転職活動の「送付状」完全マニュアル:書き方・例文・マナーで書類選考を有利に!
転職活動において、履歴書や職務経歴書といった応募書類は、あなたのスキルや経験を企業に伝えるための非常に重要なツールです。そして、これらの書類を郵送したり、メールに添付して送ったりする際に、もう一つ忘れてはならないのが「送付状(添え状、カバーレター)」の存在です。「送付状って本当に必要なの?」「何を書けばいいの?」「メールの場合はどうすれば?」――そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
送付状は、単なる「書類を送りました」という連絡票ではありません。それは、応募書類の「顔」とも言える、あなたの第一印象を左右する大切な一枚(あるいは一通のメール)であり、ビジネスマナーを示す絶好の機会でもあります。
この記事では、転職活動における送付状の役割と重要性から、基本的な書き方・構成要素、郵送とメールそれぞれの作成ポイントとマナー、そして好印象を与えるための秘訣やNG例、さらには具体的な例文に至るまで、あらゆる情報を網羅的に解説します。丁寧で心のこもった送付状を作成し、あなたの転職活動を有利に進めましょう。
なぜ転職で「送付状」はなぜ必要?その役割と重要性
まず、なぜ多くの企業が応募書類を送付する際に送付状を添えることを良しとするのか、その役割と重要性を理解しておきましょう。
送付状とは?応募書類の「顔」となる挨拶状
送付状(添え状、カバーレター)とは、応募書類を郵送またはメールで企業に送る際に、その書類の冒頭に添える挨拶状のことです。誰から誰宛に、何の書類が、何通送られてきたのかを明確に伝える役割があります。
企業が送付状から見ていること
企業は、送付状を通じて、単に同封書類の内容を確認するだけでなく、以下のような点も見ています。
- ビジネスマナーの有無: 正しい形式で、丁寧な言葉遣いで作成されているか。
- 丁寧さ・配慮: 相手への気配りができているか。
- 書類作成能力: 簡潔で分かりやすい文章を作成できるか。
- 志望度・熱意(場合によっては): 簡潔な自己PRや応募への熱意が添えられているか。
送付状が第一印象を左右する可能性
採用担当者が最初に目にするのが送付状であることも多く、その内容や体裁が、あなたに対する第一印象を大きく左右する可能性があります。丁寧で心のこもった送付状は、それだけでポジティブな印象を与え、その後の応募書類にもスムーズに目を通してもらいやすくなります。
送付状の基本構成:押さえておくべき必須項目
送付状には、手書き・パソコン作成、郵送・メールを問わず、共通して記載すべき基本的な項目があります。
- 日付: 提出する年月日を記載します。郵送の場合は投函日、メールの場合は送信日を記載するのが一般的です。
- 宛名: 応募先の会社名、部署名(分かれば)、採用担当者名を正確に記載します。会社名は略さず正式名称で。「御中」と「様」の使い分けにも注意しましょう(会社・部署宛なら「御中」、個人宛なら「様」)。
- 差出人情報: あなたの氏名、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレスを明記します。
- タイトル(件名): 「応募書類の送付につきまして」「〇〇職応募書類の送付の件」など、一目で内容が分かるように簡潔に記載します。
- 頭語と結語:
- 頭語: 「拝啓」が一般的です。
- 結語: 「敬具」で締めくくります。頭語と結語はセットで使います。
- 本文:
- 時候の挨拶(「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」など、季節に合わせたもの)。
- 応募の経緯(求人媒体名、紹介者名など、どこで求人を知ったのか)。
- 応募書類を送付する旨。
- 簡単な自己PRや応募への熱意(任意ですが、添えると効果的)。
- 面接の機会をいただきたい旨のお願い。
- 結びの挨拶(「何卒よろしくお願い申し上げます。」など)。
- 「記」書き(同封書類の一覧): 本文の後、中央に「記」と書き、その下に送付する書類の名称と枚数を箇条書きで記載します。最後に右下に「以上」と書きます。
【郵送の場合】送付状の作成ポイントとマナー
応募書類を郵送する際の送付状の作成ポイントとマナーです。
用紙サイズと向き
- 用紙サイズ: A4サイズ1枚にまとめるのが基本です。
- 向き: 横書きが一般的です。
手書き?パソコン作成?どちらが良いか
特別な指示がない限り、パソコンで作成するのが一般的で、推奨されます。 手書きよりも読みやすく、修正も容易で、ビジネススキルを示すことにも繋がります。企業から手書きを指定された場合のみ、丁寧に楷書で書きましょう。
フォントや文字サイズの選び方(PC作成の場合)
- フォント: 明朝体やゴシック体といった、ビジネス文書で一般的に使用される読みやすいフォントを選びましょう。
- 文字サイズ: 10.5ポイント~12ポイント程度が読みやすいとされています。
- 全体のレイアウト: 適度な余白を取り、項目ごとに分かりやすく配置しましょう。
封筒への入れ方と宛名の書き方
- 入れ方: 送付状を一番上にし、次に履歴書、職務経歴書、その他の書類(あれば)の順番で重ね、クリアファイルに入れてから封筒に入れます。
- 封筒の宛名: 会社名、部署名、担当者名を正確に、丁寧に記載します。表面左下に赤字で「応募書類在中」または「履歴書在中」と明記すると、採用担当者に分かりやすくなります。裏面には自分の住所・氏名を記載します。
郵送用送付状の例文
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
人事部 採用ご担当 〇〇様
(担当者名が不明な場合は「人事部 採用ご担当者様」または「人事部御中」)
〒XXX-XXXX
東京都〇〇区〇〇 X-X-X
〇〇 〇〇(自分の氏名)
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:xxxxx@xxxx.com
応募書類の送付につきまして
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度、貴社ホームページ(または、〇〇求人サイト)にて拝見いたしました〇〇職の求人に大変魅力を感じ、応募させていただきたく、下記の書類を送付いたしました。
ご査収の上、ぜひ一度面接の機会を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
1. 履歴書 1通
2. 職務経歴書 1通
3. (その他書類があれば記載)
以上
【メールの場合】送付状(メール本文)の作成ポイントとマナー
近年、応募書類をメールで送付するケースが増えています。この場合、メール本文が送付状の役割を果たします。
件名の書き方:一目で内容と差出人が分かるように
採用担当者は日々多くのメールを受け取っています。件名を見ただけで、誰からの何のメールかが分かるように、具体的かつ簡潔に記載しましょう。
- 例: 「〇〇職応募の件/氏名:〇〇 〇〇」
- 例: 「【〇〇(氏名)】〇〇職への応募書類送付」 企業から件名に指定がある場合は、必ずそれに従います。
本文の構成:簡潔かつ分かりやすく
郵送の場合と同様の構成要素(宛名、挨拶、応募の経緯、添付書類の内容、面接の機会のお願い、結び、署名)を、メール用に簡潔にまとめます。
- 宛名: 会社名、部署名、採用担当者名をメール本文の冒頭に記載します。
- 挨拶と自己紹介: 「お世話になります。〇〇と申します。」など。
- 用件: どの求人に応募するのか、書類を添付した旨を明確に伝えます。
- 結び: 「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。」など。
添付ファイルの形式とファイル名の付け方
- 形式: 履歴書や職務経歴書は、PDF形式で添付するのが一般的です。相手の環境に左右されずにレイアウトが崩れる心配がなく、編集されるリスクも低いためです。
- ファイル名: 「履歴書(氏名).pdf」「職務経歴書(氏名).pdf」のように、内容と差出人が分かるようにしましょう。企業から指定があればそれに従います。
- パスワード: 企業から指示がない限り、添付ファイルにパスワードを設定する必要はありません。もし設定する場合は、別途パスワードを連絡する方法を企業に確認しましょう。
署名の記載方法
メールの最後には、必ず署名を入れます。署名には、以下の情報を記載するのが一般的です。
- 氏名
- 郵便番号・住所
- 電話番号
- メールアドレス
送信する時間帯への配慮
企業の営業時間内(平日の午前中や午後イチなど)に送信するのが望ましいですが、夜間や早朝に作成した場合は、送信予約機能などを活用するのも良いでしょう。
メール用送付状(本文)の例文
件名:〇〇職応募の件/氏名:〇〇 〇〇
株式会社〇〇
人事部 採用ご担当 〇〇様
お世話になります。〇〇 〇〇と申します。
貴社ホームページ(または、〇〇求人サイト)にて〇〇職の求人を拝見し、
大変魅力に感じ、応募させていただきます。
つきましては、応募書類(履歴書、職務経歴書)を添付ファイルにて
送付いたしましたので、ご査収いただけますようお願い申し上げます。
お忙しいところ恐縮ではございますが、
ぜひ一度面接の機会をいただけましたら幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
------------------------------------
〇〇 〇〇(氏名)
〒XXX-XXXX 東京都〇〇区〇〇 X-X-X
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:xxxxx@xxxx.com
------------------------------------
送付状で差をつける!プラスアルファのアピールポイント
送付状は、単なる事務的な書類ではありません。工夫次第で、あなたの熱意や個性をさりげなく伝えることができます。
簡潔な自己PRや企業への熱意を添える(ただし長文は避ける)
本文中に、1~2文程度で、あなたの強みや応募企業への強い興味、貢献意欲などを簡潔に添えることで、採用担当者の印象に残る可能性があります。ただし、あくまで主役は履歴書と職務経歴書ですので、送付状が長文にならないように注意しましょう。
応募する企業や職種に合わせた一言
「貴社の〇〇という理念に深く共感しております」「これまでの△△の経験が、貴社の□□という業務で活かせると確信しております」といったように、企業研究に基づいた一言を添えることで、志望度の高さを示すことができます。
これはNG!送付状で避けるべき表現やマナー違反
誤字脱字、敬語の間違い
基本的なミスは、注意力散漫、あるいは企業への配慮が欠けているという印象を与えます。提出前に必ず何度も確認しましょう。
宛名や会社名の誤記
これは非常に失礼にあたります。正式名称を正確に記載しましょう。
抽象的で具体性のない内容
「貴社の将来性に惹かれました」といった、どの企業にも当てはまるような抽象的な表現は避け、具体的な魅力を伝えましょう。
条件面や待遇に関する記述
送付状の段階で、給与や休日といった条件面に関する希望を記載するのは、原則として避けましょう。これらの話は、選考が進んだ段階で行うのが一般的です。
使い回しが明らかな内容
複数の企業に応募する場合でも、送付状の内容は企業ごとに調整し、使い回し感が伝わらないように注意しましょう。
転職エージェント経由の場合、送付状は必要?
転職エージェントを通じて応募する場合、送付状の取り扱いはどうなるのでしょうか。
基本的にはエージェントが代行してくれることが多い
転職エージェントを利用している場合は、キャリアアドバイザーが企業への応募書類の提出を代行してくれることが多く、その際に必要な連絡も行ってくれるため、基本的に自分で送付状を作成・提出する必要はありません。
念のため担当者に確認を
ただし、エージェントの方針や、応募する企業の意向によっては、別途提出を求められる可能性もゼロではありません。念のため、担当のキャリアアドバイザーに確認しておくと安心です。
送付状に関するQ&A
Q1: 送付状は何枚にまとめるべき?
A1: 郵送の場合、A4サイズ1枚に簡潔にまとめるのが基本です。情報量が多すぎると、かえって読みにくくなってしまいます。
Q2: 複数の書類を送る場合、送付状は一つで良い?
A2: はい、応募する企業とポジションが同じであれば、履歴書、職務経歴書、その他の提出書類(ポートフォリオなど)をまとめて送る場合、送付状は1通で問題ありません。その際は、「記」書きの部分に同封書類を全てリストアップしましょう。
Q3: 応募書類を直接持参する場合、送付状は必要?
A3: 応募書類を企業に直接持参する場合、基本的には送付状は不要とされています。ただし、受付で担当者に渡す際に、封筒に入れて渡すのが丁寧な印象です。その際、封筒の表面に「応募書類在中」と記載し、裏面に自分の住所・氏名を書いておきましょう。
まとめ:丁寧な送付状で、好印象を与え転職成功へ繋げよう
転職活動における送付状は、あなたの第一印象を形成し、ビジネスマナーを示す上で、決して軽視できない重要な書類です。履歴書や職務経歴書の内容はもちろんのこと、この一枚の送付状にも心を配ることで、採用担当者にあなたの誠実さと熱意がより深く伝わるはずです。
基本的なマナーを守り、丁寧な言葉遣いを心がけ、そして何よりも「この会社で働きたい」というあなたの想いを込めて作成してください。この記事が、あなたが自信を持って送付状を作成し、転職活動を成功させるための一助となることを心から願っています。