的な目安となります。
• 40代:未経験からの挑戦はハードルが上がりますが、これまでの豊富な人生経験やマネジメント経験などが評価されれば、管理職候補として想定以上の年収を提示されることもあります。ただし、一般的には年収ダウンを覚悟した上で、セカンドキャリアにかける熱意を伝えることが重要になります。

あなたの年収を決める4つの要素｜相場以上に稼ぐためのポイント

年収は、ただ待っているだけでは上がりません。あなたの市場価値を高め、相場以上の年収を勝ち取るための4つの要素をご紹介します。

1. ポータブルスキル: コミュニケーション能力、課題解決能力、目標達成意欲、マネジメント経験など、どんな仕事でも通用するスキル。
2. 専門スキル・資格: 経理なら簿記2級、不動産なら宅建、ITなら基本情報技術者試験など、知識と意欲を客観的に証明できる武器。
3. 英語力: 外資系企業や、海外と取引のあるグローバル企業を目指すなら、英語力は年収を大きく押し上げる強力な要因になります。
4. 交渉力: 内定後に、臆することなく、自身の価値を企業に論理的に伝え、給与交渉を行う力。

スタート時の年収が低くても、将来のために「投資」するという考え方

どうしても希望の年収に届かない。そんな時は、目先の金額だけでなく、長期的な視点でキャリアを捉え直してみましょう。

• 生涯年収で考える:たとえ最初の数年間は年収が下がったとしても、その期間に市場価値の高い専門スキルを身につけることができれば、10年後、20年後の生涯年収では、前職に留まった場合を大きく上回る可能性があります。今の年収ダウンは、未来への**「自己投資」**なのです。
• 非金銭的報酬の価値:年収という「金銭的報酬」以外に、その転職で何が得られるかを考えてみましょう。「やりがい」「ワークライフバランスの改善」「良好な人間関係」「将来の安定性」といった、お金では買えない価値が、あなたの人生を豊かにしてくれることも少なくありません。

まとめ：年収相場を知り、戦略的にキャリアを築こう

未経験からの転職において、年収相場を知ることは、現実的な目標を設定し、企業選びの重要な基準を持つために不可欠です。

しかし、相場はあくまで一つの目安に過ぎません。大切なのは、その相場を理解した上で、自分自身の市場価値を高めるための努力をし、時には戦略的に交渉することで、あなたが本当に納得できるキャリアと収入を、自らの手で掴み取ることです。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。