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ポイズンピルとホワイトナイトの違いは?M&Aの買収防衛策を分かりやすく解説

岩下隼人
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会社の経営権を巡るM&A(企業の合併・買収)のドラマでは、まるで物語の登場人物やアイテムのような、面白い名前のキーワードが登場します。その代表格が、**「ポイズンピル(毒薬)」「ホワイトナイト(白馬の騎士)」**です。

どちらも、会社が敵対的な相手に乗っ取られるのを防ぐために登場しますが、その役割や性質は大きく異なります。

この記事では、会社のピンチに登場するこの二つのキーワードについて、その意味や違い、そして関係性を、株式投資の初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

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自衛の罠:「ポイズンピル(毒薬)」とは?

まずは、会社が自ら用意する防衛策、「ポイズンピル」から見ていきましょう。

  • 役割ポイズンピルは、会社があらかじめ自分で用意しておく、敵対的買収を「困難にする」ための仕組みです。
  • 仕組みもし敵対的な買収者が現れた場合、その買収者以外の株主たちに、新しい株式を格安で手に入れる権利を与えます。これにより、市場に出回る株式の総数を一気に増やし、買収者の持株比率を強制的に下げて(これを希薄化と言います)、買収コストを天文学的に引き上げます。
  • 例えるなら…お城に敵が攻めてくるのに備えて、城壁の内側に**「毒の罠」を仕掛けておくようなものです。敵が侵入してきた瞬間に罠が作動し、敵に大ダメージを与えて追い払う、というイメージ。あくまで自社の力(内部)**で対抗する防衛策です。

助っ人登場:「ホワイトナイト(白馬の騎士)」とは?

一方、「ホワイトナイト」は、自社の力だけでは対抗しきれない時に現れる、頼もしい助っ人です。

  • 役割ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた会社を救うために現れる、友好的な別の会社や個人のことを指します。
  • 意味と由来その名の通り、おとぎ話で悪者に襲われたお姫様を助けに来る**「白馬の騎士」**に由来します。敵対的買収者(ブラックナイト=黒い騎士、と呼ばれることも)から、窮地に陥った会社を救い出してくれるヒーローのような存在です。
  • 仕組みホワイトナイトは、敵対的買収者よりも良い条件(より高い株価など)を提示し、買収されている会社の経営陣と合意の上で、会社を友好的に買収してくれます。これにより、敵対的買収者の目的は達成できなくなり、買収は失敗に終わります。
  • 例えるなら…悪者に襲われているお姫様(会社)のもとに颯爽と現れ、悪者を追い払ってくれる、頼もしい**「味方の騎士」**。外部から助けに来てくれる存在です。

【徹底比較】ポイズンピルとホワイトナイトの違い

「毒の罠」と「白馬の騎士」、その違いを一覧で比較してみましょう。

比較項目ポイズンピル(毒薬)ホワイトナイト(白馬の騎士)
主体は誰か?自社(自分自身で仕掛ける罠)第三者(助けに来てくれる味方)
アプローチ方法買収を妨害・困難にする敵の代わりに友好的に買収する
実行後の会社の姿独立を維持できる可能性があるホワイトナイトの傘下に入る
メリット会社の独立性を保てる可能性があるより良い条件で会社を売却できる
デメリット株主の権利を損なうリスクがある結局は他社の支配下に入る

最大の違いは、実行後の会社の姿です。ポイズンピルは、あくまで敵を追い払って会社の独立を守ることが目的ですが、ホワイトナイトに助けを求めた場合、敵の支配は免れるものの、結局はそのホワイトナイトの傘下に入ることになり、会社の独立は失われます。

リアルな攻防:どう使い分けられるのか?

実際のM&Aの現場では、この二つはどのように登場するのでしょうか。しばしば、両者は連携して使われます。

  1. まず、敵対的買収者が登場します。
  2. 買収されたくない会社は、すぐさま**「ポイズンピルを発動する準備がありますよ」と警告**します。これにより、敵の動きを牽制し、時間稼ぎをします。
  3. そして、その稼いだ時間を使って、裏では必死に友好的な買収者(ホワイトナイト)を探します
  4. もし、敵対的買収者よりも良い条件を出してくれるホワイトナイトが見つかれば、そのホワイトナイトによる友好的な買収を受け入れ、敵を撃退します。
  5. 万策尽き、ホワイトナイトが見つからなかった場合の「最後の手段」として、ポイズンピルの発動が検討される、という流れが一般的です。

このように、ポイズンピルとホワイトナイトは、敵対的買収という危機的状況において、巧みに使い分けられる戦略的なカードなのです。

まとめ

  • ポイズンピル自社で用意する防衛策。買収を困難にする「毒の罠」であり、会社の独立維持を目指す。
  • ホワイトナイト第三者の助っ人。友好的に会社を買収してくれる「白馬の騎士」であり、結果としてその会社の傘下に入る。
  • 大きな違い:**「誰が主体か」「実行後に独立を維持できるか」**という点が根本的に異なる。
  • 実戦では、ポイズンピルで時間稼ぎをしつつ、ホワイトナイトを探すという合わせ技も使われる。

この二つの言葉の違いと関係性を知ることで、M&Aのニュースがより立体的に、そしてドラマチックに見えてくるはずです。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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