投資 攻略
PR

フジ・メディア・ホールディングスは赤字?決算から見る業績の現状と今後の株価への影響

岩下隼人
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングスが赤字らしい」——株式投資のニュースなどでこんな情報を見かけて、不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。日本を代表する大手メディア企業が「赤字」と聞くと、経営は大丈夫なのか、株価はどうなるのか、気になりますよね。

しかし、「赤字」という言葉だけで企業の全体像を判断するのは早計です。赤字にはいくつかの種類があり、その中身をしっかり分析することが重要になります。

この記事では、株式投資初心者の方にも分かりやすく、

  • フジ・メディア・ホールディングスは本当に赤字なのか?
  • なぜ赤字になったのか、その原因は?
  • 「赤字」という情報と投資家はどう向き合うべきか?

を、最新の決算情報から読み解いていきます。

スポンサーリンク

フジ・メディア・ホールディングスはどんな会社?

まず、フジ・メディア・ホールディングス(東証コード: 4676)がどのような会社かを確認しましょう。

同社は、テレビ局の「フジテレビジョン」やラジオ局の「ニッポン放送」、新聞社の「産業経済新聞社」などを傘下に持つ、日本を代表するメディア・コングロマリット(複合企業)です。事業の中心はテレビ放送をはじめとする「メディア・コンテンツ事業」であり、番組の視聴率やテレビCMなどの広告収入が業績に大きな影響を与えます。その他にも、都市開発・観光事業(サンケイビルなど)も手掛けています。

【本題】本当に赤字なの?決算書の中身をチェック

結論から言うと、2025年3月期決算において、フジ・メディア・ホールディングスの最終的な利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は赤字となりました。

しかし、ここで重要なのは「どの段階での赤字か」ということです。企業の利益には、大きく分けて「本業の儲け」と「最終的な儲け」があります。

「赤字」の種類を理解しよう

  • 営業利益(本業の儲け)会社が主力の事業(フジテレビなら番組制作や広告販売など)でどれだけ稼いだかを示す利益です。ここが赤字だと、本業がうまくいっていない可能性があり、より深刻なサインと見なされます。
  • 当期純利益(最終的な儲け)本業の儲け(営業利益)に、利息の受け払いや、その期だけの特別な利益・損失(特別利益・特別損失)などを加減し、最終的に税金を差し引いて会社に残った利益です。

フジ・メディア・ホールディングスのケースでは、本業の儲けである「営業利益」は黒字を確保しています。それにもかかわらず、最終的な利益が赤字になったのはなぜでしょうか。

なぜ最終赤字になったのか?その原因を探る

フジ・メディア・ホールディングスが最終赤字となった主な原因は、「特別損失の計上」と「繰延税金資産の取り崩し」という、会計上の特殊な要因によるものです。

「特別損失」とは、火事や自然災害による損失、保有している不動産や株式の価値が大きく下がったことによる損失など、その期だけに発生した、イレギュラーで一時的な損失を指します。

今回のケースは、この特別損失を計上したことなどが響き、本業では利益が出ていたにもかかわらず、最終的な損益計算書の上では赤字となったのです。

つまり、今回の赤字は「本業のビジネスが立ち行かなくなった結果ではない」という点が非常に重要です。

ただし、楽観視ばかりもできません。中核子会社であるフジテレビ単体では、若者のテレビ離れなどを背景とした広告収入の減少により、本業の営業利益が赤字になるなど、事業環境が厳しさを増しているという側面も認識しておく必要があります。

「最終赤字」は今後の株価にどう影響する?

では、この「最終赤字」という結果は、今後の株価にどう影響するのでしょうか。

一般的に、株式市場は赤字の原因を冷静に分析します。今回のように、一時的な特別損失による最終赤字の場合、株価への影響は限定的か、あるいは決算発表の前にある程度「織り込み済み」であるケースが多く見られます。

投資家がより重視するのは、むしろ以下の2点です。

  1. 本業の稼ぐ力(営業利益)本業がしっかり黒字を維持できているか、成長しているかが最も重要です。ここが堅調であれば、一時的な最終赤字は乗り越えられると判断されやすくなります。
  2. 来期の業績予想会社自身が、来期の業績をどのように見通しているかは、将来性への期待を左右する大きな材料です。「来期は増収増益を見込んでいます」といった強気な見通しが出れば、たとえ今期が最終赤字でも、株価にはプラスに働くことがあります。

また、赤字決算を受けて、株主への配当を減らす(減配)あるいは無くす(無配)可能性も株価を左右する一因となるため、企業の株主還元姿勢も合わせて注目されます。

投資家として「企業の赤字」と向き合う心構え

今回の事例から、私たち投資家が学ぶべき大切な心構えがあります。

  • 「赤字」の文字に踊らされないニュースで「赤字転落」という見出しを見ても、慌ててはいけません。それが「営業赤字」なのか「最終赤字」なのか、まずはその種類を確認しましょう。
  • 赤字の原因を探る癖をつけるなぜ赤字になったのか?その原因が「一時的な要因」なのか、それとも「構造的な問題」なのかを見極めることが、最も重要な分析です。
  • 企業のIR情報をチェックしてみよう企業のウェブサイトにある「IR(投資家向け情報)」ページには、「決算短信」などの資料が掲載されています。難しいと感じるかもしれませんが、最初の数ページを読むだけでも、業績の概要や赤字の原因が書いてあり、非常に多くの情報を得ることができます。

まとめ

今回は、フジ・メディア・ホールディングスの決算を例に、「企業の赤字」の正しい見方について解説しました。

  • フジ・メディア・ホールディングスの2025年3月期決算は、本業の儲け(営業利益)は黒字だったものの、一時的な特別損失などにより、最終的な利益(純利益)が赤字となった。
  • 企業の決算を見る際は、「赤字」という言葉だけで判断せず、その**「種類(営業赤字か最終赤字か)」「原因(一時的か構造的か)」**を分析することが極めて重要。
  • 投資家として注目すべきは、目先の損益だけでなく、本業の稼ぐ力と、会社が示す将来の見通しである。

この視点を持つことが、短期的な情報に振り回されず、長期的な視野で企業価値を判断する、賢明な投資家への第一歩となるでしょう。

スポンサーリンク
ABOUT ME
岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました