転職サイトは営業の求人ばかり?その理由と、営業以外のキャリアを見つける方法
「いざ転職しようとサイトを開いてみたら、営業、営業、営業…どこを見ても営業の求人ばかり」
「自分には、もう営業の仕事しか選択肢がないのだろうか…」
転職活動を始めた多くの人が、一度はそんな風に感じ、ため息をついた経験があるのではないでしょうか。そのように感じるのは、決してあなた一人ではありません。そして何より、それはあなたのキャリアの可能性が狭いからでは、決してないのです。
むしろ、それはあなたの「営業経験」が、多くの企業から求められていることの証でもあります。
この記事では、なぜ転職市場に営業の求人が多いのかというカラクリを解き明かし、あなたの貴重な経験を武器にして、「営業以外の」魅力的なキャリアパスを見つけるための具体的なヒントと戦略を、分かりやすく解説していきます。
なぜ転職市場には「営業の求人」がこれほど多いのか?
うんざりするほど目にする営業求人。しかし、その背景には、ビジネスの根本に関わる、いくつかの明確な理由があります。
理由①:営業は「すべてのビジネスの起点」だから
どんなに素晴らしい製品や画期的なサービスも、それをお客様に届け、価値を伝え、契約に結びつける「営業」がいなければ、一円の売上にもなりません。営業は、企業の成長と存続に不可欠なエンジンであり、事業を拡大したいと考えるほとんどの企業が、常に営業職を必要としているのです。
理由②:「未経験者」でも挑戦しやすい門戸の広さ
営業職は、特定の専門資格や技術スキルよりも、コミュニケーション能力や人柄、ポテンシャルといったヒューマンスキルが重視されることが多い職種です。そのため、他職種に比べて未経験者向けの求人が多く、結果的に全体の求人数が多く見えるという側面もあります。
理由③:一定の離職率があるのも事実
正直に言えば、ノルマの厳しさや顧客との関係構築の難しさから、人の入れ替わりが比較的起こりやすい職種であることも事実です。しかし、これは全ての営業職に当てはまるわけではありません。後述するように、働きやすい環境の営業職も数多く存在します。
「もう営業はこりごり…」あなたの経験を活かせる、営業以外の仕事
「営業の求人が多い理由は分かった。でも、私はもう営業以外の仕事がしたいんだ!」という方へ。ご安心ください。あなたの営業経験は、驚くほど多くの職種で「最強の武器」になります。
① 顧客と深く関わる仕事(「売る」から「支える」へ)
- カスタマーサクセス: 契約後の顧客が、製品やサービスを最大限に活用できるよう支援し、成功体験へ導く仕事です。営業で培った顧客との関係構築力や、課題をヒアリングする力がそのまま活かせます。「売って終わり」ではない、長期的なお付き合いにやりがいを感じる方におすすめです。
- キャリアアドバイザー: 求職者のキャリア相談に乗り、最適な転職先を一緒に探す仕事です。人の話に深く耳を傾けるヒアリング能力や、人生に寄り添う共感力が求められます。
② 営業を裏から支える仕事(「現場」から「戦略」へ)
- マーケティング: 営業として現場で得た「顧客の生の声」や「売れる商品の特徴」といった知見を活かし、市場分析や販売戦略の立案、プロモーション企画などを行います。
- 営業企画: 営業部門全体の目標設定や、効率的な営業手法の導入、営業ツールの選定、新人研修の企画などを通じて、営業組織全体を強くする「司令塔」の役割です。
③ コミュニケーション能力が鍵となる仕事
- 人事(採用担当): 会社の未来を担う人材を見つけ出し、自社の魅力を伝えて入社へと導く仕事は、まさに「社内向けの営業」と言えます。候補者や社内部署との高い調整能力が求められます。
- 広報・PR: メディア関係者と良好な関係を築き、自社の情報を社会に発信していく仕事です。あなたの高いコミュニケーション能力が光ります。
営業以外の職種へ。転職を成功させるための2つのコツ
未経験の職種へ転職するには、あなたの営業経験の「伝え方」に少し工夫が必要です。
コツ①:職務経歴書で「ポータブルスキル」をアピールする
職務経歴書には、「〇〇という商品を、月間△△万円売り上げました」という事実だけでなく、その成果を出すための思考や行動のプロセスを記述しましょう。
(例)「〇〇を販売するにあたり、顧客の△△という潜在的な課題を発見し、その解決策として□□という提案を行うことで、お客様との信頼関係を構築しました。」
このように書くことで、あなたの「課題発見能力」や「関係構築力」といった、どんな職種でも通用するポータントブルスキルを効果的にアピールできます。
コツ②:面接では「なぜその職種なのか」を明確に語る
面接官が最も知りたいのは、「なぜ営業を辞めて、この職種に就きたいのか」という点です。「営業が嫌だったから」というネガティブな動機ではなく、営業経験を経たからこそ、次の職種に魅力を感じたという、前向きなストーリーを語りましょう。
(例)「営業としてお客様と直接対話する中で、個別の課題解決だけでなく、より多くの人々に価値を届けられるマーケティングの仕事に強い関心を持ちました。現場で培った顧客インサイトを活かし、効果的な戦略を立案することで、事業の成長に貢献したいと考えております。」
視点を変える。「営業ばかり」の中から「最高の営業職」を見つける方法
「営業という仕事自体は、実は嫌いじゃない。ただ、今の会社のやり方が合わないだけかもしれない…」
そう感じる方は、全ての営業求人を同じものとして見るのをやめてみましょう。営業職の中にも、「働きやすい」と言われる分野は確実に存在します。
- 扱う商材: ITサービス(SaaS)やコンサルティングなどの無形商材は、提案力が重視され、体力勝負になりにくい傾向があります。
- 営業スタイル: 新規開拓ばかりではなく、既存顧客との関係を深めるルート営業や、内勤が中心のインサイドセールス。
- 企業文化: リモートワークやフレックスタイム制度が整っており、個人の裁量が大きい会社。
「営業ばかり」という状況は、見方を変えれば、あなたに合った「最高の営業職」を見つけられるチャンスでもあるのです。
「営業ばかり」は、あなたの可能性が「たくさんある」証拠
転職サイトに営業の求人が溢れているのは、裏を返せば、それだけ多くの企業が、あなたの持つ営業経験を求めていることの証明です。
営業を続ける道も、新しい職種に挑戦する道も、どちらもあなたの素晴らしい経験を活かすことができます。自分の市場価値を信じ、視野を広く持って、あなたにとって最適なキャリアを見つけ出してください。