【初心者向け】フジ・メディア・ホールディングスとは?”Wiki”のように分かる企業概要と株価のポイント
「フジ・メディア・ホールディングスって、フジテレビのこと?」「どんな事業をしている会社なの?」
株式投資を始めると、よく耳にする有名企業でも、その実態は意外と知られていないものです。ニュースサイトの断片的な情報だけでなく、まるで”Wiki”のように、その会社の全体像を体系的に知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、株式投資初心者の方にも分かりやすく、日本の大手メディア企業「フジ・メディア・ホールディングス」(東証コード: 4676)について、その事業内容から歴史、そして投資家としての注目点までを、基本から丁寧に解説していきます。
フジ・メディア・ホールディングスはどんな会社?
フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)は、テレビ局の「フジテレビジョン」やラジオ局の「ニッポン放送」、新聞社の「産業経済新聞社」などを傘下に持つ、フジサンケイグループの中核をなす持株会社です。
「持株会社」とは、様々な事業を行う子会社の株式を保有し、グループ全体の戦略を立てる親会社のことを指します。つまり、FMHは「フジテレビ」という一つの会社ではなく、多様なビジネスを展開する巨大な企業グループの司令塔なのです。
事業内容:テレビだけじゃない、2つの大きな収益の柱
FMHの事業は、大きく分けて2つの柱で成り立っています。
① メディア・コンテンツ事業
これは、グループの顔であり、中核となる事業です。
- 主な内容: フジテレビの地上波テレビ放送(テレビCM広告など)、BS・CS放送、ニッポン放送のラジオ放送、番組制作、映画、音楽、ゲーム、出版、通信販売など、非常に幅広いメディアとコンテンツを手掛けています。
② 都市開発・観光事業
メディア事業と並ぶ、もう一つの重要な収益源がこの事業です。
- 主な内容: 主に子会社の「株式会社サンケイビル」が、オフィスビルの開発・賃貸・管理や、ホテル・リゾート施設の運営などを行っています。
テレビ事業が広告市況などの影響で業績が変動しやすいのに対し、不動産賃貸などから得られる安定した収益が、グループ全体の経営を下支えする重要な役割を担っています。
簡単な歴史:テレビの黄金期から持株会社体制へ
FMHの歴史は、日本のテレビ放送の歴史そのものと言っても過言ではありません。
- 1957年: 株式会社富士テレビジョンとして設立。
- 1959年: フジテレビジョンとして本放送を開始。
- 1960年代〜: 『鉄腕アトム』や『サザエさん』といった国民的アニメ番組を次々と世に送り出す。
- 1980年代: 『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも!』などの人気番組で一世を風靡し、12年連続で視聴率年間三冠王を獲得するなど、テレビの黄金時代を築く。
- 1997年: 本社を新宿区河田町から現在の港区台場へ移転し、東京証券取引所第一部に上場。
- 2005年: IT企業のライブドアによるニッポン放送株の敵対的買収騒動が勃発。日本中を巻き込む大きな話題となる。
- 2008年: 放送法の改正に伴い、日本で初めての「認定放送持株会社」へ移行し、商号を現在の「株式会社フジ・メディア・ホールディングス」に変更。テレビ放送事業を新設の「株式会社フジテレビジョン」に承継する。
投資家としての注目ポイント:FMHの「今」と「未来」
では、投資家としてFMHを見る際、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。
1. 「PBR1倍割れ」と資産価値
現在のFMHは、株価が会社の1株あたり純資産を下回る「PBR1倍割れ」の状態にあります。 これは、お台場の本社ビルをはじめとする豊富な不動産や、保有する他社株式といった「資産」の価値に比べて、株価が割安に評価されていることを意味します。そのため、東京証券取引所や投資家からは、この資産を有効活用し、企業価値を高める(PBRを改善する)よう、強い期待が寄せられています。
2. 株主還元への積極姿勢
FMHは、株主への利益還元を強化する方針を打ち出しています。具体的には、連結配当性向(最終的な利益のうち、どれだけを配当金として支払うかを示す割合)の目標を50%に引き上げるなど、株主を重視する姿勢を明確にしています。 安定した配当は、株価を下支えする魅力となります。
3. メディア事業の変革
インターネットや動画配信サービスの台頭により、テレビ業界は大きな変革期にあります。主力のテレビ広告収入が伸び悩む中、FMHが動画配信サービス「FOD」の強化や、アニメ・ドラマといった強力なコンテンツの海外展開などで、新たな収益源を確立できるかが、今後の成長の鍵を握ります。
まとめ
今回は、フジ・メディア・ホールディングスについて、”Wiki”のように基本的な情報から投資家としての注目点までを幅広く解説しました。
- フジ・メディア・ホールディングスは、フジテレビを中核とするが、不動産事業なども手掛ける複合企業である。
- かつてはテレビの黄金時代を築いたが、現在はメディア業界の変革期という大きな課題に直面している。
- 投資家としては、同社が持つ豊富な資産価値(PBR1倍割れ)、積極的な株主還元策、そしてメディア事業の将来性の3点が、今後の株価を占う上で非常に重要なポイントとなる。
一つの企業を多角的に知ることは、株式投資の醍醐味であり、成功への第一歩です。この記事をきっかけに、ぜひご自身でもIR情報などをチェックし、企業分析を深めてみてください。