転職時に年金手帳は必要?基礎年金番号通知書の扱いや紛失時の対処法も解説
転職活動を進め、新しい会社への入社準備に取り掛かると、様々な書類の提出を求められます。その中に「年金手帳」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、近年では制度が変わり、「基礎年金番号通知書」という名称も耳にするようになりました。一体、転職の際に年金手帳や基礎年金番号通知書はなぜ必要で、どのように扱えば良いのでしょうか。
この記事では、転職時における年金手帳(または基礎年金番号通知書)の役割、必要となるタイミング、そして万が一紛失してしまった場合の対処法などを詳しく解説していきます。
そもそも年金手帳・基礎年金番号通知書とは?
年金手帳や基礎年金番号通知書は、あなたが日本の公的年金制度の加入者であることを示す大切な書類です。これらの書類には、一人ひとりに割り当てられた固有の**「基礎年金番号」**が記載されています。この基礎年金番号は、あなたの年金の加入記録を管理し、将来年金を受け取る際に不可欠なものです。
【制度の変更点】
以前は、20歳になって国民年金に加入する際や、会社に就職して厚生年金に加入する際に「年金手帳」が発行されていました。しかし、2022年(令和4年)4月以降、年金手帳の新規発行は廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が発行されるようになりました。
既に年金手帳をお持ちの方は、引き続きその年金手帳を基礎年金番号を確認する書類として使用することができます。新たに年金制度に加入する方や、紛失等で再発行が必要な方には、基礎年金番号通知書が発行されます。
転職時に年金手帳(または基礎年金番号通知書)が必要になるのはなぜ?
転職の際に、この年金手帳または基礎年金番号通知書の提出を求められる主な理由は以下の2つです。
- 新しい会社での厚生年金加入手続きのため:新しい会社に入社すると、多くの場合、厚生年金保険に加入することになります。会社は従業員の厚生年金加入手続きを日本年金機構に行いますが、その際にあなたの「基礎年金番号」が必要となります。基礎年金番号を会社に正確に伝えるために、年金手帳や基礎年金番号通知書の提出が求められるのです。これにより、あなたの年金記録が正しく引き継がれ、管理されます。
- 退職後の国民年金への切り替え手続きのため(必要な場合):前の会社を退職してから新しい会社に入社するまでに期間が空く場合(1日でも空けば)、その期間中は国民年金に加入する必要があります(第1号被保険者への種別変更)。この手続きをお住まいの市区町村の役所・役場の窓口で行う際に、基礎年金番号の提示を求められます。
転職のどのタイミングで必要になる?
年金手帳または基礎年金番号通知書が必要となる具体的なタイミングは以下の通りです。
- 新しい会社への入社時: 入社日またはその数日以内に、人事・総務担当者から他の必要書類(雇用保険被保険者証、マイナンバーカードのコピー、給与振込先の口座情報など)と一緒に提出を求められることが一般的です。
- 退職後、国民年金への切り替え手続き時: 前の会社を退職し、次の会社への入社までに空白期間がある場合、退職日の翌日から原則14日以内に、お住まいの市区町村の役所・役場の国民年金担当窓口で国民年金への加入手続き(第1号被保険者への種別変更)を行う必要があります。この際に、基礎年金番号を確認できる書類として年金手帳や基礎年金番号通知書の提示が求められます。
年金手帳(または基礎年金番号通知書)を紛失した場合の対処法
大切な書類である年金手帳や基礎年金番号通知書を万が一紛失してしまった場合でも、再発行の手続きが可能ですのでご安心ください。
再発行の申請場所
再発行の申請窓口は、現在のあなたの年金の加入状況によって異なります。
- 会社員の方(厚生年金保険に加入中の方/国民年金第2号被保険者): 現在お勤めの勤務先の会社(人事・総務担当部署など)を通じて、所轄の年金事務所に再発行を申請します。
- 自営業・学生・無職の方など(国民年金第1号被保険者): お住まいの市区町村の役所・役場の国民年金担当窓口、またはお近くの年金事務所で申請します。
- 厚生年金に加入している配偶者に扶養されている方(国民年金第3号被保険者): 配偶者の勤務先の会社を通じて、所轄の年金事務所に再発行を申請します。
再発行に必要なもの(一般的な例)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 印鑑(不要な場合もあります)
- 委任状(代理人が申請する場合)
必要なものは事前に申請窓口に確認しておくとスムーズです。
再発行にかかる時間
年金事務所の窓口で直接申請すれば、比較的早く(場合によっては即日)再発行されることもありますが、会社経由や郵送での申請の場合は数週間程度かかることもあります。転職の手続きで必要になることが分かったら、早めに再発行の手続きを行いましょう。
マイナンバーカードで代用できる?
マイナンバーと基礎年金番号は紐づけられています。そのため、企業によってはマイナンバーを提出することで基礎年金番号の確認が可能となり、年金手帳や基礎年金番号通知書の提出が不要なケースもあります。しかし、原則として企業は従業員の基礎年金番号を確実に把握する必要があるため、基礎年金番号が明記された書類の提出を求めることが多いのが現状です。新しい会社の指示に従いましょう。
年金手帳・基礎年金番号通知書の保管場所と注意点
年金手帳や基礎年金番号通知書は、あなたの年金記録に関する非常に重要な個人情報が記載された書類です。
- 大切に保管する: 紛失しないように、他の重要書類(健康保険証、雇用保険被保険者証など)と一緒に、決まった場所に大切に保管しましょう。
- 基礎年金番号は生涯変わらない: 基礎年金番号は、原則として生涯同じ番号を使い続けます。転職を繰り返しても、この番号であなたの年金記録は一元管理されます。
転職と年金に関するその他の手続き(簡単に触れる)
公的年金以外にも、企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合は、転職時に別途、年金資産の移換手続きなどが必要になります。これらの手続きも忘れずに行いましょう。加入している運営管理機関(金融機関など)に問い合わせて、必要な手続きを確認してください。
まとめ:転職時の年金手帳(または基礎年金番号通知書)は、スムーズな社会保険手続きに不可欠。紛失しないよう大切に保管し、必要な場合は速やかに再発行手続きを。
転職時には、新しい会社での厚生年金加入手続きや、場合によっては国民年金への切り替え手続きのために、年金手帳または基礎年金番号通知書に記載されている「基礎年金番号」が必要となります。
これらの書類は、あなたの年金記録を正しく管理し、将来大切な年金を受け取るために不可欠なものです。紛失しないように日頃から大切に保管し、もし見当たらない場合は、慌てずに速やかに再発行の手続きを行いましょう。スムーズな手続きで、安心して新しいキャリアをスタートさせてください。