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転職活動と病歴:伝えるべき?影響は?誠実な向き合い方と働きやすい環境の見つけ方

岩下隼人
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転職活動を進める中で、過去の病歴や現在治療中の持病について、「応募書類に書くべきか」「面接で伝えるべきか」「もし伝えたら、選考で不利になるのではないか…」といった不安や悩みを抱える方は少なくありません。健康状態は非常にデリケートな個人情報であり、どこまで開示するべきか、そしてそれが採用にどう影響するのかは、多くの方にとって大きな関心事でしょう。

この記事では、転職活動における病歴の扱いについて、企業側が知りたいこと、応募者が伝えるべきケースとそうでないケース、そして病歴と上手に向き合いながら、自分らしく働ける環境を見つけるためのポイントなどを分かりやすく解説します。

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なぜ企業は応募者の健康状態に関心を持つのか?

企業が採用選考において、応募者の健康状態について(間接的に)関心を持つ主な理由は、以下の通りです。

  • 業務遂行能力の確認: 募集している職務を、健康上の問題なく安定して遂行できるかどうか。
  • 入社後の安定的な就労への期待: 長期的に健康を維持し、継続して勤務してくれるか。頻繁な欠勤や休職のリスクはないか。
  • 安全配慮義務: 企業には、従業員が安全かつ健康に働けるように配慮する義務があります(労働契約法第5条)。そのため、応募者の健康状態によっては、特定の業務への配置が適切でない場合や、特別な配慮が必要となる場合を事前に把握しておきたいという側面があります。
  • 企業全体の生産性への影響: 個人の健康問題が、チームや組織全体の生産性に影響を与える可能性がないか。

ただし、企業は業務遂行能力と直接関係のない病歴や、プライバシー性の高い健康情報を、本人の同意なく不必要に収集したり、それを理由に不当な差別を行ったりすることは許されません。

転職時に「病歴」を伝えるべきケースと、そうでないケース

病歴を伝えるべきかどうかは、その病歴の内容や現在の状況、そして応募する仕事内容によって異なります。

伝えるべきケース(あるいは伝えた方が良いケース)

  1. 現在の業務遂行に支障が出る可能性がある場合:
    • 現在も治療中で、定期的な通院が必要であったり、特定の業務(例:長時間の立ち仕事、夜勤、重量物の運搬、高所作業、車の運転など)に制限があったりする場合。
    • 過去の病気が再発する可能性があり、それが業務に影響を与えることが予見される場合。
    • 薬の副作用などで、日中の眠気や集中力の低下などが起こりうる場合。
  2. 企業側に特別な配慮を求める必要がある場合:
    • 定期的な通院のための休暇取得や、勤務時間の調整、業務内容の変更などを入社後に希望する場合。
    • 職場環境において、特定の配慮(例:粉塵の少ない場所、化学物質への曝露を避けるなど)が必要な場合。
  3. 法律で告知義務がある場合(極めて稀なケース):
    • 職種によっては、特定の感染症などについて告知義務が定められている場合があります(一般的ではありません)。
  4. 面接で健康状態について具体的に質問された場合:
    • 嘘をついたり、隠したりするのは避け、正直に、かつ前向きな姿勢で説明することが大切です(ただし、業務に関係のない不必要な質問には答える義務はありません)。

伝えるメリット:

  • 入社後のミスマッチを防ぎ、企業側も必要な配慮をしやすくなるため、結果的に長く安心して働ける環境に繋がる可能性があります。
  • 誠実な姿勢を示すことで、企業からの信頼を得やすくなることもあります。

伝える必要がない、あるいは慎重になるべきケース

  1. 現在は完治しており、業務遂行に全く支障がない過去の病歴:
    • 例えば、数年前に完治した風邪や軽微な怪我など、現在の仕事能力に何ら影響しないものは、基本的に伝える必要はありません。
  2. 業務遂行能力と直接関係のない、プライバシー性の高い病歴:
    • 企業は、業務に関係のないプライベートな病歴を不必要に詮索することはできません。
  3. 企業側から特に質問されなかった場合:
    • 業務に支障がないのであれば、自ら積極的に全ての病歴を開示する必要はありません。

伝える際の注意点:

  • タイミング: 伝える場合は、選考のどの段階で伝えるか(応募書類か、面接か)も重要です。一般的には、面接が進んだ段階で、具体的な業務内容や働き方について話が及んだ際に、必要に応じて伝えるのが良いでしょう。
  • 伝え方: 不安を煽るような形ではなく、現在の状況、業務への影響の有無、そして必要な配慮(もしあれば)を、具体的かつ客観的に、そして前向きな姿勢で伝えることが大切です。

履歴書や職務経歴書に「病歴」を書くべきか?

  • 原則として、履歴書に「賞罰」欄はあっても「病歴」を記載する専用の欄はありません。 したがって、自ら積極的に詳細な病歴を記載する必要はありません。
  • 健康状態欄の扱い: 履歴書によっては「健康状態」を記載する欄があります。
    • 良好な場合: 「良好」「きわめて良好」などと記載します。
    • 業務に支障がない程度の既往症や通院がある場合: 「良好(ただし、〇〇で定期的に通院中ですが、業務に支障はありません)」といった形で、簡潔に記載することも考えられます。
    • 業務に支障が出る可能性がある場合や、配慮を求める場合: この欄に詳細を書くのではなく、面接で口頭で伝えるか、別途「本人希望記入欄」や備考欄に、必要な配慮などを具体的に記載することを検討しましょう。
  • 職務経歴書: 基本的に病歴を記載する場所ではありません。ただし、長期の休職期間があり、その理由が病気療養であった場合は、その期間と理由を簡潔に記載し、現在は業務に支障がないことを伝える必要があるかもしれません。

面接で「病歴」について伝える際のポイントと言い換え例

もし面接で健康状態について質問されたり、自分から病歴について伝える必要があると判断したりした場合は、以下の点を意識しましょう。

  1. 正直かつ簡潔に事実を伝える:
    • 隠したり、嘘をついたりするのは避けましょう。ただし、必要以上に詳細な医学的情報を話す必要はありません。
  2. 現在の状況と業務への影響を明確にする:
    • 「現在は完治しており、業務への支障はございません。」
    • 「〇〇という持病がありますが、定期的な通院と服薬でコントロールできており、日常業務に影響はありません。」
    • 「以前〇〇という病気で手術をしましたが、現在は経過も良好で、フルタイムでの勤務が可能です。」
  3. 必要な配慮があれば具体的に伝える(ただし、過度な要求は避ける):
    • 「月に一度、半日程度の通院が必要となりますが、業務に支障が出ないよう、事前に調整させていただきます。」
    • 「重いものを持つ作業は、医師から控えるよう指示されておりますが、それ以外の業務であれば問題なく遂行できます。」
  4. 前向きな姿勢と働く意欲を示す:
    • 病歴があるからといって、仕事への意欲が低いわけではないことを明確に伝えましょう。
    • 「健康管理には人一倍気をつけており、貴社で貢献したいという気持ちは非常に強いです。」
  5. ネガティブな表現は避ける:
    • 不安を煽るような言葉遣いや、自己憐憫的な態度は避け、客観的かつ建設的に話すことを心がけましょう。

NGな伝え方の例:

  • 「実は色々と病気があって、あまり無理はできないんです…」 (曖昧で、企業側が不安を感じる)
  • 「前の会社では、病気のことで全然配慮してもらえなくて…」 (他責的な印象)
  • 必要以上に詳細な病状や治療経過を語る。

企業が病歴を理由に不採用にすることは「違法」になる?

企業が採用選考を行う際、応募者の病歴だけを理由として、直ちに不採用とすることは、合理的な理由がない限り、就職差別にあたる可能性があり、問題となることがあります。

労働安全衛生法では、企業が労働者を雇い入れる際に健康診断を実施することを義務付けていますが、その目的は「適正配置」のためであり、健康状態を理由に一律に不採用とすることは適切ではありません。

ただし、その病歴が募集している職務を安全かつ円滑に遂行する上で、客観的に見て重大な支障となる場合や、他の従業員や顧客の安全衛生に影響を与える可能性がある場合など、合理的な理由があれば、採用が見送られることもあり得ます。

大切なのは、企業側も応募者側も、オープンかつ誠実なコミュニケーションを通じて、お互いの状況を理解し、適切な判断を下すことです。

まとめ:病歴との向き合い方は「誠実さ」と「前向きな姿勢」が鍵

転職活動における病歴の扱いは、非常にデリケートな問題です。しかし、重要なのは、自分自身の健康状態を正しく把握し、応募する仕事内容との関連性を考慮した上で、必要であれば企業に対して正直かつ前向きに情報を開示し、理解を求める姿勢です。

全ての病歴を伝える必要はありませんが、業務遂行に影響が出る可能性のあることや、企業側に配慮を求める必要がある場合は、適切なタイミングで誠実に伝えることが、入社後のミスマッチを防ぎ、安心して長く働くための第一歩となります。

もし、病歴があることで転職活動に不安を感じているのであれば、一人で悩まず、転職エージェントのキャリアアドバイザーや、産業医、あるいはハローワークの専門相談員などに相談してみるのも良いでしょう。あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスが得られるはずです。

この記事が、あなたが病歴と上手に向き合いながら、自分らしく活躍できる新しい職場を見つけるための一助となれば幸いです。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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