営業推進への転職ガイド｜仕事内容から求められるスキル、キャリアパスまで

営業の最前線で活躍する中で、こんな風に感じたことはありませんか？

「個人の成果だけでなく、チームや組織全体のパフォーマンスを向上させたい」

「感覚や経験則だけでなく、もっとデータに基づいた戦略的な視点から営業を動かしてみたい」

もしあなたが今、そんな想いを抱いているなら、営業組織の「司令塔」とも言える「営業推進部」へのキャリアチェンジが、その答えになるかもしれません。

営業推進は、単なる営業のサポート役ではありません。営業の「勝ちパターン」を創り出し、事業の成長を根幹から支える、極めて専門的でやりがいに満ちた仕事です。

この記事は、そんな営業推進という仕事に、キャリアの可能性を見出しているあなたのためのガイドブックです。

「営業推進の世界に、これから挑戦したい方」

「営業推進部で培った経験を活かして、次のステージへ進みたい方」

そのどちらにとっても、自身のキャリアプランを具体化し、成功への一歩を踏み出すためのヒントがここにあります。

【パート1】営業組織の司令塔へ。営業推進の仕事に挑戦したい方へ

まず、「営業推進」という仕事に興味を持ち、新たな挑戦を考えているあなたへ。その仕事のリアルな姿と、求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。

営業推進とはどんな仕事？営業の「勝ちパターン」を創り出す専門家

営業推進（企業によっては営業企画、セールスオペレーションとも呼ばれる）のミッションは、「営業組織全体のパフォーマンスを最大化すること」です。その業務は多岐にわたり、まさに営業組織の頭脳であり、エンジンとなります。

営業戦略の立案と実行支援

市場や競合の状況を分析し、「どの市場を、どの製品で、どのように攻めるべきか」という営業戦略を立案します。その上で、売上目標やKGI/KPI（重要業績評価指標）を設定し、その進捗を管理しながら、戦略が現場で実行されるようサポートします。

営業プロセスの最適化とツール活用

営業活動における非効率な業務を見つけ出し、プロセスを標準化・効率化します。SFA（営業支援システム）やCRM（顧客管理システム）といったITツールを導入・運用し、データに基づいた営業活動ができる環境を整えることも重要な役割です。

営業力の強化とモチベーション向上

個々の営業担当者のスキルを高めるための研修プログラムを企画・実施したり、誰でも質の高い提案ができるような営業マニュアルや、効果的な提案資料・トークスクリプトを作成したりします。また、営業担当者のモチベーションを高めるための、公正で魅力的なインセンティブ制度（報酬制度）を設計・運用することもあります。

営業推進のやりがいと、知っておきたい難しさ

やりがい

• 自分の企画や仕組み作りが、営業組織全体の成果に繋がり、事業の成長をダイレクトに後押しできる、大きな影響力を持つ仕事です。
• 経営層と現場の営業担当者の両方と密接に関わるため、会社全体を俯瞰する高い視座が身につきます。
• データ分析に基づき、論理的にビジネスを動かしていく、知的な面白さと手応えを感じられます。

難しさ

• 現場の営業担当者からは「現場の気持ちが分かっていない」と反発されたり、経営層からは高い成果を求められたりと、板挟みになることがあります。
• 華やかな企画業務だけでなく、地道なデータ集計・分析、膨大な資料作成といったデスクワークが、業務の大部分を占めることも少なくありません。
• 自身の貢献が、直接的な売上数字ではなく「組織全体の生産性向上」といった間接的な成果になるため、時に評価されにくいと感じることもあります。

営業推進への転職、求められるスキルと経験

この専門的な仕事に挑戦するためには、どのような経験やスキルが求められるのでしょうか。

営業経験は必須か？

必須ではない求人もありますが、現場の営業担当者の気持ちや業務内容を深く理解できるため、法人営業の経験は非常に大きな強みになります。「現場が抱えるリアルな課題」を知っていることが、机上の空論ではない、本当に役に立つ施策を生み出すための土台となるからです。

求められる3つのコアスキル

1. 分析能力・論理的思考力: Excel（VLOOKUP, ピボットテーブルなど）や、BIツールを使いこなし、データという客観的な事実から課題を発見し、仮説を立て、解決策を導き出す能力。
2. 企画力・ドキュメンテーション能力: 課題解決のための具体的な企画を立案し、その内容を誰にでも分かりやすい資料（PowerPointなど）にまとめる能力。
3. コミュニケーション能力・調整力: 現場の営業担当者はもちろん、経営層、マーケティング、開発といった他部署を巻き込み、プロジェクトを円滑に推進していく能力。

【パート2】営業推進の経験を活かし、次のキャリアへ進む方へ

次に、営業推進としてキャリアを積んできたあなたが、その貴重な経験を武器に、次のステージへ羽ばたくためのヒントです。

あなたの市場価値は？営業推進で培われた独自の強み

営業推進の経験は、あなたに他の職種では得難い、市場価値の非常に高いスキルセットを与えています。

• 活かせるスキル①：事業を俯瞰する戦略的視点 一人のプレイヤーとしてではなく、営業組織全体の売上をどうすれば最大化できるか、という経営に近い視点で物事を考える能力。
• 活かせるスキル②：データに基づいた課題解決能力 感覚や経験則に頼るのではなく、データという客観的な事実を基に、課題を発見し、打ち手を考え、実行・検証（PDCA）できる、再現性の高い問題解決能力。
• 活かせるスキル③：業務プロセス改善・設計能力 属人的でバラバラだった営業スタイルを、誰でも実践できる「仕組み」に落とし込み、組織全体の生産性を向上させる能力。これは、あらゆる企業が求める非常に価値の高いスキルです。

次のステージはどこ？営業推進からのキャリアパス

その強力なスキルセットを手に、あなたはどのようなフィールドで活躍できるのでしょうか。

• ① 事業企画・経営企画: 営業部門だけでなく、会社全体の戦略立案や新規事業開発を担う、より上流のポジションへ。
• ② マーケティング: 営業戦略と表裏一体であるマーケティング部門で、リード獲得戦略やブランディング戦略を担います。
• ③ ITコンサルタント・SaaS企業のカスタマーサクセス: 業務プロセス改善の経験を活かし、クライアント企業の課題解決を直接支援します。特に、SFA/CRMの導入コンサルタントなどは親和性が高いキャリアです。
• ④ より大きな企業の営業推進・セールスオペレーション: これまでの経験を活かし、より大規模で複雑な営業組織の改革に挑戦し、キャリアアップを目指します。

営業の「現場」と「戦略」を繋ぐ、キャリアの要へ

営業推進は、単なる営業のサポート役ではありません。データと戦略を武器に、営業組織という会社のエンジンを最強の状態にチューニングする、現代のビジネスに不可欠な専門職です。

「営業推進に挑戦する」道も、「営業推進での経験を活かして新たな世界へ挑戦する」道も、どちらもあなたのキャリアを、より戦略的で価値の高いものへと引き上げてくれるはずです。この記事が、その一助となることを心から願っています。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。