「簿記×英語」で拓く、会計プロフェッショナルの転職|仕事内容・求められるレベル・年収を解説
「経理や会計の専門性を、もっと広いフィールドで活かしたい」
「グローバルな舞台で活躍できる、市場価値の高い人材になりたい」
そう考えるあなたにとって、「簿記」と「英語」という2つのスキルは、キャリアを飛躍させるための、まさに最強の組み合わせです。どちらか一方だけを持つ人材は数多くいても、この2つを高いレベルで兼ね備えた人材は、転職市場において極めて希少な存在となります。
この記事では、「簿記×英語」というスキルセットがいかに強力な武器となるのか、その理由から、具体的な仕事内容、求められるレベル、そして理想のキャリアを実現するための転職戦略までを、徹底的に解説していきます。
なぜ今、「簿記×英語」のスキルセットが転職市場で引く手あまたなのか?
この組み合わせが絶大な価値を持つ背景には、現代のビジネス環境における、シンプルかつ本質的な理由があります。
1. ビジネスにおける「2つの共通言語」を操れる強み
しばしば、「会計はビジネスの言語である」と言われます。企業の経済活動を数字で正確に表現し、その健康状態を把握するための、世界共通のルールです。そして、「英語」は、言わずと知れたグローバルビジネスの共通言語です。
この2つの言語を自在に操れるということは、国境を越えた企業の経営状況を正確に読み解き、それを多様なステークホルダーに伝えることができる、極めて希少な能力を持っていることを意味します。
2. グローバル企業の日本進出と、日本企業の海外展開
外資系企業が日本でビジネスを行う際、本国の親会社へ日本の業績を報告(レポーティング)する業務は不可欠です。逆に、日系企業が海外展開を進める上では、海外子会社の業績を正確に管理し、連結決算に組み込む必要があります。どちらのケースにおいても、「簿記×英語」のスキルを持つ人材は、そのハブとなる重要な役割を担うのです。
3. 明確な年収アップへの道
高い専門性と希少性から、「簿記×英語」のスキルが求められるポジションは、国内のみで完結する経理・会計職に比べて、給与水準が高い傾向にあります。スキルを磨き、キャリアを積むことで、年収1000万円以上を目指すことも、決して夢物語ではありません。
【スキルレベル別】求められる「簿記」と「英語」の基準
では、具体的にどの程度のレベルが求められるのでしょうか。それぞれのスキルについて見ていきましょう。
求められる「簿記・会計」スキル
- 日商簿記2級: 転職市場における最低限のスタートラインです。まずはこの資格を取得することが、キャリアの第一歩となります。
- 日商簿記1級: 連結決算や税効果会計、原価計算など、大企業の経理で求められる高度な会計知識を持つことの証明です。英語力と組み合わせることで、応募できるポジションの幅と質が格段に上がります。
- BATIC (国際会計検定): 英文での会計知識とスキルを直接証明できる資格です。英文での財務諸表作成能力などが問われるため、特に外資系企業へのアピールに非常に有効です。
- USCPA (米国公認会計士): まさに国際的な会計プロフェッショナルの最高峰資格。米国の会計基準(US-GAAP)やビジネス法規に精通している証であり、これがあれば世界中の企業で活躍できる道が拓けます。
求められる「英語」スキル
- TOEIC® 730点〜: まずは目指したい基準です。英文メールでのやり取りや、簡単な会計資料の読解が可能と見なされ、応募の選択肢が広がります。
- TOEIC® 860点〜: 海外拠点との電話会議や、本国へのレポーティングなど、より高度で主体的なコミュニケーションが求められるポジションでは、このレベルが必須となることが多いです。
- 重要なのは実践力: スコア以上に、英文の財務諸表を正確に読み解く力や、会計基準に関する議論ができる専門的な会話力が重視されます。
「簿記×英語」が活きる仕事とキャリアパス
この2つのスキルを活かせる、代表的なキャリアの舞台をご紹介します。
① 外資系企業の経理・財務 (Finance & Accounting)
- 仕事内容: 日々の仕訳や月次・年次決算といった業務に加え、US-GAAPやIFRSといった国際会計基準に基づき、**本国の親会社へ英語で業績を報告(レポーティング)**することがメイン業務となります。
- キャリアパス: アカウンタント → シニアアカウンタント → ファイナンスマネージャー/FP&A(経営企画)/コントローラー
② 日系グローバル企業の連結決算・海外子会社管理
- 仕事内容: 海外に持つ子会社の業績を取りまとめ、グループ全体の連結財務諸表を作成します。現地の経理担当者とのコミュニケーション(英語)や、現地法人への赴任(海外駐在)のチャンスも豊富にあります。
- キャリアパス: 経理スタッフ → 連結決算担当リーダー → 海外駐在 → 経理部長/CFO候補
③ 会計事務所・監査法人
- 仕事内容: 外資系企業をクライアントとして、会計記帳代行や税務申告サービスを提供したり、国際基準に基づいた会計監査を行ったりします。
- キャリアパス: スタッフ → シニアスタッフ → マネージャー → パートナー
未経験から「簿記×英語」キャリアへの挑戦
未経験からこの分野に挑戦することも、正しいステップを踏めば可能です。
- パターン1:簿記経験あり × 英語はこれから最も現実的なルートです。現在の経理・会計の経験を土台に、TOEIC®のスコアアップやオンライン英会話などで英語力を強化しましょう。まずは日系グローバル企業の、英語の使用頻度が比較的マイルドな部署から挑戦するのがお勧めです。
- パターン2:英語力あり × 簿記はこれからまず、日商簿記2級の資格取得は必須と考えましょう。その上で、派遣やアシスタント職など、ポテンシャルを評価してくれるポジションからスタートし、実務経験を積みながら、より専門性を高めていくキャリアプランを描きます。
まとめ
「簿記」という、ビジネスの根幹を支える専門性の幹。そこに、「英語」という、世界中に枝葉を伸ばすためのグローバルな養分。この2つを掛け合わせることで、あなたのキャリアツリーは、より高く、より広く、そして盤石なものへと成長していきます。
AIの進化が著しい現代においても、国際的な会計基準を理解し、多様な文化を持つ人々とコミュニケーションを取りながら、企業の経営を支えることができる人材の価値は、決して揺らぐことはありません。
この記事をきっかけに、会計のプロフェッショナルとしての、新たなキャリアの扉を開いてみてはいかがでしょうか。