未経験から内部監査へ転職!仕事内容から成功の秘訣、キャリアパスまで徹底解説
「会社の『守り』の要として、経営を支えたい」
「客観的な視点から、組織をより良くしていく仕事に就きたい」
そんな思いから、企業の健全な成長に不可欠な「内部監査」という仕事に、強い関心を抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし、その専門性の高さから、「経理や法律の知識がないと無理だろう」「全くの未経験では、挑戦すらできないのでは?」と、一歩を踏み出すことをためらっているかもしれません。
結論からお伝えします。今の内部監査の現場は、これまでの常識を覆すほど、多様なバックグラウンドを持つ「未経験者」を、積極的に求めています。 あなたが異業種で培ってきた専門知識こそが、これからの企業の成長を支える、新しい力になるのです。
この記事では、未経験から内部監査のプロフェッショナルを目指すあなたのための、リアルな仕事内容から、転職を成功させるための具体的な戦略まで、その全てを徹底的に解説します。
なぜ今、内部監査は「未経験者」にもチャンスがあるのか?
専門職である内部監査で、なぜ未経験者に大きなチャンスが広がっているのでしょうか。
- 1. コーポレートガバナンス強化の大きな潮流相次ぐ企業不祥事などを背景に、企業の不正を未然に防ぎ、健全で透明性の高い経営体制を構築する「コーポレートガバナンス」の重要性が、社会的に強く求められています。これに伴い、経営陣から独立した立場で組織をチェックする、内部監査部門を強化する企業が急増しているのです。
- 2. 監査領域の拡大と、異業種の「専門知見」へのニーズかつての内部監査は、会計不正のチェックが中心でした。しかし、現代の監査対象は、ITシステム、情報セキュリティ、個人情報保護、人事労務、サプライチェーンなど、企業活動のあらゆる領域に広がっています。そのため、経理の知識だけでなく、**「ITエンジニア」「営業」「製造」「法務」**といった、各分野の現場を知り尽くしたプロフェッショナルの知見が、リアルなリスクを評価する上で、不可欠となっているのです。
- 3. 経験以上に「ポテンシャル」と「人間性」が重視される内部監査のスキルは、入社後にOJTや研修で学ぶことができます。それ以上に、物事を客観的に見る力、誠実さ、そして現場の担当者と信頼関係を築くコミュニケーション能力といった、その人が持つ資質そのものが、採用において何よりも重視されます。
内部監査の仕事とは?会社の「健康診断」を行うドクター役
内部監査の役割は、会社の経営目標が効果的に達成されるように、独立した客観的な立場から、社内の様々な業務プロセスやリスク管理体制を評価し、改善のための助言を行うことです。問題点を指摘する「警察官」ではなく、会社がより健康になるための手助けをする**「医者」や「人間ドックの検査技師」**に近いイメージです。
具体的な仕事の流れ
- 監査計画の立案: リスクが高いと思われる部署や業務領域を特定し、年間の監査計画を立てます。
- 予備調査: 監査対象部署の資料を読み込んだり、担当者に事前ヒアリングを行ったりして、現状を把握します。
- 本調査(往査): 実際に現場へ赴き、業務がルール通りに行われているか、担当者へのインタビューや、帳票・記録といった証拠(証憑)の確認を通じて、詳細な調査を行います。
- 評価・分析: 調査で発見された事実(ファインディング)を元に、その原因や、会社に与える影響(リスク)を分析し、問題の本質を特定します。
- 監査報告書の作成と報告: 調査結果と、具体的な改善提案をまとめた「監査報告書」を作成し、経営陣や監査役会に報告します。
- フォローアップ: 改善提案が、その後きちんと実行され、効果を上げているかを、継続的に確認します。
内部監査に向いている人の特徴【適性チェック】
- 高い客観性と公正さ: 部署や個人の人間関係に一切左右されず、常に公平な視点で、事実に基づいて物事を判断できる。
- 優れたコミュニケーション能力(特にヒアリング力): 相手を問いただすような姿勢ではなく、信頼関係を築き、現場の担当者が抱えるリアルな課題や悩みを、本音で話してもらえるような雰囲気を作れる。
- 鋭い分析能力と論理的思考力: 膨大な情報の中から、問題の本質的な原因を見抜き、それを誰にでも分かるように、筋道を立てて説明できる。
- 旺盛な知的好奇心と学習意欲: 会社の全部署が監査対象となるため、常に新しい業務や知識(IT、法律、会計など)を、楽しみながら学ぶことができる。
- 誠実さと精神的なタフさ: 時には、相手にとって耳の痛い、厳しい指摘をしなければならない場面もあります。それでも、相手に納得してもらうための誠実さと、嫌われ役になることも厭わない精神的な強さ。
未経験からの転職、有利になるスキルと資格
前職の「専門性」が最大の武器になる
あなたの市場価値は、「未経験」という一点だけで決まるわけではありません。**「未経験(内部監査)× 経験(あなたの専門分野)」**という掛け算で、独自の価値をアピールできます。
- ITエンジニア経験者: ITシステムの監査(システム監査)で、その知識は大きな強みになります。
- 経理・財務経験者: 会計監査の分野で、即戦力として期待されます。
- 営業・マーケティング経験者: 営業プロセスの妥当性や、広告宣伝費の費用対効果の監査などで、現場感覚が活かせます。
- 法務・コンプライアンス経験者: 社内規程や法令遵守の観点からの監査で、高く評価されます。
あると有利な資格
- CIA(公認内部監査人): 内部監査に関する、唯一の国際的な専門資格です。もし取得していれば、たとえ実務経験がなくても、あなたの本気度と知識レベルを証明する、最強の武器となります。
- CISA(公認情報システム監査人): IT監査の専門家としての、国際的な評価を得られる資格です。
- 日商簿記2級以上: 財務諸表を読むための基礎知識として、持っていると評価が高まります。
未経験からの転職活動|成功の秘訣とアピール術
- 求人の探し方:大手転職サイトでも求人は見つかりますが、MS-Japanのような管理部門や士業に特化した転職エージェントや、JACリクルートメントのようなハイクラス向けのエージェントに相談すると、質の高い非公開求人に出会える可能性が高まります。
- 志望動機・自己PRの作り方:「なぜ、未経験から内部監査を志望するのか」という問いに、あなた自身の経験を元に、説得力を持って答えることが重要です。例: 「前職でITシステムの開発に携わる中で、システムがビジネスに与える影響の大きさと、そのリスク管理の重要性を痛感しました。今後は、開発という一部分だけでなく、会社全体の業務プロセスを俯瞰し、ITの専門知識を活かして、貴社のガバナンス強化に貢献したいと考えております。」このように、前職での課題意識と、内部監査という仕事を結びつけて語ることで、あなたの志望動機の解像度は格段に上がります。
まとめ:会社の「信頼」を創り、守るプロフェッショナルへ
内部監査の仕事は、単に社内のミスや不正をチェックするだけの、後ろ向きな仕事ではありません。それは、会社がより健全に、そして持続的に成長するための方向性を示し、未来のリスクから会社を守る、非常に建設的でやりがいに満ちたプロフェッショナル・ワークです。
内部監査の実務は未経験でも、あなたがこれまで懸命に培ってきた異業種での専門知識と、物事を客観的かつ誠実に見つめる視点こそが、この世界で活躍するための、誰にも真似できない最大の武器になるのです。