転職情報
PR

転職で「月末退職」を選ぶメリット・デメリットと手続きのポイント

岩下隼人
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

転職が決まり、現在の職場を退職するにあたって、多くの方が悩むのが「退職日をいつにするか」という問題です。特に「月末」を退職日として選ぶケースは一般的ですが、それにはどのようなメリットやデメリットがあり、社会保険や給与の計算、有給休暇の消化といった点でどのような影響があるのでしょうか。

この記事では、転職時に退職日を「月末」に設定する場合の様々な側面について、社会保険や税金の手続き、有給休暇の扱い、そして円満退職のための注意点などを分かりやすく解説します。

スポンサーリンク

なぜ「月末退職」が選ばれることが多いのか?

退職日を月末に設定することが比較的多い背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 区切りが良いという慣習: 日本の多くの企業では、給与計算や業務の区切りが月単位で行われるため、月末を退職日とすることで、事務処理がスムーズに進みやすいという慣習があります。
  • 社会保険料の負担軽減(本人・企業双方): 健康保険料や厚生年金保険料は月単位で計算され、資格喪失日の前月分までが徴収されます。月末退職の場合、退職月の社会保険料は前職の会社で支払われるため、退職者自身がその月の国民健康保険料や国民年金保険料を別途支払う必要がなくなります(詳細は後述)。企業側にとっても、日割り計算の必要がないなどのメリットがあります。
  • 給与計算の簡便さ: 月給制の場合、月末退職であれば給与計算がシンプルになります。
  • 引き継ぎ期間の確保: 月末を最終出社日とし、その後に有給休暇をまとめて消化する場合など、比較的引き継ぎ期間を確保しやすいと考えられます。

月末退職のメリット

月末を退職日に設定することの主なメリットは以下の通りです。

  1. 社会保険料の自己負担がない(その月分):
    • 健康保険料・厚生年金保険料は、資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月分までが徴収対象となります。つまり、月末(例:3月31日)に退職した場合、資格喪失日は翌月1日(例:4月1日)となるため、退職月(3月)分の社会保険料は前職の会社が支払います(給与から天引きされます)。
    • これにより、退職者自身がその月の国民健康保険料や国民年金保険料を支払う必要がなくなります。もし月の途中(例:3月15日)で退職すると、3月分の社会保険料は前職では徴収されず、自身で国民健康保険・国民年金に加入し、その月の保険料を支払う必要が出てきます。
  2. 給与が満額支給されることが多い:
    • 月給制の場合、月の途中で退職すると給与が日割り計算されることが一般的ですが、月末まで在籍すれば、その月の給与が満額支給されるケースが多いです(ただし、会社の給与規定によります)。
  3. 賞与(ボーナス)の査定期間・支給日在籍条件を満たしやすい(場合による):
    • 企業の賞与規定によっては、査定期間の末日や支給日に在籍していることが支給条件となっている場合があります。月末退職にすることで、これらの条件を満たしやすくなる可能性があります。
  4. 有給休暇を消化しやすい(計画による):
    • 最終出社日を月の半ばなどに設定し、残りの期間を有給休暇の消化に充て、月末を退職日とすることで、まとまった有給休暇を取得しやすくなります。

月末退職のデメリット・注意点

一方で、月末退職には以下のようなデメリットや注意点も考えられます。

  1. 引き継ぎ期間がタイトになる可能性:
    • 特に月末が最終出社日となる場合、月末の締め業務などと重なり、十分な引き継ぎ時間が確保しにくいことがあります。
  2. 転職先の入社日との調整が必要:
    • 転職先の入社日が翌月の1日でない場合、退職日から入社日まで数日間のブランク(無職期間)が生じ、その間の社会保険や年金の手続きが別途必要になることがあります。
  3. 会社によっては月末が繁忙期となることも:
    • 業種や職種によっては、月末が最も忙しい時期にあたる場合があります。そのような時期に退職の意思を伝えたり、最終出社日を迎えたりすることは、周囲への負担を考慮すると慎重な判断が必要です。
  4. 「月末=退職日」が必ずしも最も得とは限らない:
    • 社会保険料の観点では月末退職が有利に見えますが、例えば有給休暇の日数や、退職金の算定基準(勤続年数)など、他の要素との兼ね合いで、必ずしも月末が最適とは言えないケースも稀にあります。

月末退職の場合の社会保険・税金の手続き

健康保険・厚生年金保険

  • 前述の通り、月末退職の場合、退職月の社会保険料は前職の会社で支払われます(最後の給与から天引きされます)。
  • 退職日の翌日(翌月1日)に資格を喪失するため、翌月1日から、新しい会社の健康保険・厚生年金に加入するか、国民健康保険・国民年金に加入する、あるいは家族の扶養に入るなどの手続きが必要になります。
  • もし転職先の入社日が翌月1日であれば、空白期間なく社会保険が切り替わります。

雇用保険

  • 雇用保険は、退職日をもって資格を喪失します。
  • 失業保険(基本手当)の受給を考えている場合は、退職後に会社から交付される「離職票」を持ってハローワークで手続きを行います。

住民税

  • 住民税は前年の所得に対して課税され、翌年の6月から翌々年の5月にかけて納付します。
  • 6月1日~12月31日に月末退職した場合: 退職月までは給与から天引き(特別徴収)されますが、翌年5月までの残りの住民税は、原則として普通徴収(自分で納付)に切り替わります。ただし、退職時に会社に申し出れば、最後の給与や退職金から一括で天引きしてもらうことも可能です。
  • 1月1日~4月30日に月末退職した場合: 原則として、最後の給与や退職金から、その年度の5月分までの住民税が一括で天引きされます。
  • 5月31日に月末退職した場合: 最後の給与から5月分が天引きされ、6月以降の新しい年度の住民税は、転職先で特別徴収が継続されるか、一時的に普通徴収となります。

所得税(年末調整・確定申告)

  • 年の途中で退職し、同じ年内に新しい会社に転職した場合、原則として新しい勤務先で、前職分も含めて年末調整を行います。そのため、前職の会社から発行される「源泉徴収票」を新しい会社に提出する必要があります。
  • 月末退職の場合も、この扱いは同様です。

円満な月末退職を実現するためのポイント

  • 早めの退職意思表示と相談: 会社の就業規則を確認し、定められた期限(通常1~3ヶ月前)までに、まずは直属の上司に退職の意思を伝え、退職日や有給休暇の消化について相談しましょう。月末退職を希望する理由(社会保険料の区切りなど)も、必要であれば説明すると理解を得やすいかもしれません。
  • 引き継ぎ計画の作成と誠実な実行: 後任者やチームに迷惑がかからないよう、担当業務の引き継ぎ計画を具体的に立て、最終出社日まで責任を持って丁寧に行いましょう。
  • 有給休暇の計画的な消化: 残っている有給休暇をいつからいつまで取得するのか、業務の状況や引き継ぎスケジュールと照らし合わせながら、上司と相談して決定します。
  • 関係者への挨拶: 社内外でお世話になった方々へ、感謝の気持ちを込めて退職の挨拶をします。

まとめ:「月末退職」は計画的に、円満な移行を目指そう

転職時の退職日を「月末」に設定することは、社会保険料の区切りや給与計算の観点から、多くのメリットがある一般的な選択肢です。しかし、そのメリットを最大限に活かし、かつ円満な退職を実現するためには、会社の就業規則を確認し、上司と早めに相談し、そして何よりも引き継ぎ業務を誠実に行うことが不可欠です。

退職日や最終出社日、有給休暇の消化計画、そして転職先の入社日などを総合的に考慮し、あなた自身にとっても、現在の職場にとっても、できる限りスムーズな移行となるよう、計画的に準備を進めていきましょう。この記事が、あなたの転職における退職日の設定や手続きの一助となれば幸いです。

本サイトがおすすめする転職エージェント

JACリクルートメント

特徴から登録方法、活用ポイント、評判を解説
理想の職場・仕事を見つけませんか?

おすすめ転職コンテンツ

「キャリアプランの計画」「応募書類の作成」
「面接対策」「企業との年収交渉」など
転職希望者におすすめのコンテンツを紹介

キャリアプランの計画にお困りの方はコチラ
キャリアプラン案内所
履歴書や職務経歴書の作成にお困りの方はコチラ
応募書類マスター
面接試験にお困りの方はコチラ
面接のトリセツ
企業との年収交渉にお困りの方はコチラ
給与交渉ナビ
スポンサーリンク
ABOUT ME
岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました