転職エージェントから営業求人ばかり?理由と対処法、希望職種への道
「転職エージェントに登録したけれど、紹介されるのは営業の求人ばかり…」「営業以外の仕事を探しているのに、なかなか希望の職種に出会えない」
転職活動において、キャリアアドバイザーのサポートを受けられる転職エージェントは心強い存在です。しかし、期待していたにも関わらず、営業職の求人を中心に紹介され、戸惑いや不満を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
なぜ、転職エージェントは営業職の求人を多く紹介する傾向があるのでしょうか。そして、その状況の中で、本当に自分が希望する「営業以外の仕事」や、より自分に合ったキャリアを見つけるためには、どうすれば良いのでしょうか。
この記事では、転職エージェントから営業求人ばかり紹介される背景にある理由を解説するとともに、希望の職種に出会うための具体的な対処法、エージェントの選び方、そして上手な付き合い方まで、詳しくご紹介します。あなたの転職活動がよりスムーズに、そして納得のいくものになるための一助となれば幸いです。
なぜ転職エージェントは「営業職の求人」を多く紹介するのか?その背景
まず、なぜ転職エージェントから営業職の求人が多く紹介される傾向にあるのか、その背景にあるいくつかの理由を理解しておきましょう。
- 営業職の求人数の圧倒的な多さ: 企業の成長に不可欠な営業職は、業界や企業規模を問わず常に一定のニーズがあり、転職市場全体で見ても求人数が非常に多い職種です。そのため、エージェントが保有する求人の中でも、営業職の割合が自然と高くなります。
- 企業の高い採用ニーズ: 企業の売上や事業拡大に直結する営業部門は、多くの企業にとって強化したい部門の一つです。そのため、営業職の採用意欲が高い企業が多く、エージェントにも多くの求人が寄せられます。
- 未経験者でも挑戦しやすい求人が比較的多い: 営業職は、ポテンシャルやコミュニケーション能力を重視する「未経験者歓迎」の求人も比較的多く存在します。そのため、キャリアチェンジを希望する求職者や、特定の専門スキルを持たない求職者にも紹介しやすいという側面があります。
- 転職エージェントのビジネスモデルとの関連: 多くの転職エージェントは、企業に人材を紹介し、その人が入社した場合に成功報酬を得るというビジネスモデルです。そのため、採用決定数が多い(=求人数が多く、採用ニーズも高い)営業職は、エージェントにとっても成果に繋がりやすい案件となり得るのです。
- 求職者の経験・スキルとのマッチング判断: これまでの職務経歴や自己PRの内容から、コミュニケーション能力、折衝力、目標達成意欲といったスキルが読み取れる場合、エージェントが「営業職に適性がある」と判断し、優先的に紹介してくるケースもあります。
- エージェント側の担当者の得意分野や保有求人の偏り: 担当するキャリアアドバイザーが、たまたま営業職の案件を多く抱えていたり、営業職の転職支援を得意としていたりする場合も、紹介される求人に偏りが出る可能性があります。
これらの理由が複合的に絡み合い、「営業職の求人ばかり紹介される」という状況が生まれることがあるのです。
「営業求人ばかり…」と感じた時の求職者側の要因と見直しポイント
エージェント側の事情だけでなく、求職者側の伝え方や状況が影響している可能性もあります。一度、以下の点を見直してみましょう。
- 希望条件の伝え方が曖昧になっていませんか? 「営業以外の仕事が良い」と伝えても、具体的にどのような職種、業界、業務内容に興味があるのかが明確でなければ、エージェントも具体的な求人を探し出すのが難しくなります。結果として、汎用性が高く求人数の多い営業職が候補に挙がりやすくなります。
- これまでの経験やスキルが、営業職と親和性が高いと判断されていませんか? 職務経歴書や自己PRで、無意識のうちに営業職に適性があると思われるようなコミュニケーション能力や目標達成意欲などを強調しすぎている場合、エージェントはその強みを活かせる営業職を提案してくるかもしれません。
- 「営業以外なら何でも良い」というスタンスになっていませんか? 明確な希望がない場合、エージェントもどのような求人を紹介すべきか判断に迷います。その結果、最も求人の選択肢が多い営業職をまず提案してくる可能性があります。
- 市場価値と希望する職種・条件にギャップはありませんか? ご自身の現在のスキルや経験、市場価値と、希望する「営業以外の仕事」の求人状況や求められるレベルとの間に大きなギャップがある場合、紹介できる求人が限られてしまい、結果的に営業職の紹介が多くなることも考えられます。
- 担当エージェントとのコミュニケーションは十分に取れていますか? エージェントも人間です。あなたの真の希望や熱意が十分に伝わっていなければ、的外れな求人紹介に繋がってしまうこともあります。
これらの点に心当たりがある場合は、伝え方や自己分析を見直すことで、状況が改善する可能性があります。
希望の職種(営業以外)の求人を紹介してもらうための具体的な対処法
「営業職以外の仕事に就きたい」という強い意志があるならば、諦めずに以下の対処法を試してみましょう。
1. キャリアの棚卸しと希望条件の明確化・具体化
まず、自分自身について深く理解することが重要です。
- これまでの経験・スキルの棚卸し: 営業経験で培ったスキル(コミュニケーション能力、課題解決能力、PCスキルなど)だけでなく、それ以前の職務経験や学んできたこと、得意なこと、苦手なことなどを具体的に洗い出します。
- 「なぜ営業以外の職種を希望するのか」を明確にする: 単に「営業が嫌だから」という理由ではなく、「〇〇という経験を通じて、△△という分野に強い興味を持った」「自分の□□という強みは、△△という職種でより活かせると考えた」など、前向きで具体的な理由を整理します。
- 興味のある職種・業界・業務内容を具体的に伝える: 「マーケティング職に興味があり、特にWebマーケティングの分野でデータ分析や戦略立案に携わりたい」「人事職として、採用業務を通じて企業の成長に貢献したい」「事務職として、社内のサポート業務に専念したい」など、できるだけ具体的に希望を伝えましょう。複数候補を挙げるのも有効です。
- 譲れない条件と妥協できる条件の整理: 職種、業務内容、勤務地、給与、働き方(リモートワークの可否など)について、絶対に譲れない条件と、ある程度妥協できる条件を明確にしておくことで、エージェントも求人を探しやすくなります。
2. 担当エージェントへの具体的な要望伝達
明確になった希望を、担当のキャリアアドバイザーに遠慮なく、かつ具体的に伝えましょう。
- 「営業職以外の求人を探している」とはっきりと意思表示する。
- 興味のある具体的な職種名や業務内容、業界を複数提示する。
- なぜその職種に興味を持ったのか、その職種で何をしたいのか、どのようなキャリアを築きたいのかを、熱意を持って伝える。
- もし営業職を紹介された場合は、「なぜそれが自分の希望と異なるのか」を丁寧に説明し、改めて自分の希望を伝える。 感情的にならず、建設的なコミュニケーションを心がけましょう。
3. 職務経歴書や自己PRの見直し
応募書類の内容も、紹介される求人に影響します。
- 希望する「営業以外の仕事」で活かせるスキルや経験を強調して記述する。 例えば、マーケティング職を目指すなら、営業経験の中で顧客分析や市場調査を行った経験、企画提案の経験などを具体的に記載します。
- 営業経験で培ったポータブルスキル(コミュニケーション能力、課題解決能力、目標達成意欲、PCスキルなど)を、希望職種でどのように活かせるのかを具体的に関連付けてアピールする。
- 自己PRでは、なぜ「営業以外の仕事」に挑戦したいのか、その熱意と適性を明確に記述する。
4. 複数の転職エージェントの利用と比較検討
転職エージェントは1社だけでなく、複数のエージェントに登録し、それぞれの特徴や紹介される求人の傾向を比較検討することをおすすめします。
- 総合型エージェント: 幅広い業界・職種の求人を扱っているため、多様な選択肢に触れることができます。
- 特化型エージェント: 特定の業界(IT、Web、メーカーなど)や職種(バックオフィス、クリエイティブなど)に強みを持っているため、より専門的な求人やアドバイスが期待できます。 自分に合ったエージェントを見つけることが重要です。
5. 担当エージェントの変更依頼または利用エージェントの変更
どうしても担当アドバイザーとの相性が合わない、あるいは希望に合わない求人ばかり紹介される状況が改善しない場合は、遠慮せずに担当者の変更を申し出てみましょう。それでも状況が変わらなければ、利用する転職エージェント自体を見直すことも検討すべきです。
6. 自分でも積極的に求人を探す姿勢を見せる
転職エージェントに頼りきりになるのではなく、自分自身でも転職サイトや企業の採用ホームページなどで積極的に求人情報を探し、興味のある求人があればエージェントに相談してみるという姿勢も大切です。あなたの主体的な行動が、エージェントの求人探しのモチベーションを高めることもあります。
7. 長期的な視点を持ち、キャリアプランを相談する
すぐに希望通りの「営業以外の仕事」の求人が見つからない場合もあります。そのような場合は、焦らずに長期的な視点でキャリアプランを考え、それについてキャリアアドバイザーとじっくりと話し合うことが重要です。段階的なキャリアチェンジ(例:まずは営業事務やカスタマーサポートを経験し、そこから企画職へ、など)も視野に入れると、選択肢が広がるかもしれません。
転職エージェントの選び方|「営業ばかり」を避けるために
「営業職の求人ばかり紹介される」という状況を避けるためには、転職エージェント選びも重要なポイントになります。
- 総合型エージェントと特化型エージェントの特徴を理解する:
- 総合型エージェント: 求人数が非常に多く、幅広い業界・職種の案件を扱っています。そのため、営業職の求人も必然的に多くなりますが、一方で「営業以外の仕事」の選択肢も豊富にあります。まずは多くの可能性を探りたい方に向いています。
- 特化型エージェント: 特定の業界(例:IT・Web業界、メーカー、医療業界など)や職種(例:バックオフィス系、クリエイティブ系、エンジニアなど)に特化しています。もしあなたが「営業以外の仕事」として明確に目指す分野がある場合は、その分野に強い特化型エージェントを利用することで、より専門的な求人や深い知識を持つアドバイザーからのサポートが期待できます。
- キャリアアドバイザーの質と相性を見極める: 担当となるキャリアアドバイザーが、あなたの話を親身に聞き、希望を尊重してくれるか、業界知識や職種知識が豊富か、そして何よりもあなたとの相性が良いかどうかが非常に重要です。初回の面談などで、これらの点を見極めましょう。
- 紹介される求人の質を確認する: 実際に紹介される求人が、あなたの希望やスキル、経験とどの程度マッチしているかを確認します。単に求人数が多いだけでなく、質の高い、あなたに合った求人を紹介してくれるエージェントを選びましょう。
- 過去の支援実績(特にキャリアチェンジ事例)を参考にする: その転職エージェントが、過去に営業職から「営業以外の仕事」へのキャリアチェンジを成功させた実績がどの程度あるのかを確認してみるのも良いでしょう。具体的な事例を尋ねてみるのも一つの方法です。
- 口コミや評判も参考に(ただし鵜呑みにしない): インターネット上の口コミサイトやSNSでの評判も、エージェント選びの一つの参考にはなります。ただし、情報はあくまで個人の感想であり、全ての人に当てはまるわけではないため、鵜呑みにしすぎず、複数の情報源から総合的に判断することが大切です。
もし「営業も悪くないかも」と思ったら?改めて考える営業職の多様性
転職エージェントから営業職の求人を紹介される中で、もし「こういう営業なら興味があるかもしれない」「自分のスキルが活かせそうな営業だ」と感じる求人があれば、一度立ち止まって検討してみるのも良いでしょう。
一口に「営業」と言っても、その業界、扱う商材・サービス、営業スタイル(新規開拓中心か既存顧客中心か、法人向けか個人向けか、外勤か内勤かなど)、企業文化は千差万別です。
- 業界を変える: 以前の業界が合わなかっただけで、成長業界や自分が興味を持てる分野の営業であれば、やりがいを感じられるかもしれません。
- 商材・サービスを変える: 自分が心から良いと思える、自信を持って顧客に勧められる商材やサービスを扱う営業であれば、モチベーションも変わってくるでしょう。
- 営業スタイルを変える: 例えば、新規開拓のプレッシャーが苦手だったなら、既存顧客との関係構築が中心のルート営業や、問い合わせに対応する反響営業、オフィス内で電話やメール、Web会議ツールを使って営業活動を行うインサイドセールスといった選択肢もあります。
- 企業文化を変える: 個人主義で競争の激しい社風が合わなかったなら、チームワークを重視し、協力して目標を達成する文化の企業を選ぶという方法もあります。
エージェントに「どのような営業なら興味を持てるか」「営業のどのような点に課題を感じていたのか」を具体的に伝えることで、より自分に合った営業職の求人を紹介してもらえる可能性もあります。
転職エージェントとの上手な付き合い方|希望を叶えるために
転職エージェントは、あなたの転職活動をサポートしてくれる強力なパートナーです。そのサポートを最大限に引き出し、希望を叶えるためには、良好な関係を築き、上手に付き合っていくことが大切です。
- 正直かつ具体的に希望を伝える: 遠慮せずに、自分の本音の希望(職種、業界、業務内容、働き方、年収など)を、できるだけ具体的に伝えましょう。
- 定期的にコミュニケーションを取り、状況を共有する: 転職活動の進捗状況や、考え方の変化などを定期的にエージェントに伝えることで、よりタイムリーで適切なサポートを受けやすくなります。
- フィードバックを真摯に受け止める(時には厳しい意見も): キャリアアドバイザーは、あなたの市場価値や希望する職種とのマッチングについて、客観的な視点からアドバイスをくれます。時には厳しい意見もあるかもしれませんが、それを真摯に受け止め、自己分析や戦略の見直しに繋げましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: サポートしてくれているエージェントに対して、感謝の気持ちを伝えることは、良好な関係を築く上で大切です。
- エージェントを「パートナー」として捉え、主体的に行動する: エージェントはあくまでサポート役であり、最終的に決断し行動するのはあなた自身です。エージェントに全てを任せきりにするのではなく、主体性を持って転職活動に取り組みましょう。
まとめ
転職エージェントから「営業職の求人ばかり紹介される」と感じる背景には、求人市場の構造やエージェント側の事情など、様々な要因があります。しかし、そこで諦めてしまう必要はありません。
まずは自分自身の希望を明確にし、それを担当のキャリアアドバイザーに具体的かつ熱意を持って伝えることが重要です。そして、複数のエージェントを利用したり、自分でも積極的に情報収集したりと、主体的に行動することで、必ず道は開けてきます。
「営業以外の仕事」へのキャリアチェンジは、あなたの新たな可能性を発見し、より自分らしい働き方を実現するための大きなチャンスです。この記事が、あなたが理想のキャリアを掴むための一助となることを願っています。