「転職を繰り返す」は不利?英語で経歴を「強み」に変える伝え方と例文
「私の職務経歴書、転職回数が多くて、飽きっぽいと思われるだろうか…」
「面接で、このキャリアについて英語でどう説明すれば、ネガティブな印象を与えずに済むだろう?」
キャリアアップやスキルアップを目指し、主体的に環境を選んできた結果として、転職を繰り返すことになった。その経歴を前に、次のステップへの不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、グローバルな環境への転職活動では、この「転職を繰り返す」という経歴がどう評価されるのか、気になりますよね。
しかし、ご安心ください。あなたのその多様な経験は、伝え方一つで、弱みから**「一貫した目的を持つ、戦略的なキャリアパス」**という、非常に魅力的な強みへと生まれ変わります。
この記事では、「転職を繰り返す」という経歴を、英語で自信を持って、そしてポジティブに伝えるための具体的な考え方と、面接や職務経歴書でそのまま使える戦略的なアピール術を、分かりやすく解説していきます。
まず知っておきたい。「転職を繰り返す」は弱みではない。英語圏のキャリア観
効果的な伝え方を学ぶ前に、まず知っておきたいのが、キャリアに対する価値観の違いです。
日本では、一つの会社に長く勤めることが美徳とされる文化が今も根強くありますが、欧米を中心とする英語圏のビジネス環境、特にIT業界など変化の速い分野では、その考え方は必ずしも主流ではありません。
むしろ、スキルアップやキャリアアップのため、あるいはより面白いプロジェクトを求めて、数年単位で会社を移ることは、プロフェッショナルとして当然の、主体的で意欲的な行動と捉えられます。
面接官が懸念するのは、転職の「回数」そのものではなく、その背景にある**「一貫性のなさ」や「目的の欠如」**です。逆に言えば、そこに明確なストーリーさえあれば、あなたの経歴は「不安定」ではなく、「計画的で意欲的」と評価されるのです。
英語では、目的なく転職を繰り返す人を、やや軽蔑的に job hopper
と呼びます。あなたが面接で語るべきは、「私は job hopper
ではなく、明確な意図を持った career builder
(キャリアを築く人)である」という物語です。
あなたのキャリアの「一貫したテーマ」を見つけ、語る方法
バラバラに見える職歴も、一本の線で繋ぐことで、説得力のあるストーリーが生まれます。
STEP1:キャリアの「軸」を見つける
まず、これまでのあなたのキャリアを俯瞰し、そこに通底する「一貫したテーマ」を見つけ出しましょう。それは、どのようなものでしょうか?
- テーマの例①【専門性の深化】: 「一貫して〇〇(例:BtoB SaaS)の分野で、営業→マーケティング→プロダクトマネジメントと、より専門性を深めるために最適な環境を選んできた」
- テーマの例②【スキルの多様化】: 「A社で〇〇(例:大企業向け営業)、B社で△△(例:スタートアップでの0→1の立ち上げ)を経験し、どんな環境でも成果を出せる、複合的な課題解決能力を身につけてきた」
- テーマの例③【特定の課題解決への挑戦】: 「『中小企業のDX化』という社会課題に対し、A社では〇〇、B社では△△という異なるアプローチで挑戦を続けてきた」
この「軸」が、あなたのキャリアストーリーの背骨となります。
STEP2:各転職を、テーマに沿った「必要なステップ」として位置付ける
次に、その軸に沿って、一つひとつの転職が、なぜそのタイミングで「必要」だったのかを言語化します。
「A社で〇〇を習得した後、次のステップである△△を学ぶために、その分野で最先端のB社へ移るという、論理的な決断でした。」
このように、それぞれの転職が、場当たり的なものではなく、明確な目的を持ったステップであったことを示します。
【英語例文】面接で「転職を繰り返す理由」を問われた時の、最高の切り返し
面接で「Your resume shows that you've worked at a few different companies. Can you tell me about that?
(いくつかの会社で働かれていますね。その経緯を教えていただけますか?)」と聞かれたら、それはあなたの戦略性をアピールする絶好のチャンスです。
<回答例(専門性の深化を軸にする場合)>
“That’s a great question. While it may look like a series of different companies, it has actually been a very focused career path. My consistent theme has been to become an expert in building new businesses from zero to one.”
(素晴らしいご質問ですね。一見すると、いくつかの異なる会社に見えるかもしれませんが、実は、これは非常に一貫したキャリアパスです。私のテーマは、『新規事業をゼロからイチへと立ち上げる専門家になること』でした。)
“At Company A, I learned the fundamentals of market research and product planning. Then, I moved to Company B, a fast-paced startup, to gain hands-on experience in launching a product and acquiring the first 100 customers. Each move was a deliberate step to acquire a specific, critical skill for new business development.”
(A社では、市場調査と商品企画の基礎を学びました。次に、より実践的な立ち上げと、最初の顧客100人を獲得する経験を積むため、スピード感のあるスタートアップであるB社に移りました。それぞれの転職は、新規事業開発に不可欠な、特定のスキルを習得するための意図的なステップでした。)
“Now, having built this comprehensive skill set, I am confident that I can contribute significantly to the launch of your new [〇〇] business.”
(そして今、この包括的なスキルセットを身につけたことで、私は貴社の新しい〇〇事業の立ち上げに、大きく貢献できると確信しております。)
職務経歴書(Resume)で「計画性」をアピールする工夫
書類選考の段階で、採用担当者に懸念を抱かせないためには、職務経歴書の冒頭にある**「職務要約(Professional Summary)」**を最大限に活用しましょう。
ここで、あなたのキャリアの「一貫したテーマ」を先に提示してしまうのです。
**(例)**A results-driven professional with 5 years of experience in new business development across the IT and manufacturing industries, specializing in 0-to-1 product launches.
この一文があるだけで、採用担当者は、あなたのその後の職歴を「計画的なステップ」として、ポジティブな視点で読んでくれるようになります。
転職回数は、あなたの「成長の証」
「転職を繰り返す」という経歴は、あなたが語る物語がなければ、単なる「安定しない人」という印象を与えてしまうかもしれません。
しかし、そこにあなた自身の言葉で、一貫した「軸」と「目的」という魂を吹き込むことができれば、それは、あなたが現状に甘んじることなく、常に成長を求めて挑戦を続けてきた、何よりの「証」となります。
自信を持って、あなただけの素晴らしいキャリアストーリーを語ってください。