未経験から競馬業界へ転職！「好き」を仕事にするための職種と成功ガイド

沸き立つ大観衆の歓声、大地を駆けるサラブレッドたちの美しい姿、そしてゴール前の興奮と感動――。競馬がもたらす唯一無二のドラマに魅了され、「いつか、この世界の一員として働いてみたい」と、密かに夢を抱いている方は少なくないでしょう。

しかし、「競馬サークルの経験も、馬に関する専門知識もない自分には、縁のない世界だ」と、挑戦する前から諦めてしまってはいませんか？

ご安心ください。競馬は、単なるレースだけでなく、エンターテインメント、スポーツ、IT、観光といった要素が絡み合う巨大な産業です。そして、その裾野が広がる今、未経験者にも広く門戸が開かれており、あなたの「好き」という熱い想いを武器に、新たなキャリアを築くチャンスに満ちあふれています。

この記事では、未経験から競馬業界への転職を成功させるための、具体的な職種の選び方から、選考を突破するための秘訣まで、その全てを徹底的に解説します。

なぜ未経験でもチャンスがある？競馬業界の採用ニーズ

専門性が高いイメージのある競馬業界が、なぜ未経験者にも門戸を開いているのでしょうか。

• 業界の多角化と新しいスキルの必要性現代の競馬は、レースの施行だけでなく、ファンを増やすためのWebマーケティング、快適な観戦体験を提供する施設運営、膨大なレースデータを活用したITサービスなど、そのビジネスは多岐にわたります。そのため、競馬の知識だけでなく、異業種で培われた営業、企画、IT、広報といった専門スキルが、業界の発展に不可欠となっているのです。
• 現場の担い手不足特に、競走馬の生産や育成を担う牧場や、日々の調教を行う厩舎といった現場では、その仕事の大変さから、常に人材を求めています。ここでは、経験以上に、馬への深い愛情と、仕事に対する真摯な姿勢、そして何よりも体力といった、人間的な資質が重視されます。

競馬に関わる仕事、あなたはどれを目指す？未経験から挑戦できる主な職種

競馬の仕事は、騎手や調教師だけではありません。あなたの適性や経験に応じて、多様なキャリアの選択肢が存在します。

【馬と直接関わる仕事（体力・覚悟が必要）】

• 厩務員・調教助手（JRA・地方競馬）トレセン（トレーニングセンター）で、担当する競走馬の身の回りの世話（餌やり、ブラッシング、馬房の清掃など）や、日々の調教をサポートする仕事です。担当馬がレースで活躍した際には、大きな喜びと共に進上金（賞金の一部）を得ることもできます。馬に関する深い知識と愛情、そして早朝からの勤務に耐えうる体力が不可欠です。
• 牧場スタッフ（生産・育成）主に北海道の日高地方などで、仔馬の誕生から、競走馬になるための基礎トレーニング（馴致）までを手がけます。大自然の中で、馬の成長を一番近くで見守ることができる、非常にやりがいのある仕事です。

【馬を支える仕事（異業種の経験が活きる）】

• JRA・地方競馬の職員競馬を公正かつ円滑に施行し、ファンに快適な環境を提供するための、様々な業務を担います。レースの企画・運営、施設の維持管理、広報・プロモーション、ITシステムの開発・運用、海外との連携など、部署は多岐にわたります。公務員に準ずる安定性の高い仕事ですが、採用試験の難易度は高いです。
• 競馬メディア（新聞・雑誌・Webサイト）レースの予想や結果を伝えるトラックマン（記者）、特集記事を企画・編集する編集者、迫力ある写真を撮るカメラマンなどとして、競馬の魅力をファンに届けます。文章力や取材力、分析力が求められます。
• 競馬関連IT企業競馬予想サイトや、血統・レース結果のデータベースサイト、POG（ペーパーオーナーゲーム）アプリなどの開発・運営を行います。WebエンジニアやWebマーケター、WebデザイナーといったITスキルを直接活かすことができます。
• その他騎手が使う鞍などの馬具を製造・販売するメーカーの営業職や、競馬場・ウインズ（場外馬券場）の案内・運営スタッフなど、様々な形で競馬に関わる仕事があります。

競馬業界への転職、未経験者がアピールすべき3つのこと

1. 「なぜ競馬なのか」という圧倒的な熱意「競馬が好きだから」というだけでは、他の多くのファンと同じです。そこから一歩踏み込み、「競馬業界が抱える〇〇という課題を、自分の力で解決したい」「〇〇という形で、競馬の持つ魅力を、まだ競馬を知らない人々に伝えたい」といった、当事者としての視点と、具体的な貢献意欲を語ることが重要です。
2. 異業種で培った「専門スキル」「前職で培った営業スキルは、馬主様との関係構築に活かせます」「Webマーケティングの知識を活かして、新しいファン層を獲得する企画を立案できます」というように、あなたのスキルが、競馬業界でどう貢献できるのかを具体的に説明しましょう。
3. 体力と不規則な勤務への覚悟特に馬と直接関わる仕事を目指す場合、その厳しさを理解しているかは必ず見られます。「早朝からの勤務や、体力的に厳しい仕事も、馬と関われる喜びを思えば乗り越えられます」という、強い覚悟を示すことが不可欠です。

競馬業界の求人、どう探す？

• 公式サイトの採用情報: JRA、NAR（地方競馬全国協会）、そして社台グループやノーザンファームといった大手牧場の公式サイトは、定期的に必ずチェックしましょう。
• 競馬メディアの求人欄: 競馬専門の新聞（競馬ブックなど）やWebサイトに、不定期で求人情報が掲載されることがあります。
• 一般的な転職サイト: 「競馬」をキーワードに検索すると、特にIT系やメディア系の求人が見つかることがあります。
• 特化型転職エージェント: 農業・牧場専門や、スポーツ・エンタメ業界に強いエージェントに登録し、相談してみるのも一つの方法です。

競馬業界のリアル、気になるQ&A

Q1. 30代・40代からでも未経験で転職できますか？

A1. 営業やマーケティング、ITといったビジネス職であれば、前職での専門性を武器にすることで、十分に可能です。馬と直接関わる仕事は、体力的な面で若い方が有利なのは事実ですが、強い熱意と覚悟があれば、門戸は開かれています。

Q2. 給与や休日はどうですか？

A2. JRA職員は公務員に準ずるため、高水準で安定しています。厩舎関係者は、担当馬の活躍次第で高収入を得られる可能性がありますが、馬の世話があるため休日は不規則になりがちです。牧場スタッフは、給与水準は一般的に高くありませんが、寮が完備されているなど、福利厚生が整っていることが多いです。

Q3. 勤務地はどこになりますか？

A3. 職種によって大きく異なります。厩舎なら栗東トレーニングセンター（滋賀県）か美浦トレーニングセンター（茨城県）、生産・育成牧場ならその多くが北海道（特に日高地方）に集中しています。勤務地が限定されることは、あらかじめ覚悟しておく必要があります。

まとめ：「好き」を仕事にする覚悟が、夢への扉を開く

競馬業界の仕事は、多くの人々の夢とロマン、そして人生を乗せて走る競走馬たちを、様々な立場で支える、非常に誇りとやりがいに満ちた仕事です。

その華やかな世界の裏側には、時に厳しく、地道な努力が求められます。しかし、その全てを理解した上で、それでもなお「この世界に貢献したい」という強い情熱と覚悟があるのなら、未経験からでもその一員になることは必ずできます。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。