転職時のブランク期間「何もしてない」はNG？面接での効果的な伝え方と挽回策

「病気療養や家族の事情でしばらく仕事を休んでいた」「資格取得や留学のつもりが、結局何も形にならなかった」「前の会社を辞めてから、なんとなく時間が過ぎてしまった」――。様々な理由で、職務経歴に「ブランク期間（空白期間）」が生じ、その間「特に何もしていなかった」と感じている場合、転職活動でどう説明すれば良いのか、非常に悩ましい問題です。

「正直に話したら、働く意欲がないと思われるのではないか…」「何か適当な理由をつけた方が良いのだろうか…」。この記事では、転職活動でブランク期間があり、かつその間「何もしていなかった」と感じている方が、面接でどのように状況を伝え、企業側の懸念を払拭し、前向きな印象を与えることができるのか、その具体的な考え方や伝え方のポイント、そして今からでもできる対策について分かりやすく解説します。

なぜ企業は「ブランク期間」と「その間の過ごし方」を気にするのか？

企業が採用選考において、応募者の職務経歴にあるブランク期間、そしてその間に何をしていたのかに関心を持つ背景には、以下のような懸念や確認したいポイントがあります。

• 就労意欲の低下・継続性への不安: 長期間仕事から離れていた場合、働くことへの意欲やモチベーションが低下しているのではないか、あるいは入社してもまたすぐに辞めてしまうのではないかという懸念。
• スキルや知識の陳腐化・キャッチアップ能力: 特に変化の速い業界や職種の場合、ブランク期間中に業務に必要なスキルや知識が古くなっていないか、新しい情報をキャッチアップできるか。
• 計画性や自己管理能力の有無: ブランク期間をどのように過ごしていたのか、目標を持って計画的に行動していたのか、あるいは無為に過ごしていたのか。
• ブランクが生じた理由の妥当性と、それが現在も影響しないか: やむを得ない理由（病気療養、家族の介護など）であったとしても、その問題が解決し、現在は業務に支障がない状態なのか。
• 社会との隔絶感・新しい環境への適応力: 長期間仕事から離れていたことで、新しい職場の環境や人間関係、仕事の進め方にスムーズに適応できるか。

これらの懸念を払拭できるような、説得力のある説明と前向きな姿勢を示すことが、ブランク期間のある転職活動では特に重要になります。

「何もしてない」ブランク期間、面接でどう伝える？基本戦略

正直に「何もしていませんでした」とだけ伝えてしまうと、働く意欲がない、あるいは計画性がないと判断され、マイナスな印象を与えてしまう可能性が高いです。しかし、嘘をついたり、取り繕ったりするのも得策ではありません。大切なのは、「事実を認めつつも、そこから何を考え、今後どうしていきたいのか」という前向きな姿勢を示すことです。

ステップ1：まずはブランク期間の「理由」を正直に、かつ簡潔に説明する

• なぜ仕事から離れていたのか、その理由を正直に伝えましょう。 家庭の事情、体調不良、キャリアについて深く考えるための期間だった、など、ごまかさずに話すことが基本です。
• ただし、ネガティブな表現や他責的な言い方は避けるように心がけます。 例えば、「前の会社が嫌で、何もする気が起きなかった」ではなく、「前職退職後、今後のキャリアについてじっくりと考える時間を設けておりました」といったように、表現を工夫しましょう。

ステップ2：反省点と、そこから得た「気づき」や「学び」を伝える

• 「何もしていなかった」という事実を認めた上で、その期間を振り返り、何らかの気づきや学びがあったことを伝えられると、単なる空白期間ではなくなります。
• 例:
  • 「正直に申しますと、前職退職後はしばらく心身のリフレッシュに専念しており、具体的なスキルアップ活動などは行っておりませんでした。しかし、その期間を通じて自分自身のキャリアについて深く見つめ直すことができ、改めて〇〇の分野で貢献したいという強い思いを再認識いたしました。」
  • 「離職期間中は、積極的に転職活動を行っていたわけではございません。今振り返ると、もう少し計画的に過ごすべきだったという反省点はございます。しかし、その間に様々な情報に触れる中で、貴社のような〇〇という理念を持つ企業で働きたいという気持ちが明確になりました。」

ステップ3：今後の「働く意欲」と「貢献意欲」を強くアピールする

• ブランク期間があったからこそ、今、働くことへの意欲が高まっていることを伝えましょう。
• 入社後にどのように貢献していきたいか、具体的なビジョンを語ることが重要です。
• 例:
  • 「ブランク期間を経て、改めて仕事を通じて社会と関わることの重要性を感じております。これまでの経験で培った〇〇のスキルを活かし、一日も早く貴社に貢献できるよう、人一倍努力する所存です。」
  • 「この期間にエネルギーを十分に充電できましたので、入社後は〇〇の業務に全力で取り組み、貴社の発展に貢献していきたいと考えております。」

ステップ4：もし何か少しでも「やっていたこと」があれば、それを繋げる

• 「何もしていなかった」と感じていても、よくよく振り返ってみると、何かしら社会との接点や、次の仕事に繋がるような活動をしていた可能性はありませんか？
  • 例:
    • 読書: 「〇〇業界に関する書籍を読み、知識を深めていました。」
    • 情報収集: 「△△分野の最新動向について、ウェブサイトやニュースを通じて情報収集していました。」
    • 家事・育児・介護: 「家族のサポートに専念していましたが、その中で時間管理能力やコミュニケーションの重要性を改めて学びました。」（ただし、これが直接的なアピールになるかは職種によります）
    • 趣味（仕事に繋がる可能性のあるもの）: 「以前から興味のあった〇〇（例：プログラミング、デザインなど）について、独学で基礎を学んでいました。」
• 小さなことでも、前向きな活動として伝えられるものがあれば、積極的に盛り込みましょう。

「何もしてない」ブランク期間に対するNGな伝え方

• 嘘をつく、事実を誇張する: 後々矛盾が生じたり、発覚したりした場合、信頼を大きく損ないます。
• 「休んでいて楽だった」「のんびりしていた」といった、働く意欲を疑われるような発言。
• ブランク期間の理由を曖昧にする、あるいはごまかす。
• 他責的な表現（例：「なかなか良い求人がなくて…」「家族が…」など、自分の主体性のなさを感じさせる言い方）。
• 自信なさげな態度や、言い訳がましい話し方。
• 反省の色が見えない、あるいは開き直ったような態度。

今からでも遅くない！ブランク期間を「価値ある時間」に変えるために

もし現在ブランク期間中で、「何もしていない」という状況に焦りを感じているのであれば、今からでもできることはあります。

• 短期的な目標を設定し、何かを始めてみる:
  • 資格取得の勉強: 目指す業界や職種に関連する資格の勉強を始めてみましょう。結果として資格が取れなくても、勉強していたという事実はアピールになります。
  • オンライン講座の受講: 手軽に新しいスキルや知識を学べるオンライン講座は多数あります。
  • 読書や情報収集: 興味のある分野の書籍を読んだり、業界ニュースをチェックしたりするだけでも、知識のアップデートに繋がります。
  • ボランティア活動や短期のアルバイト: 社会との接点を持ち、働く感覚を取り戻すのに役立ちます。
• 生活リズムを整える: 毎日決まった時間に起き、日中の活動時間を確保するなど、規則正しい生活を心がけましょう。
• 転職エージェントに相談する: キャリアアドバイザーに正直に状況を話し、どのようにブランク期間を説明すれば良いか、また、今からできることは何か、具体的なアドバイスをもらうのも有効です。

まとめ：「何もしていなかった」からこそ、見えるもの・得られるものもある

転職活動におけるブランク期間、特にその間に「何もしていなかった」と感じる場合、大きな不安を抱えるのは当然です。しかし、その期間を正直に認め、反省すべき点は反省し、そして何よりも「これからどうしたいのか」「どう貢献していきたいのか」という未来への前向きな意志を力強く伝えることができれば、企業側の懸念を払拭し、採用のチャンスを掴むことは十分に可能です。

時には、あえて「何もしない」時間を持つことが、自分自身を見つめ直し、本当にやりたいことや大切にしたい価値観に気づくための貴重な機会となることもあります。その気づきを、次のキャリアへのエネルギーに変えていきましょう。

この記事が、あなたがブランク期間の不安を乗り越え、自信を持って転職活動に臨み、新しい一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。