【テレビ局だけじゃない】フジ・メディア・ホールディングスの「不動産」事業、その実力と株価への影響
「フジ・メディア・ホールディングス」と聞けば、誰もがフジテレビを思い浮かべ、その事業の中心はテレビ放送だと考えるでしょう。それはもちろん間違いではありません。しかし、投資家としてこの会社を分析する上で、絶対に知っておくべき、もう一つの巨大な顔があります。
それは、「不動産会社」としての顔です。
この記事では、株式投資初心者の方にも分かりやすく、
- フジ・メディア・ホールディングスの不動産事業とは何か?
- なぜ、この不動産事業が投資家にとって非常に重要なのか?
- 「隠れた資産」が、今後の株価をどう動かす可能性があるのか?
といった点を、基本から丁寧に解説していきます。
フジ・メディア・ホールディングスの「もう一つの柱」
フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の事業は、大きく「メディア・コンテンツ事業」と「都市開発・観光事業」の2つの柱で成り立っています。 この後者が、いわゆる不動産事業にあたります。
この事業を中核で担っているのが、2012年にFMHの連結子会社となった、総合不動産デベロッパーの「株式会社サンケイビル」です。
サンケイビルは、どんな不動産事業をしている?
サンケイビルは、非常に幅広く不動産関連のビジネスを展開しています。
- ビル事業: 東京や大阪の都心部を中心に、オフィスビルや商業施設の開発・賃貸・管理を行っています。
- 住宅事業: マンションの開発・分譲・販売を行っています。
- ホテル・リゾート事業: 子会社のグランビスタ ホテル&リゾートを通じて、ホテルや、鴨川シーワールドのようなレジャー施設も運営しています。
そして忘れてはならないのが、お台場のランドマークである「フジテレビ本社ビル」です。これもまた、FMHグループが保有する巨大な不動産資産の一つです。
なぜ、不動産事業が投資家にとって重要なのか?
では、なぜ投資家はこの不動産事業に注目するのでしょうか。それには、2つの大きな理由があります。
理由1:経営の「安定装置」としての役割
テレビの広告収入などを主力とするメディア事業は、景気の動向や視聴率、業界全体のトレンドによって、業績が大きく変動する可能性があります。
それに対し、サンケイビルが手掛けるオフィスビルの賃貸収入などは、比較的安定的で、継続的な利益を生み出すことができます。実際に、近年のFMHの決算を見ると、メディア事業が苦戦する一方で、この都市開発・観光事業がグループ全体の利益をしっかりと下支えしている構図が続いています。
投資家にとって、この安定した収益源があることは、経営のブレが少なくなり、安心して長期的に投資できるという大きな魅力につながるのです。
理由2:「隠れた資産価値」の宝庫
こちらが、より多くの投資家、特に「物言う株主(アクティビスト)」などが注目するポイントです。
企業が保有する不動産は、会計上、購入した時の価格(簿価)を基に貸借対照表に記載されています。しかし、特にサンケイビルが保有する都心の一等地の物件などは、購入した時から何十年も経ち、実際の市場価値(時価)が、帳簿上の価格をはるかに上回っていると考えられています。
この、帳簿には現れていない「含み益」こそが、FMHの「隠れた資産価値」なのです。
この隠れた資産価値の存在により、FMHの株価は、会社が持つ純資産の価値と比べて著しく割安な状態(いわゆるPBR1倍割れ)で放置されている、と多くの投資家は考えています。
「隠れた資産」が、今後の株価をどう動かす?
「割安」であることは分かりましたが、それがどう株価の上昇につながるのでしょうか。鍵となるのは、この「隠れた資産」をどう活用していくかです。
投資家が期待しているのは、以下のようなシナリオです。
- 不動産の売却と株主還元: 保有する不動産の一部を、高い市場価値で売却する。そして、その売却で得た巨額の現金を、株主に「自社株買い」や「増配(配当金の増額)」といった形で還元する。
- 不動産の証券化(REITなど): 保有する不動産を、不動産投資信託(REIT)などの金融商品に組み込んで証券化し、資金を調達する。
こうした具体的なアクションが起きたとき、これまで株価に反映されてこなかった不動産の価値が顕在化し、市場の評価が一変して、株価が大きく上昇する可能性があるのです。
まとめ
今回は、フジ・メディア・ホールディングスの「もう一つの顔」である、不動産事業について解説しました。
- フジ・メディア・ホールディングスは、「メディア・コンテンツ事業」と並ぶもう一つの収益の柱として、子会社のサンケイビルが手掛ける**大規模な「不動産事業」**を持っています。
- この不動産事業は、経営の安定収益源であると同時に、その**莫大な「隠れた資産価値」**から、同社の株価が「割安」であると評価される大きな要因となっています。
- 投資家としては、同社が今後、この豊富な不動産資産をどう活用し、企業価値の向上や株主還元につなげていくかが、最大の注目点となります。
「フジ・メディア・ホールディングスに投資することは、テレビ局だけでなく、都心の大家さんにも投資すること」。この視点を持つことで、あなたの企業分析はより深く、的確なものになるでしょう。
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