未経験転職での希望年収、どう伝える?履歴書の書き方から面接での答え方まで徹底解説
「未経験からの転職だから、希望年収なんて言えない…」
「正直に希望を伝えたら、選考で不利になってしまうかもしれない…」
転職活動において、給与の話は最もデリケートで、多くの人が頭を悩ませるテーマです。特に、実務経験のない未経験の分野へ挑戦する場合、「希望年収をどう伝えるか」は、その後の処遇だけでなく、選考の合否にさえ影響を与えかねない重要な問題です。
しかし、必要以上に萎縮する必要はありません。正しい知識と伝え方のマナーを身につければ、あなたの価値を正当に評価してもらい、納得のいくキャリアの第一歩を踏み出すことができます。
この記事では、未経験からの転職における希望年収の決め方から、履歴書への書き方、面接でのベストな答え方まで、その全てを徹底的に解説します。
まずは相場を知ることから。未経験者の希望年収、どう決める?
具体的な金額を考える前に、まずは客観的な基準を持つための準備をしましょう。
- 1. 前職の年収を正確に把握するまずは、自身の生活の基準となる、前職の給与を正確に把握します。手取り額ではなく、税金などが引かれる前の「総支給額」で考えましょう。源泉徴収票の「支払金額」の欄を見れば、年間の総支給額が分かります。
- 2. 応募先企業の給与水準を調べる次に、応募しようとしている業界や職種、そして企業の給与相場を調べます。
- 求人票の給与欄: 「月給25万円~40万円」のように幅がある場合、未経験者は下限である「25万円」に近い金額からのスタートになる可能性が高いと想定しておきましょう。
- 転職サイトのモデル年収例: 「28歳・入社3年目/年収500万円」といった情報が掲載されていれば、入社後の昇給イメージの参考になります。
- 企業の口コミサイト: 実際に働く社員の給与に関する投稿も、リアルな情報を得る上で役立ちます。
- 3.「希望最低ライン」と「理想ライン」を設定する上記の情報を元に、「これ以下の年収では、生活が厳しい」という最低ラインと、「これくらい貰えたら嬉しい」という理想のラインを、自分の中で明確にしておきましょう。この軸を持つことで、面接や交渉の場で冷静な判断ができます。
【履歴書・職務経歴書編】希望年収欄の正しい書き方
書類選考の段階で、希望年収をどう書くかは多くの人が悩むポイントです。
原則は「貴社規定に従います」が無難
未経験からの転職の場合、履歴書の「本人希望記入欄」には、具体的な金額を書かずに**「貴社規定に従います」または「貴社規定に準じます」**と記載するのが最も安全で、一般的なマナーです。
- なぜか?未経験の段階では、あなた自身のスキルがその企業でいくらの価値になるかを判断するのは困難です。もし具体的な金額を記載し、それが企業の想定と大きくズレていた場合、「自社の給与水準と合わない」「自己評価が高すぎる」と判断され、面接に進む前に不採用となってしまうリスクがあるからです。まずは、面接の機会を得て、あなたのポテンシャルや人柄を直接アピールすることを最優先に考えましょう。
どうしても具体的な金額を書きたい場合の注意点
「現職の給与をどうしても維持したい」など、特別な事情がある場合は、具体的な金額を記載することも可能です。ただし、その場合は必ず「柔軟な姿勢」を示す一言を添えましょう。
- 書き方の例文
希望年収 〇〇〇万円
年収〇〇〇万円以上を希望いたします。
前職の年収(〇〇〇万円)を考慮いただけますと幸いです。
【面接編】「希望年収は?」と聞かれたときのベストな答え方【例文あり】
面接で希望年収について質問されたら、それはあなたの価値観やコミュニケーション能力を見られているサインです。自信を持って、しかし謙虚に答えましょう。
回答の基本構成:①謙虚な姿勢 → ②希望額(幅を持たせる) → ③貢献意欲
- 例文1:原則的な答え方(最もおすすめ)「はい、現職(前職)では年収〇〇〇万円をいただいております。今回は未経験からの挑戦ですので、まずは貴社の給与規定に従う所存です。その上で、もし可能であれば、現職と同水準をいただけますと大変ありがたく存じます。」
- 例文2:少し強気に伝えたい場合「はい、私のスキルやポテンシャルをご評価いただいた上で、年収〇〇〇万円~△△△万円の範囲でご検討いただけますと幸いです。未経験の分野ではございますが、現在〇〇の資格取得に向けて学習しており、一日も早く貴社に貢献できるよう努力いたします。」
- 例文3:具体的な金額を言いたくない場合「まずは、これからの選考を通じて、私のポテンシャルや適性を正しくご評価いただきたいと考えております。その上で、ご提示いただいた条件で、ぜひ前向きに検討させていただけますと幸いです。」
希望年収を伝える際のNG行動と注意点
- 希望額の根拠を説明できない: なぜその金額を希望するのか、前職の給与や市場相場などを元に、論理的に説明できるようにしておきましょう。
- 給与の話ばかりする: 仕事内容への質問よりも、条件面の話に終始すると、入社意欲を疑われてしまいます。
- 面接の序盤で自分から切り出す: 給与の話は、企業側から質問されるか、内定後の条件提示の場で話すのが鉄則です。
- 転職エージェントに伝えた額と矛盾する: エージェントを利用している場合、担当者に伝えている希望額と、面接で話す内容に食い違いがないように、必ずすり合わせをしておきましょう。
まとめ:希望年収の伝え方は、あなたの価値観を示すコミュニケーション
未経験からの転職において、「希望年収」をどう伝えるかは、単なる数字の提示ではありません。それは、あなたが自分のキャリアをどう考え、仕事に対してどのような価値観を持っているかを示す、重要な自己表現の機会です。
未経験という立場をわきまえ、謙虚な姿勢を示すことは大切です。しかし、同時に自分の価値を不当に低く見積もる必要もありません。この記事を参考に、自信と誠意を持って、採用担当者と建設的なコミュニケーションを図ってください。それが、あなたが心から納得できるキャリアの第一歩となるはずです。