【転職と英語力のリアル】TOEICスコア別・職種別に求められるレベルを徹底解説
「グローバル化が進む現代、転職市場で『英語力』が重要視されるのはもはや常識です。しかし、『どのくらいのレベルがあれば、本当に武器になるの?』と、その具体的な物差しが分からず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか」
この記事では、そんなあなたの疑問に答えるため、転職で求められる英語レベルのリアルな実態を、TOEIC®スコアや職種別に徹底解説します。ご自身の現在地を把握し、未来のキャリアを描くための、具体的な指針を見つけてください。
まずは共通の「物差し」を知ろう!TOEIC®スコアで見る英語レベルの評価
日本の転職市場において、英語力を測る最も一般的な指標がTOEIC® L&Rテストのスコアです。企業が各スコア帯をどのように評価するのか、その一般的な目安を知ることから始めましょう。
~595点:ポテンシャル評価レベル
このスコア帯では、英語を直接使う業務を任せるのは難しいと判断されることがほとんどです。しかし、応募する職種への強い熱意と共に、「現在、英語を学習中です」という意欲を示すことで、ポテンシャルとして評価してくれる企業もゼロではありません。
600点~725点:英語を使う仕事への「入場券」レベル
履歴書に書くことで、「英語への抵抗感がない」「基礎的な英語力がある」ことの証明となり、応募できる求人の幅が広がり始めます。このレベルでは、海外からのメールを読解したり、定型的なフォーマットを使って返信したり、英文のマニュアルを読んだりといった、比較的受け身な業務を任されることが多いでしょう。
730点~855点:「ビジネスで英語が使える」実践レベル
多くの企業が「英語を武器にできる人材」として、明確に評価し始めるのがこのレベルです。海外の取引先とメールや電話で交渉したり、英語の会議に参加して意見を述べたりと、主体的に英語を使って業務を遂行する能力が期待されます。キャリアの選択肢が大きく広がり、年収アップも現実的になります。
860点以上:高度な英語力が求められる「プロフェッショナル」レベル
外資系企業や、企業のグローバル戦略を担うような専門性の高い職種で、非常に高く評価されるレベルです。海外出張や海外駐在の候補として名前が挙がることも。ネイティブスピーカーとも対等に渡り合い、複雑なビジネスの議論をリードしていくことが期待されます。
「日常会話レベル」と「ビジネスレベル」の決定的な違いとは?
よく使われる言葉ですが、この2つのレベルには天と地ほどの差があります。
- 日常会話レベル: 趣味や旅行といった身近な話題について、簡単なやり取りができるレベルです。ビジネスの場では、海外からの電話の取次ぎや、来客時の簡単な挨拶・案内などができる程度と見なされます。
- ビジネスレベル: 自身の専門分野について、相手の意見やその背景にあるニュアンスを正確に理解し、自分の考えを論理的に、かつ説得力を持って主張・交渉できるレベルを指します。会議での議論、プレゼンテーション、英文契約書の読解・作成などが含まれます。
転職市場で企業が求めているのは、言うまでもなく後者の「ビジネスレベル」の英語力です。
【職種別】求められる英語レベルの具体的な目安
次に、具体的な職種ごとに、求められる英語レベルの目安を見ていきましょう。
貿易事務・国際物流
- 求められるレベル: TOEIC® 650点~
- 業務内容: 輸出入に関する定型的な英文メールのやり取りや、船積書類(B/L、インボイスなど)の読解が中心です。正確な「読み書き」の能力が特に重視されます。
ITエンジニア
- 求められるレベル: TOEIC® 700点~
- 業務内容: 最新技術に関する英文の技術ドキュメントの読解は必須です。また、海外のエンジニアとチャットやメールで技術的な仕様について議論する機会も多くあります。
海外営業・マーケティング
- 求められるレベル: TOEIC® 800点~
- 業務内容: 海外の顧客とオンラインや対面で商談・交渉を行ったり、現地の市場に合わせたマーケティング戦略について英語でプレゼンテーションを行ったりします。高いスピーキング能力と異文化理解力が求められます。
外資系企業の管理部門(人事・経理など)
- 求められるレベル: TOEIC® 800点~
- 業務内容: 本国オフィスへのレポーティングや、グローバルで統一された社内規定の理解と運用など、正確なビジネス英語での読み書き能力が必須となります。
研究開発職 (R&D)
- 求められるレベル: TOEIC® 850点~
- 業務内容: 海外で発表される最新の学術論文の読解や、国際学会での研究発表、海外の研究機関との共同研究など、高度なアカデミック英語を使いこなす能力が求められます。
自分の英語レベルを効果的にアピールする方法
自身の英語力を、採用担当者に正しく、そして魅力的に伝えるためのコツをご紹介します。
履歴書・職務経歴書でのアピール
TOEIC®のスコアは、取得年月日と共に必ず記載しましょう。直近のスコアであるほど、現在の実力を示せます。
そして、スコアの数字だけでなく、**「その英語力を使って、これまでに何をしてきたか」**という具体的なエピソードを職務経歴書に盛り込むことが非常に重要です。
【アピール例】
- 「海外サプライヤーとの納期交渉を英文メールで行い、従来よりも平均3日間の納期短縮を実現しました」
- 「海外の技術カンファレンスの内容を英語で聴講し、要点をまとめて日本語でチームに共有することで、新製品開発のヒントに繋げました」
面接でのアピール
面接で「あなたの英語レベルはどのくらいですか?」と聞かれた際、「My English is business level.」とだけ答えるのは不十分です。
「日常的なメールのやり取りや、海外拠点とのテレビ会議での進捗報告は問題なく行えます」「特に、自身の専門分野である〇〇に関する内容であれば、英語で深く議論することに自信があります」のように、**具体的に「何ができるか」**を伝えましょう。
もし、求められるレベルに少し足りていないと感じる場合でも、「現在、ビジネス交渉のスキルを上げるため、オンライン英会話を毎日受講しています」のように、具体的な学習計画と意欲を伝えることで、ポテンシャルを高く評価してもらえます。
まとめ
転職における英語レベルとは、単なるテストのスコアではありません。それは、**「あなたが、その英語力を使って、ビジネスの現場でどのような価値を生み出せるか」**を示すための指標です。
まずは、ご自身のキャリアプランを明確にし、目標とする職種や業界で求められる英語レベルを正しく把握すること。そして、そこに向かって戦略的にスキルを磨き、自信を持ってアピールすること。それが、英語力を武器に、理想のキャリアを実現するための、最も確かな道筋となるでしょう。