営業企画への転職を成功させる!仕事内容・必要スキル・キャリアパスを徹底解説
「営業としての現場経験を活かして、もっと大きな視点から売上向上に貢献したい」「自分の戦略でチーム全体を動かし、成果を最大化させる仕事に挑戦したい」…。
ビジネスの最前線で活躍してきた営業職の方が、次なるキャリアステップとして「営業企画」という仕事に魅力を感じるのは、ごく自然な流れです。営業企画は、まさに「営業の頭脳」とも言えるポジションであり、個人のスキルだけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させるという大きなやりがいのある仕事です。
しかし、その一方で、「具体的にどんな仕事をするのだろう?」「今の自分のスキルで通用するのか?」「営業からのキャリアチェンジは可能なのか?」といった疑問や不安を抱く方も少なくないでしょう。
この記事では、営業職から営業企画への転職を目指す方が、その仕事内容や魅力を深く理解し、自身の経験を最大限に活かして転職を成功させるための具体的な戦略やポイントを詳しく解説します。あなたの新たなキャリアへの挑戦を力強くサポートします。
営業企画とは?「営業の頭脳」の役割と仕事の魅力
まず、営業企画がどのような役割を担い、なぜ多くの営業経験者にとって魅力的なキャリアパスとなり得るのか、その本質に迫ります。
営業企画のミッション
営業企画の最大のミッションは、営業部門全体のパフォーマンスを最大化し、企業が掲げる売上目標を達成するための戦略を立案し、その実行を支援することです。個々の営業担当者が日々の活動に集中し、より効率的かつ効果的に成果を上げられるよう、あらゆる側面からサポートする司令塔であり、参謀役のような存在と言えます。
営業職との主な違い
直接顧客と向き合い、商談を進める**「実行部隊」である営業職に対し、営業企画は「司令塔・参謀役」**として、よりマクロな視点から活動します。
営業職 | 営業企画職 | |
主な役割 | 個々の顧客へのアプローチ、提案、クロージング | 営業部門全体の戦略立案、仕組み作り、活動支援 |
視点 | ミクロ(個別の顧客、案件) | マクロ(市場全体、営業組織全体) |
主な業務 | 顧客訪問、商談、日報作成 | 市場分析、データ分析、戦略策定、ツール導入、研修企画 |
成果指標 | 個人の売上、契約件数 | チーム・部門全体の売上、営業効率、KPI達成率 |
営業企画として働く魅力とやりがい
- ビジネス全体を俯瞰できる視点: 日々の営業活動だけでなく、市場の動向、競合の戦略、自社の経営方針といった、より大きな視点からビジネスを捉える力が身につきます。経営層に近い立場で、事業戦略の策定に関われる機会も少なくありません。
- 自分の戦略が成果に繋がる達成感: 自分の分析や企画が基になって、営業チーム全体の売上が向上したり、営業効率が改善されたりした時には、個人の目標達成とは異なる、組織を動かしたという大きな達成感を味わえます。
- 高度な分析力・企画力が身につく: データ分析、市場調査、戦略立案、プロジェクトマネジメントといった、汎用性が高く市場価値の高い専門スキルを習得・向上させることができます。
- 多様なキャリアパスの可能性: 営業企画で培った戦略的思考力や分析力は、マーケティング部門、事業企画、経営企画といった、企業の根幹を担う他の部署へのキャリアパスにも繋がります。
- 営業組織への貢献実感: 営業担当者がより働きやすい環境や、成果を出しやすい仕組みを整えることで、かつての同僚である営業担当者たちから直接感謝されることも多く、大きなやりがいを感じられます。
営業企画の具体的な仕事内容
営業企画の業務範囲は企業によって異なりますが、一般的に以下のような業務を担います。
1. 営業戦略の立案・策定
企業の売上目標を達成するための、営業活動全体の設計図を描きます。
- 市場分析・競合分析: 3C分析(Customer, Company, Competitor)やSWOT分析といったフレームワークを用い、市場の機会や脅威、競合の動向、自社の強み・弱みを客観的に分析します。
- ターゲット顧客の選定: どの市場の、どのような顧客層にアプローチするのが最も効果的かを定め、ペルソナを設定することもあります。
- 営業目標(KGI/KPI)の設定: 年間・四半期・月間の売上目標(KGI)を達成するために、具体的な行動目標(KPI:重要業績評価指標)、例えば「新規アポイント獲得数」「提案件数」「受注率」などを設定し、管理します。
2. 営業プロセスの設計・改善
営業担当者が効率的に活動できるよう、仕組みやルールを整えます。
- 効率的な営業活動フローの構築: リード(見込み客)獲得から商談、クロージング、アフターフォローまでの一連の流れを標準化し、誰が担当しても一定の質を保てるようにします。
- 営業ツールの導入・活用推進: SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったITツールを導入し、その定着と効果的な活用を推進します。
- 営業マニュアルやトークスクリプトの作成: 新人でもスムーズに営業活動を始められるよう、製品知識や営業ノウハウをまとめた資料を作成します。
3. データ分析と営業実績管理
「勘」や「経験」だけに頼らない、データに基づいた営業活動を推進します。
- 営業実績データの集計・分析: SFA/CRMやExcelなどを用いて、各営業担当者やチームの実績データを集計・分析し、レポートを作成します。
- KPIの進捗管理と課題発見: 設定したKPIの進捗状況を定期的にモニタリングし、「なぜ目標を達成できないのか」「どこにボトルネックがあるのか」といった課題を発見します。
- データに基づいた改善策の提案: 分析結果に基づき、「このエリアへのアプローチを強化すべき」「この商材の提案方法を見直すべき」といった具体的な改善策を立案し、営業チームに提案します。
4. 営業担当者の育成・モチベーション向上施策
営業チーム全体のスキルアップと士気向上を支援します。
- 営業研修の企画・実施: 新人研修、スキルアップ研修、商材勉強会などを企画し、時には自ら講師となって実施します。
- インセンティブ制度や表彰制度の企画・運用: 営業担当者のモチベーションを高めるための、公平で効果的なインセンティブ(報奨金)制度や表彰制度を設計・運用します。
- 営業会議の運営、成功事例の共有: 定期的な営業会議を運営し、トップセールスの成功事例(ナレッジ)をチーム全体で共有する仕組みを作ります。
5. マーケティング部門との連携
営業活動とマーケティング活動を連携させ、相乗効果を生み出します。
- リード(見込み客)獲得のための施策連携: マーケティング部門が獲得したリードを、営業部門が効果的にフォローアップするための仕組みを構築します。
- 販促キャンペーンやイベントの企画: 新製品のローンチや特定のターゲット層へのアプローチのため、マーケティング部門と共同でキャンペーンやセミナー、展示会などを企画します。
営業企画に求められるスキルと経験|営業経験は最強の武器になる
営業企画への転職において、営業経験は決して遠回りではなく、むしろ大きなアドバンテージとなります。
営業経験者だからこそ持つ強み
- 現場感・顧客理解: 営業現場のリアルな課題や、営業担当者が日々どのような困難に直面しているのか、そして顧客が本当に求めているものは何かを、誰よりも深く理解しています。この「現場感」は、机上の空論ではない、実践的で効果的な戦略を立案するための基礎となります。
- コミュニケーション能力・調整力: 営業担当者や他部署のメンバーに新しい戦略やツールを導入してもらうためには、その意図やメリットを分かりやすく伝え、協力を得るための高いコミュニケーション能力や調整力が不可欠です。これは、営業で培ったスキルそのものです。
- 目標達成へのコミットメント: 売上目標という明確なゴールに向かって活動してきた経験は、営業企画として部門全体の目標達成に貢献する上での高い当事者意識に繋がります。
必須となるコアスキル
営業経験に加え、営業企画として活躍するためには以下のようなスキルが求められます。
- データ分析能力: Excel(ピボットテーブル、各種関数、グラフ作成など)を高度に使いこなす能力は必須です。さらに、BIツール(Tableau、Power BIなど)や統計に関する基礎知識があれば、より高度な分析が可能となり、大きな強みとなります。
- 論理的思考力・戦略的思考力: データや市場情報といった客観的な事実に基づき、課題の本質を見抜き、筋道の通った戦略を構築する能力。
- 企画・立案能力: 課題に対して、具体的な解決策や新しい施策をゼロベースで企画し、実現可能なプランに落とし込む力。
- プレゼンテーション能力・資料作成スキル: 自身の分析結果や企画内容を、経営層や営業担当者といった異なる立場の人々に対し、それぞれに分かりやすく、かつ説得力を持って伝えるためのプレゼンテーション能力と、それを支える質の高い資料作成スキル。
- プロジェクト推進力(巻き込み力): 企画した施策を絵に描いた餅で終わらせず、営業担当者や関連部署といった多くの関係者を巻き込みながら、最後まで責任を持って実行に移す力。
あると有利な知識・経験
- SFA/CRMの導入・運用経験: 営業支援・顧客管理ツールの活用経験は、営業プロセスの設計・改善において即戦力として評価されます。
- マーケティングに関する知識: マーケティングの基本的なフレームワークや手法を理解していると、より効果的な営業戦略を立案できます。
- 財務会計の基礎知識: 売上だけでなく、利益やコストといった経営的な視点から物事を考えられることは、営業企画として大きな強みになります。
営業から営業企画への転職を成功させるためのステップ
営業から営業企画というキャリアチェンジを成功させるためには、計画的な準備と戦略的なアプローチが重要です。
STEP1: 「なぜ営業企画なのか?」動機とキャリアプランを明確にする
まず、なぜ営業職から営業企画職へ移りたいのか、その動機を深く掘り下げます。営業経験の中で、「もっと効率的な方法があるのに…」「データを見れば、アプローチ先が分かるのに…」といったように、戦略立案や仕組み作りに興味を持った具体的なエピソードを整理しましょう。そして、営業企画として何を成し遂げたいのか、将来的にどのようなキャリアを築きたいのかを明確にします。
STEP2: 必要なスキルを棚卸しし、不足分を補う
自身のスキルセットを客観的に評価し、営業企画に求められるスキルとのギャップを把握します。特に、データ分析スキル(Excelの上級機能、統計の基礎知識など)や、マーケティングの知識(フレームワークの学習など)は、自主的に学習を進めておくと、転職活動において大きなアピールポイントになります。関連書籍を読んだり、オンライン講座を受講したり、資格取得(例:マーケティング・ビジネス実務検定®、統計検定®など)を目指したりするのも良いでしょう。
STEP3: 営業経験を「戦略的視点」で語れるように準備する
これまでの自身の営業活動を振り返り、「なぜその顧客にアプローチしたのか」「なぜその提案が成功したのか」「どのようなデータを基に判断したのか」といったように、一つ一つの行動の背景にある戦略的な意図や思考プロセスを言語化できるように準備しておきましょう。これが、営業企画としてのポテンシャルを示す上で非常に重要です。
STEP4: 魅力的な応募書類の作成
- 職務経歴書: 単に個人の営業実績(売上額、達成率など)を羅列するだけでなく、市場分析や業務改善、後輩指導など、営業企画に繋がるような経験を具体的に記述します。「〇〇という分析に基づき、△△というアプローチを実施した結果、受注率が□%向上した」といった書き方が効果的です。
- 志望動機: なぜ営業企画に挑戦したいのかという熱意とともに、自身の営業経験を活かして、その企業の営業組織にどのように貢献できるのかを、企業研究に基づいて具体的に、かつ論理的に伝えましょう。
STEP5: 面接対策の徹底
- 「なぜ営業から営業企画へ?」という質問への準備: この最重要質問に対しては、自身の経験に基づいた、前向きで一貫性のあるストーリーを語れるように準備します。
- ケーススタディ形式の質問への備え: 面接では、「当社の営業部門が抱える課題は何だと思いますか?」「もし当社の売上を1.5倍にするなら、どのような戦略を立てますか?」といった、思考力を問うケーススタディ形式の質問が出されることもあります。事前に応募企業の事業内容や課題を分析し、自分なりの仮説を立てておく練習をしておくと良いでしょう。フレームワーク(3C分析、SWOT分析など)を用いた思考練習も有効です。
営業企画の求人の探し方と企業選びのポイント
自分に合った営業企画の求人を見つけるためには、効果的な探し方と慎重な企業選びが不可欠です。
求人の探し方
- 転職サイト・転職エージェント: 「営業企画」「セールスプランニング」「セールスオペレーション(Sales Ops)」といったキーワードで検索します。営業職に強いエージェントや、IT業界など特定の業界に強いエージェントは、関連する営業企画の求人も多く保有している場合があります。
- 社内公募制度: もし現職に営業企画部門があれば、まずは社内でのキャリアチェンジを目指すのが最もスムーズな方法の一つです。日頃から情報収集し、アピールできる実績を準備しておきましょう。
企業選びのポイント
- 営業企画部門の役割と裁量権: 企業によって、営業企画の役割は大きく異なります。データ分析やレポーティングが中心のところもあれば、戦略立案から実行まで大きな裁量権を持つところもあります。自分がどのような役割を担いたいのかを明確にし、求人情報や面接で具体的な業務内容をしっかりと確認しましょう。
- データ活用の文化: データに基づいた意思決定が組織全体で奨励されているか、必要なツールやデータへのアクセス環境が整っているかどうかも重要なポイントです。
- キャリアパス: 営業企画としての専門性を高められるか、将来的にマーケティングや事業企画といった他部署への道も拓ける可能性があるかなど、入社後のキャリアパスを確認しておきましょう。
- 企業の成長フェーズ: 成長期のベンチャー企業では、ゼロから仕組みを構築する経験ができ、裁量も大きい傾向があります。一方、成熟期の大企業では、既存のプロセスを改善し、効率化を図る業務が中心となることが多いです。
営業企画のキャリアパスと将来性
営業企画としてキャリアをスタートさせた後、どのような未来が描けるのでしょうか。その可能性は非常に豊かです。
- 営業企画としての専門性を極める: データ分析のスペシャリスト、SFA/CRM運用のプロ、セールスイネーブルメント(営業組織の強化・育成)の専門家など、特定の領域で専門性を高めていく道。
- マネジメント職への昇進: 営業企画チームのリーダー、マネージャーへとステップアップし、より大きな視点で組織を動かす。
- 他部署へのキャリアチェンジ:
- マーケティング部門: 営業戦略と密接に関わるマーケティング部門で、より幅広い戦略立案に携わる。
- 事業企画・経営企画部門: 営業企画で培った全社的な視点や分析力を活かし、より上流の事業戦略や経営戦略の策定に関わる。
- 将来性: DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータドリブン経営の重要性がますます高まる中、営業組織のパフォーマンスをデータと戦略で最大化させる営業企画の役割は、今後も非常に重要視され、需要は拡大していくと予想されます。
まとめ
営業職から営業企画への転職は、これまでの現場経験を活かし、より戦略的な視点からビジネスに貢献できる、非常に魅力的でやりがいのあるキャリアチェンジです。「営業の最前線を知っている」というあなたの経験は、他の誰にも代えがたい強力な武器となります。
大切なのは、その現場感を持ちつつも、データに基づいた論理的思考力や企画力といった、営業企画に求められる新たなスキルを積極的に学び、習得していく意欲です。十分な準備と、自身の強みを最大限にアピールする戦略を持って臨めば、未経験からの挑戦であっても、必ず道は開けます。
この記事が、あなたの新たなキャリアへの扉を開くきっかけとなることを心から願っています。