転職が決まったら、大学へ報告すべき?お世話になった教授・キャリアセンターへの伝え方
長い転職活動が実を結び、新しいキャリアへの道が開けた。期待に胸を膨らませる一方、ふと、頭をよぎる人がいるのではないでしょうか。
「大学時代にお世話になった、ゼミの先生」
「就職活動で、親身に相談に乗ってくれた、キャリアセンターの職員さん」
「彼らにも、転職が決まったことを報告した方がいいのだろうか?」
「でも、卒業してから何年も経つし、迷惑じゃないだろうか…」
そんな風に、連絡をためらっていませんか?
結論から言えば、その報告は、**あなたにとっても、そして大学にとっても、素晴らしい“贈り物”**になります。この記事では、お世話になった大学関係者へ、スマートに、そして心のこもった転職の報告をするための、タイミングやマナー、そして具体的な文例までを、網羅的に解説していきます。
なぜ、転職を大学に報告すると良いのか?3つの大きなメリット
忙しい中、わざわざ報告をすることには、一体どんな意味があるのでしょうか。それには、あなたが思う以上の、温かいメリットが存在します。
① 恩師への、何よりの「恩返し」になる
あなたが社会で活躍し、悩み、そして新たな一歩を踏み出すという報告は、学生時代にあなたの成長を願い、親身にサポートしてくれた教授や職員にとって、自身の教育の成果を実感できる、非常に嬉しいニュースです。あなたの成長した姿こそが、彼らにとっての、何よりの喜びであり、仕事のやりがいとなるのです。
② あなた自身の「キャリアの棚卸し」になる
報告をするためには、「新卒で入社した会社で、何を経験し、何を考え、なぜ今回、転職という決断をしたのか」を、自分の言葉で整理する必要があります。このプロセスは、あなた自身のキャリアを客観的に見つめ直し、次のステップへの決意を新たにする、絶好の自己分析の機会となります。
③ 未来の「後輩」への、貴重な道しるべになる
あなたのキャリアパスは、同じ大学で、今まさに将来に悩んでいる後輩たちにとって、**「こんな道もあるんだ」「社会には、こんな可能性があるんだ」**ということを示す、リアルで貴重なロールモデルとなります。あなたの報告が、キャリアセンターなどを通じて、後輩たちのキャリア選択の視野を広げる、価値ある情報として役立つこともあるのです。
誰に、いつ、どうやって?スマートな報告のタイミングとマナー
報告する相手
まずは、あなたが「報告したい」と心から思う相手で構いません。一般的には、以下のような方々が挙げられます。
- 特にお世話になったゼミ・研究室の教授
- 新卒時にお世話になった、キャリアセンター(就職課)の職員の方
- その他、部活動の顧問や、お世話になった教職員の方々
報告のタイミング
慌てて報告する必要はありません。ベストなタイミングは、内定が出て、現在の職場への退職交渉も円満に終わり、次の会社の入社日が確定してからです。入社後、少し仕事に慣れて、新しい環境について具体的に話せるようになってからでも、全く問題ありません。
報告の方法
相手の都合を最優先に考え、**基本的には「メール」**で報告するのが、最も丁寧でスマートな方法です。もし、直接会ってお礼を伝えたい場合は、まずメールでその旨を伝え、相手の都合を伺ってから、アポイントを取りましょう。年賀状や暑中見舞いといった、季節の挨拶状で、近況報告としてさりげなく伝えるのも、良い方法です。
【例文付き】感謝と成長が伝わる、報告メールの書き方
いざメールを書くとなっても、どんな内容にすればよいか迷いますよね。以下の構成と例文を参考に、あなた自身の言葉でアレンジしてみてください。
【件名】
「ご報告(〇〇大学 20〇〇年卒 氏名)」のように、誰からの、どんな内容のメールか一目で分かるようにするのが親切です。
【基本の構成】
- 挨拶と自己紹介: 時候の挨拶と、いつ卒業した誰であるかを明確に。
- 本題(転職の報告): 簡潔に、転職した(する)事実を伝える。
- 感謝の言葉: 在学中にお世話になったことへの、具体的な感謝を伝える。
- 現状と今後の抱負: これまでのキャリアと、新しい職場での意気込みを簡潔に。
- 結びの言葉: 相手の健康や、大学の発展を祈る言葉で締めくくる。
【ゼミの教授への例文】
件名:ご報告(2018年 経済学部卒業 〇〇太郎)
〇〇先生
ご無沙汰しております。大変お世話になりました、2018年に〇〇ゼミを卒業いたしました、〇〇太郎です。先生におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
私事で大変恐縮ですが、この度、新卒で入社いたしました〇〇株式会社を退職し、来たる△月△日付で、□□株式会社へ転職する運びとなりました。
在学中は、〇〇先生のゼミで△△について学んだことが、社会人としての私の思考の基盤となっており、今でも心より感謝しております。特に、ゼミ論文でご指導いただいた「〇〇」という視点は、前職の業務においても、常に私の支えとなっておりました。
新しい職場では、これまでの営業経験を活かし、新たにマーケティングの分野に挑戦いたします。先生にご指導いただいた探究心を忘れず、これからも日々精一杯精進して参ります。
季節の変わり目ですので、先生におかれましても、どうぞご自愛ください。
末筆ではございますが、〇〇大学の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
〇〇太郎
(連絡先:xxx-xxxx-xxxx)
報告の際に、心がけたいこと
- 自慢話にならないように: あなたの成長を伝えるのは素晴らしいことですが、年収や役職などを過度に自慢するような内容は避け、謙虚な姿勢を忘れないようにしましょう。
- 簡潔に、分かりやすく: 相手は多忙であることを忘れずに、要点をまとめて、手短に報告することを心がけましょう。
- 何かを期待しない: 返信や、何か特別な対応を期待するのではなく、あくまで「感謝と近況の報告」に徹する姿勢が、美しい関係を保つ秘訣です。
まとめ
転職という、人生の大きな節目。その喜びと決意を、お世話になった大学の恩師へ報告することは、あなたの社会人としての誠実さを示す、非常に素晴らしい行いです。
その一通のメールが、恩師を心から喜ばせ、未来の後輩たちの道しるべとなり、そして何より、あなた自身のこれまでのキャリアを肯定し、次への一歩を力強く踏み出すための、最高の“けじめ”となるはずです。
ぜひ、少しの勇気を出して、感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。