楽天への転職、英語力はどれくらい必要?「社内公用語」のリアルと突破の秘訣
「社内公用語は、英語」——。
この先進的かつ大胆な方針で、日本のビジネスシーンに大きなインパクトを与えた楽天グループ。Eコマースからフィンテック、モバイルまで、世界中でサービスを展開するグローバルIT企業へと変貌を遂げた同社は、多くのビジネスパーソンにとって、非常に魅力的なキャリアの選択肢です。
しかし、その門を叩く上で、誰もが気になるのが「英語力」の壁。「一体、どれくらいの英語レベルが求められるのか?」「TOEICは何点あればいいのか?」といった疑問は、転職を考える上で避けては通れません。
この記事では、巷の噂だけでなく、楽天への転職で実際に求められる英語レベルのリアル、社内での使われ方、そして選考を突破するために本当に重要なポイントまでを、徹底的に解説していきます。
なぜ楽天は「英語公用語化」に踏み切ったのか?その背景
楽天が「Englishnization(イングリッシュナイゼーション)」と名付けた英語公用語化プロジェクトを推し進めるのには、明確な経営戦略があります。
世界で戦うための「共通言語」
楽天は、もはや日本のEC企業ではありません。世界30の国と地域で70以上のサービスを展開し、世界中から優秀な人材を集めるグローバル・イノベーションカンパニーです。多様な国籍の社員が、言語の壁なく、シームレスに連携し、最高のパフォーマンスを発揮するための「共通言語」として、英語が不可欠だったのです。
イノベーションのスピードアップ
世界のIT業界における最新技術やビジネスモデルに関する情報は、そのほとんどが英語で発信されます。社員全員が、翻訳を待つことなく、世界の一次情報に直接アクセスできる環境を整えることで、ビジネスやイノベーションのスピードを格段に向上させる狙いがあります。
真のダイバーシティの実現
多様なバックグラウンドを持つ社員が、対等な立場で意見を交わし、互いの知見を最大限に活かすこと。それを実現するために、特定の言語が有利・不利にならない、公平なコミュニケーション基盤としての英語が求められているのです。
【TOEIC何点?】楽天への転職で求められる英語レベルの現実
では、具体的な英語力の指標はどのようになっているのでしょうか。
応募の必須条件「TOEIC 800点」
まず、最も重要な事実として、楽天グループのキャリア採用では、原則として応募時にTOEIC® L&Rテストで800点以上を取得していることが必須条件となっています。これが、楽天への転職における最初のハードルであり、具体的な目標設定の基準となります。
スコアは「スタートライン」に過ぎない
TOEIC 800点というスコアは、あくまで「英語での業務を遂行する上で、最低限必要な基礎能力がある」ことの証明に過ぎません。楽天が本当に見ているのは、スコアの数字以上に、実際のビジネスシーンで使える、実践的なコミュニケーション能力です。
職種によるレベル感の違いは?
- エンジニア職: 世界中にいるエンジニアと、技術的な仕様について深く議論したり、膨大な英文ドキュメントを正確に読解・作成したりする能力が求められます。
- ビジネス・企画職: グローバルな戦略会議で、自分の意見を論理的に主張したり、海外拠点に向けて説得力のあるプレゼンテーションを行ったりする、高度なスピーキング・ライティング能力が求められます。
結論として、どの職種であっても、入社後は英語を使って業務を遂行することになるため、職種によるレベルの差はあれど、高いレベルの英語力が求められることに変わりはありません。
楽天のリアルな英語環境:会議、メール、そして「EIZ」
「社内では本当に英語しか話してはいけないの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。リアルな英語環境を見てみましょう。
- 会議や公式資料: 全社的な会議や、多国籍のメンバーが参加する会議、そして公式なプレゼンテーション資料は、原則としてすべて英語です。
- メールやチャット: 海外拠点とのやり取りはもちろん、CCに外国籍の社員が入ることも日常的なため、テキストコミュニケーションも英語が基本となります。
- 柔軟な運用: 一方で、日本人同士の1対1の打ち合わせや、日常的な会話では、日本語が使われることも多くあります。目的や相手に応じて言語を使い分ける、柔軟な運用がなされているのが実態です。
- 学習サポート: 楽天には「EIZ(English-Ization)」という、社員の英語学習をサポートする専門部署が存在します。入社後も継続的に英語力を向上させるための、オンライン英会話や学習プログラムが提供されています。
TOEIC800点未満でも可能性は?選考突破のための戦略
原則としてTOEIC 800点が必須条件ですが、可能性はゼロではありません。
- 高度な専門スキルを持つ場合: 特定の分野で、市場価値が極めて高い専門スキルや実績を持つ人材の場合、スコアが未達でも、他の要素を鑑みて選考に進めるケースは存在します。
- 入社後のスコア取得が条件となる場合: ポジションによっては、入社後の一定期間内に800点を取得することを条件として、採用されるケースもあります。
いずれの場合も、スコアが足りていない現状を正直に伝えた上で、それを補うための具体的な学習計画と、一日も早くキャッチアップする強い意欲を面接で示すことが不可欠です。
英語力だけでは内定は出ない!楽天が求める「楽天主義」
仮にあなたがTOEIC 990点を持っていても、それだけでは楽天の内定を得ることはできません。同社が英語力と同じくらい、あるいはそれ以上に重視しているのが、企業理念である**「楽天主義」**への深い共感と実践です。
「楽天主義」は、楽天グループの価値観や行動規範を体系化したもので、特に「成功のコンセプト」として以下の5つが掲げられています。
- 常に改善、常に前進
- プロフェッショナリズムの徹底
- 仮説→実行→検証→仕組化
- 顧客満足の最大化
- スピード!! スピード!! スピード!!
面接では、あなたのこれまでの経験が、いかにこの「楽天主義」と合致しているかを、具体的なエピソードを交えて語ることが求められます。英語力はあくまでビジネスを推進するためのツールであり、そのツールを使って「楽天主義」を体現できるプロフェッショナルこそが、楽天が求める人材なのです。
まとめ
楽天への転職において、「TOEIC 800点以上」という英語力は、グローバルなビジネスの舞台に上がるための**「必須のチケット」**です。まずはこの基準をクリアすることが、全てのスタートラインとなります。
しかし、本当の勝負はその先にあります。楽天が真に求めているのは、その英語というツールを自在に使いこなし、「楽天主義」を心から信じ、体現しながら、世界中の仲間と共に主体的に価値を創造していけるプロフェッショナルです。
明確な基準をクリアし、楽天のカルチャーに強く共感するのであれば、そこには間違いなく、他では得られない刺激的で、成長に満ちたキャリアが待っているでしょう。