投資 攻略
PR

メタプラネットのEPS(1株当たり利益)はなぜ参考にならない?本当に見るべき指標を解説

岩下隼人
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

株式投資の勉強を始めると、企業の価値を測るための様々な「財務指標」について学びます。その中でも、特に重要だと教えられるのが**「EPS(1株当たり利益)」**です。

当然の流れとして、「メタプラネットのEPSはどうなのだろう?」と調べてみた方も多いでしょう。そして、その数字がマイナス(赤字)になっているのを見て、混乱したり、不安になったりしたかもしれません。

「EPSがマイナスなんて、この会社はダメなんじゃないか?」

しかし、ご安心ください。メタプラネットというユニークな会社を評価する上で、EPSは、実はほとんど参考にならない指標なのです。この記事では、その理由と、EPSの代わりに本当に注目すべき重要な指標について、初心者にも分かりやすく解説します。

スポンサーリンク

まずは基本から:EPS(1株当たり利益)とは?

EPS(Earnings Per Share)とは、その名の通り「会社が、1株あたり、どれだけの純利益(最終的な儲け)を稼いだか」を示す指標です。計算式は以下の通りです。

EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式総数

一般的に、このEPSが高ければ高いほど、そして年々成長していればいるほど、その会社は「収益力が高い優良企業」と評価されます。

メタプラネットのEPSが「参考にならない」2つの理由

教科書通りに考えれば非常に重要なEPSですが、メタプラネットという会社に限っては、その重要性が著しく低いと言えます。その理由は、大きく2つあります。

理由1:「利益」がビットコインの“評価損益”に大きく左右されるから

EPSの計算の元となる「当期純利益」が、メタプラネットの場合、非常に特殊です。

同社の利益や損失は、ビジネスの儲けよりも、**保有するビットコインの会計上の「評価損益」**によって、極端に大きく変動します。会計ルール上、決算期の最終日のビットコイン価格が、購入した時の価格より低いと、実際に売っていなくても「評価損」という形で巨額の損失(赤字)を計上しなければなりません。

つまり、ビジネスが順調でも、決算日のビットコイン価格がたまたま低かったというだけで、EPSは簡単にマイナスになってしまうのです。このように、会社の本当の実力を示しているとは言えない「利益」を元に計算されたEPSを見ても、あまり意味はありません。

理由2:会社の「目的」が短期的な利益を出すことではないから

そもそも、現在のメタプラネットの経営目的は、四半期ごとに安定した「利益(Earnings)」を出すことではありません。

同社の目的は、保有するビットコインという「資産(Asset)」の価値を、長期的に最大化させることです。

不動産投資家のたとえ話

ある不動産投資家が、将来値上がりすることを見越して、1億円のビルを1棟だけ購入し、保有し続けているとします。彼女の事業は、ビルを保有することだけです。

この投資家を、短期的な「利益」で評価しようとすると、どうなるでしょうか。家賃収入はなく、固定資産税や維持費だけがかかるため、彼女の年間の利益は「赤字」かもしれません。当然、EPSもマイナスです。

しかし、彼女の事業が失敗しているかというと、そうとは言えません。もし5年後に、そのビルの価値が2億円になっていれば、彼女の投資は大成功だからです。この投資家を評価する上で見るべきなのは、短期的な利益(EPS)ではなく、**保有するビルの資産価値(=純資産)**なのです。

メタプラネットも、これと全く同じです。短期的な利益(EPS)で評価するのは、マラソン選手を100m走のタイムで評価するようなもので、的外れなのです。

EPSの代わりに注目すべき「2つの重要指標」

では、私たちはEPSの代わりに何を見れば、メタプラネットの価値を正しく測ることができるのでしょうか。注目すべきは、以下の2つの指標です。

1. BPS(1株当たり純資産)

BPS(Book-value Per Share)は、「会社が、1株あたり、どれだけの純資産(会社の解散価値)を持っているか」を示す指標です。利益(フロー)に着目するEPSに対し、BPSは資産(ストック)に着目します。

会社の資産のほとんどがビットコインであるメタプラネットにとって、このBPSは、EPSよりもはるかに企業価値の実態をよく表しています。

2. 1株あたりビットコイン保有量

これは、メタプラネットを評価するために作られた、いわば「専用のものさし」です。以下の式で計算されます。

1株あたりBTC保有量 = 総ビットコイン保有量 ÷ 発行済株式総数

メタプラネットは、新株発行で資金調達を続けるため、分母である「発行済株式総数」は増え続けます(希薄化)。その希薄化を上回るペースで、分子である「総ビットコイン保有量」を増やし、結果としてこの「1株あたりBTC保有量」を増やし続けることができるか。これこそが、同社の経営手腕が問われる最重要ポイントであり、投資家が最も注目すべき指標です。

まとめ

企業の価値を測る万能な指標はありません。その会社のビジネスモデルに合った「正しいものさし」を使うことが重要です。

メタプラネットという、資産価値の最大化を目指すユニークな会社を評価する際は、EPSという「利益のものさし」は一旦脇に置き、BPSという「資産のものさし」、そして**「1株あたりBTC保有量」という「専用のものさし」**で、その価値を測るようにしましょう。

なぜEPSが参考にならないのかを理解することは、あなたが紋切り型の分析から一歩抜け出し、より深く企業を評価できる投資家になるための、大切な学びとなるはずです。

スポンサーリンク
ABOUT ME
岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました