転職の英語スピーキングテスト対策ガイド|主要テストの種類と、スコアアップの秘訣
書類選考を通過し、Webテストもクリア。しかし、採用担当者から次に告げられたのは、「英語のスピーキングテスト」──。
「TOEIC® L&Rのスコアには、まあまあ自信があるけれど…」
「急に話せと言われても、うまく言葉が出てこないかもしれない…」
多くの転職者が、この「スピーキングテスト」という関門を前に、大きな不安を感じます。ペーパーテストとは異なり、その場で、自分の口から、英語をアウトプットする能力が問われるからです。
でも、ご安心ください。スピーキングテストにも、明確な「評価のポイント」と「攻略法」が存在します。
この記事では、転職活動でよく使われるスピーキングテストの種類から、スコアを劇的に上げるための具体的なトレーニング方法、そして本番で実力を100%発揮するための心構えまで、あなたの不安を自信に変えるための完全ガイドをお届けします。
なぜ、転職で「スピーキングテスト」が重視されるのか?
対策を始める前に、まず企業がなぜスピーキングテストを課すのか、その意図を理解しておきましょう。
- TOEIC® L&Rだけでは測れない「アウトプット能力」の確認企業が知りたいのは、あなたが英語を「知っている」ことではなく、実際に「使える」かどうかです。会議で自分の意見を述べたり、電話で問い合わせに答えたりといった、実践的なコミュニケーション能力を見ています。
- 会議、プレゼン、交渉…リアルなビジネスシーンの想定スピーキングテストは、いわばビジネスシーンの「シミュレーション」です。プレッシャーのかかる状況でも、落ち着いて、論理的に自分の考えを伝えられるかどうかを評価しています。
- グローバルチームで円滑に協業できるかの判断材料多国籍なチームで働く上で、円滑な人間関係を築き、プロジェクトを前に進めるための、基本的な対話能力があるかどうかの判断材料としています。
どんなテストがある?転職でよく使われるスピーキングテストの種類
企業が中途採用で用いるスピーキングテストは、主に以下のようなものがあります。
① VERSANT®:AIが評価する、ビジネスでの実践力
AIがあなたの英語を自動で採点する、コンピュータベースのテストです。短い質問に対し、瞬時に答える形式が多く、**「流暢さ」「発音」「語彙」「文章構成」**といった、総合的なスピーキング能力が、非常に客観的に評価されます。考える時間がほとんどないため、英語の瞬発力が試されます。
② TOEIC® Speaking & Writing Tests:ビジネスシーンに特化
その名の通り、TOEIC®のスピーキング版です。提示されたEメールの内容について話したり、問題解決のための提案をしたりと、リアルなビジネスシーンを想定した問題が多いのが特徴です。
③ IELTS™ / TOEFL iBT®:総合力とアカデミックな表現力
海外の大学への留学などで使われる、世界基準のテストです。スピーキングセクションでは、身近なトピックに関する会話から、社会問題に対する意見表明まで、幅広いテーマについて、論理的で、一貫性のあるスピーチを構成する能力が求められます。
④ 採用担当者・ネイティブとの英会話チェック
最もシンプルですが、最も緊張するかもしれないのが、採用担当者やネイティブスピーカーとの、1対1での会話チェックです。台本のない、リアルな対話能力が見られます。
スコアを劇的に上げる!スピーキングテストの分野別・必勝トレーニング
スピーキング能力は、以下の4つの要素に分解できます。それぞれを意識してトレーニングすることで、あなたのスピーチは格段にレベルアップします。
① 発音(Pronunciation):伝わることが最優先
ネイティブのような完璧な発音を目指す必要はありません。大切なのは、一つひとつの音を、クリアに、はっきりと発音し、相手にストレスなく聞き取ってもらえることです。自分の声を録音して聞いてみたり、お手本の音声を真似て繰り返す「シャドーイング」という練習が非常に効果的です。
② 流暢さ(Fluency):沈黙をなくし、よどみなく話す
言葉に詰まって、長い間黙ってしまうのは、最も避けたいことです。難しい言葉を使おうとせず、自分が知っている簡単な単語と文法で、まずは文章を最後まで言い切ることを意識しましょう。どうしても言葉に詰まったら、"Well..."
"Let me see..."
"That's an interesting question."
といった「つなぎ言葉(フィラー)」を使うことで、沈黙を防ぎ、考える時間を稼ぐことができます。
③ 語彙と文法(Vocabulary & Grammar):瞬時に引き出す瞬発力
たくさんの難しい単語や文法を知っていることよりも、基本的な単語や文法を、いかに間違えずに、そして瞬時に引き出せるかが重要です。頭で考えるだけでなく、瞬間英作文のようなトレーニングで、口からスムーズに出てくる回路を作りましょう。
④ 論理構成(Structure):意見を分かりやすく伝える型
特に「あなたの意見を述べてください」という形式の問題では、話の「型」を知っているかどうかが、大きな差を生みます。PREP法という、以下のフレームワークを覚えておきましょう。
- P (Point): まずは、結論を言う。「私は、〇〇だと考えます」
- R (Reason): 次に、その理由を述べる。「なぜなら、△△だからです」
- E (Example): そして、具体例を挙げる。「例えば、□□ということがありました」
- P (Point): 最後に、もう一度、結論を繰り返す。「したがって、私は〇〇だと考えます」
この型に沿って話すだけで、あなたの意見は驚くほど、論理的で分かりやすくなります。
本番で実力を発揮するための心構え
- 完璧を目指さない。ミスを恐れないスピーキングテストは、あなたの英語力を測る「テスト」であると同時に、あなたのコミュニケーションへの「姿勢」を見る場でもあります。多少の間違いは気にせず、堂々と、自信を持って話す姿勢が、何よりも好印象を与えます。
- 質問が聞き取れなければ、聞き返す分かったふりをして、的外れな回答をするのが一番の悪手です。もし質問が聞き取れなければ、”Sorry, could you repeat that, please?”(すみません、もう一度言っていただけますか?)と、遠慮なく、そして丁寧に聞き返しましょう。
- 日頃から「独り言」で練習する目に見えるものを英語で説明してみたり、ニュースについて英語で意見を言ってみたり。日頃から、英語を「独り言」として口に出す習慣をつけるだけで、あなたの口は、驚くほど英語に慣れていきます。
スピーキングテストは「対話」のシミュレーション。自信を持って臨もう
転職活動における英語のスピーキングテストは、あなたを落とすためのものではありません。それは、あなたがグローバルなビジネス環境で、円滑に「対話」ができるかどうかを確認するための、シミュレーションです。
大切なのは、完璧な英語ではなく、伝えようとする前向きな姿勢と、そのための戦略的な準備です。この記事を参考に、自信を持ってテストに臨み、あなたのキャリアの可能性を、世界へと広げてください。