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転職「0日退職」はあり得る?入社即日の退職とその影響

岩下隼人
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「入社したけれど、初日で『この会社は合わない』と感じてしまった…」「聞いていた話とあまりにも違う…」。期待を胸に新しい会社に入社したものの、入社初日、あるいは数日で「もう辞めたい」と感じ、即日退職という選択肢が頭をよぎるケースは、残念ながら稀ではありません。

この記事では、転職における「0日退職」や「入社即日退職」が何を意味するのか、そのような状況に至ってしまう背景、そして実際にそのような決断をする場合の法的な側面や手続き、さらにはその後のキャリアへの影響や、そうならないための予防策について、分かりやすく解説します。

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「0日退職」とは?その定義と一般的な状況

「0日退職」という言葉は、文字通り**「入社した日に退職すること」、あるいは「入社手続きは済ませたものの、実質的に一日も勤務せずに退職の意思を伝えること」**を指すことが多いです。法的には、雇用契約が成立した後に、その契約を即座に解除するという形になります。

このような状況に至ってしまう背景には、様々な理由が考えられます。

  • 入社前の情報との大きなギャップ:
    • 面接で聞いていた仕事内容や配属部署、労働条件(給与、勤務時間、休日など)が、入社初日に提示されたものと著しく異なっていた。
    • 企業のウェブサイトや求人情報から抱いていたイメージと、実際の職場の雰囲気や社風が全く違った。
  • 初日から感じる職場環境への強い不適応:
    • 上司や同僚の態度、職場の人間関係、あるいはオフィスの物理的な環境などが、どうしても受け入れられないと感じた。
    • ハラスメント行為を目の当たりにした、あるいは自身が受けそうになった。
  • 健康上の問題:
    • 入社直後に急な体調不良に見舞われたり、精神的なストレスから勤務が困難になったりした。
  • 家庭の事情の急変:
    • 家族の急病や介護など、予期せぬ家庭の事情が発生し、働くことが難しくなった。
  • 内定ブルーの深刻化:
    • 内定承諾後から入社日までの間に抱えていた不安や迷いが、入社初日に現実のものとなり、どうしてもここで働き続ける自信が持てなくなった。
  • 他の企業からのより魅力的なオファー(タイミングの問題):
    • 入社直前に、より希望に近い条件の別の企業から内定を得た。

これらの理由は、応募者側だけでなく、企業側の説明不足や不誠実な対応が原因となっている場合もあれば、応募者自身の事前の確認不足や思い込みが影響している場合もあります。

「0日退職」は法的に可能?知っておきたいルール

労働者には、原則として「退職の自由」が認められています。

  • 民法における規定: 期間の定めのない雇用契約の場合、労働者はいつでも解約の申し入れをすることができ、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了するとされています(民法第627条第1項)。 つまり、法律上は、入社初日であっても退職の意思を伝えれば、原則として2週間後には退職が成立することになります。
  • 会社の合意があれば即日退職も可能: 企業側が合意すれば、2週間を待たずに即日退職することも可能です。入社直後の場合、企業側も無理に引き止めるよりは、早期に合意して手続きを進めることを選択する場合もあります。
  • やむを得ない事由がある場合: 民法第628条では、やむを得ない事由があるときは、各当事者は直ちに契約の解除をすることができると定めています。例えば、入社前に説明された労働条件と著しく異なる場合や、健康上の理由で勤務が困難な場合などがこれに該当する可能性があります。ただし、この「やむを得ない事由」の判断は個別具体的になされるため、注意が必要です。

試用期間中の退職について:

試用期間中であっても、法的には雇用契約が成立しているため、上記の民法の規定が適用されます。試用期間だからといって、自由に即日解雇されたり、自由に即日退職できたりするわけではありません。

「0日退職」を伝える際の手順と注意点

もし、入社初日にどうしても退職したいと決意した場合、以下の手順と注意点を踏まえて、できる限り誠実に対応することが重要です。

  1. まずは直属の上司(または人事担当者)に直接伝える:
    • できるだけ早く、そして必ず直接口頭で退職の意思を伝えましょう。メールや電話だけで済ませるのは、社会人としてのマナーに欠けると見なされます。
    • 「大変申し訳ございませんが、一身上の都合により、本日付けで退職させていただきたく存じます」といった形で、退職の意思を明確に伝えます。
  2. 退職理由の説明(正直かつ慎重に):
    • なぜ退職したいのか、その理由を正直に、しかし感情的にならず、できるだけ客観的に説明しましょう。
    • 企業側に明らかな問題がある場合(労働条件の相違など): 具体的な事実を冷静に伝え、改善が見込めないと判断した旨を説明します。
    • 自己都合の場合: 詳細に語る必要はありませんが、誠意をもって説明する姿勢が大切です。
    • 前職の会社や他の応募者の悪口、あるいは単なる「合わない」といった抽象的な表現は避けましょう。
  3. 退職届の提出:
    • 会社から指示があれば、速やかに退職届を作成し提出します。日付は退職日(この場合は入社日)を記載します。
  4. 貸与物の返却:
    • 社員証、制服、入館証、PC、その他会社から貸与されたものは、全て速やかに返却します。
  5. 必要な手続きの確認:
    • 社会保険や雇用保険の資格取得・喪失手続きなど、会社側で行うべき手続きと、自分自身で行うべき手続きについて確認しましょう。短期間の在籍であっても、社会保険の加入手続きが行われている可能性があります。

注意点:

  • 無断欠勤・音信不通は絶対に避ける: たとえ一日であっても、無断で連絡を絶つのは社会人として最も避けるべき行為です。必ず正式な手順を踏んで退職の意思を伝えましょう。
  • 感情的にならない: 会社に対する不満があったとしても、感情的に相手を非難したり、大声を出したりするのは得策ではありません。冷静かつ毅然とした態度で話し合いましょう。
  • 引き止められた場合の対応: 会社から引き止められる可能性もあります。退職の意思が固い場合は、その旨を丁寧に、しかし明確に伝えましょう。
  • 損害賠償のリスク(極めて稀なケース): 入社直後の退職によって企業が具体的な損害を被った場合(例えば、あなたのために特別な研修費用を支出していた、あるいは採用コストが著しくかかっていたなど)、極めて稀なケースですが、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。ただし、労働者の退職の自由は保障されており、企業側も採用リスクをある程度負っているため、実際に請求が認められるハードルは高いと言われています。

「0日退職」がその後の転職活動に与える影響

入社即日での退職は、その後の転職活動において、少なからず影響を与える可能性があります。

  • 職務経歴書への記載:
    • たとえ一日であっても、雇用契約が成立し、社会保険の加入手続きなどが行われていれば、職歴として正直に記載するのが原則です。短期間での離職は、採用担当者に「またすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を抱かせる可能性があります。
    • 記載しない場合、後々社会保険の加入履歴などから判明し、経歴詐称と見なされるリスクがあります。
  • 面接での説明:
    • 面接で退職理由を尋ねられた際に、説得力のある説明が求められます。単に「合わなかった」では、忍耐力がない、あるいは事前の企業研究が不十分だったと判断されかねません。
    • 「入社前に確認した労働条件と著しく異なっていたため、やむを得ず退職を決意しました」といった、客観的で正当な理由があれば、企業側の理解を得やすくなります。
  • 企業側の警戒感:
    • 採用担当者によっては、入社即日退職の経験がある応募者に対して、より慎重な選考を行う可能性があります。

「0日退職」を避けるために、入社前にできること

最も良いのは、「0日退職」という事態を避けることです。そのためには、入社前の準備と確認が非常に重要になります。

  • 徹底的な企業研究: 企業のウェブサイトや採用情報だけでなく、業界ニュース、社員の口コミサイト(情報の信頼性には注意が必要ですが)、SNSなど、多角的な情報源から企業の実態をリサーチしましょう。
  • 面接での積極的な質問と疑問点の解消: 仕事内容、労働条件、企業文化、職場の雰囲気など、気になる点は面接の段階で遠慮なく、かつ具体的に質問し、疑問点を全て解消しておきましょう。
  • 労働条件通知書・雇用契約書の詳細な確認: 内定が出たら、必ず書面で労働条件を確認し、不明な点や面接で聞いていた話と違う点があれば、入社承諾前に必ず企業に確認し、納得できるまで話し合いましょう。
  • カジュアル面談やOB・OG訪問の活用: 可能であれば、選考とは別に、実際に働いている社員と話す機会を設け、リアルな情報を得るように努めましょう。
  • 自己分析の深化: 自分自身が仕事に何を求め、どのような環境であれば活躍できるのか、自己分析を深めることで、ミスマッチの少ない企業選びができます。
  • 内定承諾は慎重に: 複数の企業から内定を得ている場合は特に、焦らず、それぞれの企業の条件や特徴を比較検討し、最も納得のいく一社を選びましょう。一度内定を承諾した後の辞退は、企業に多大な迷惑をかけることになります。

まとめ:「0日退職」は最終手段、まずは誠実な対話と事前の確認を

転職における「0日退職」は、応募者にとっても企業にとっても、できる限り避けたい事態です。しかし、やむを得ない事情や、入社前に想定できなかった大きなギャップが生じた場合には、自分自身のキャリアや心身の健康を守るために、そのような決断が必要になることもあるかもしれません。

もし「0日退職」を選択せざるを得ない状況になった場合は、感情的にならず、会社に対して誠実な態度で退職の意思を伝え、必要な手続きをきちんと行うことが大切です。そして何よりも、そのような事態を招かないために、転職活動の段階から、徹底した情報収集と企業との丁寧なコミュニケーションを心がけ、入社前に疑問点や不安点を解消しておくことが、後悔のないキャリアチェンジを実現するための最も確実な道と言えるでしょう。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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