英語のカバーレター、書き方の全て|採用担当者の心をつかむ例文と実践テクニック
外資系企業や海外のポジションへの転職活動。完璧な英文レジュメを準備したものの、応募要項にある「カバーレター(Cover Letter)」という言葉を前に、手が止まってしまった経験はありませんか?
「そもそも何を書けばいいの?」
「レジュメと何が違うの?」
「日本の送付状と同じようなものではダメなの?」
そんな疑問や不安を抱く方も多いでしょう。しかし、このカバーレターこそが、数多くの応募者の中から、あなたを際立たせるための絶好のアピールの機会なのです。
この記事では、カバーレターの重要性から、プロフェッショナルな印象を与える基本の型、そしてすぐに使えるテンプレートまで、あなたの転職活動を成功に導くための書き方の全てを、分かりやすく解説します。
カバーレターはなぜ重要?レジュメだけでは伝わらないこと
まず、日本の「送付状」と英語の「カバーレター」は全くの別物です。カバーレターは単なる挨拶状ではありません。それは、**レジュメ(履歴書)だけでは語りきれない、あなたの情熱と個性を伝えるための、パーソナルな「手紙」**なのです。
- あなたの「声」を届ける手紙: レジュメが、あなたのスキルや経歴といった「客観的な事実」をリストアップするものであるならば、カバーレターは、その事実の裏にある**「なぜ、あなたなのか(Why you?)」と「なぜ、この会社でなければならないのか(Why this company?)」**を、あなた自身の言葉で語る場所です。
- 応募への「熱意」の証明: 多くの応募者がレジュメだけで応募を済ませる中、手間と時間をかけて、その企業のためだけにパーソナライズされたカバーレターを準備することは、ポジションへの真剣な興味と高い熱意を示す、何よりの証拠となります。
- 「文章力」というビジネススキルのアピール: 論理的で、簡潔で、説得力のある文章を書く能力は、あらゆるビジネスで求められる重要なスキルです。カバーレターは、その能力を最初にアピールできる絶好の機会と言えるでしょう。
【基本構成】プロフェッショナルな英語カバーレターの型
決まったフォーマットはありませんが、ビジネス文書として一般的に受け入れられている、信頼性の高い「型」が存在します。この構成に沿って書けば、まず間違いありません。
① 連絡先情報 (Contact Information)
【あなたの情報】
レジュメの一番上、中央または左寄せで記載します。
- 氏名 (Your Name)
- 住所 (Your Address)
- 電話番号 (Your Phone Number)
- メールアドレス (Your Email Address)
- LinkedInのプロフィールURL (Your LinkedIn Profile URL) – 任意ですが、あると良い
【日付と相手の情報】
あなたの情報の下に、1行空けて日付を記載。さらに1行空けて、相手の情報を左寄せで記載します。
- 日付 (Date)
- 採用担当者名 (Hiring Manager Name) – わかる場合
- 役職 (Title)
- 会社名 (Company Name)
- 会社住所 (Company Address)
② 宛名 (Salutation)
Dear Mr./Ms. [Last Name]:
が最も丁寧で一般的です。相手の性別が不明な場合は Ms.
を使います。担当者名がどうしても分からない場合は Dear Hiring Manager:
とします。
③ 第1段落:導入 (Introduction)
まず、どのポジションに応募しているのか、そしてその求人をどこで知ったのかを明確に述べます。そして、なぜこのポジションに強く惹かれたのか、という「つかみ」の一文で、採用担当者の興味を引きつけます。
④ 第2段落:自己PR (Body Paragraph 1 – Why You?)
あなたのスキルや経験が、いかにそのポジションの要件に合致しているかを具体的にアピールする、最も重要な部分です。レジュメに書いた実績の中から、応募ポジションに最も関連性の高いものを1〜2つピックアップし、その背景にあるストーリー(どんな課題があり、どう行動し、どんな結果を出したか)を簡潔に語ります。
⑤ 第3段落:志望動機 (Body Paragraph 2 – Why Them?)
なぜ他の会社ではなく、この会社で働きたいのかを具体的に述べます。企業のウェブサイトや最近のニュースなどをリサーチし、その企業の理念、製品、社風、あるいは最近の取り組みなどに触れ、「私はあなたの会社のことをよく理解し、強く共感しています」というメッセージを伝えます。
⑥ 第4段落:結論と行動喚起 (Conclusion & Call to Action)
最後に、面接への期待を述べ、連絡を促す言葉で締めくくります。レジュメを添付していることにも、ここで触れておくと丁寧です。
⑦ 結び (Closing) と署名 (Signature)
Sincerely,
や Best regards,
といった結びの言葉の後に、コンマを打ちます。その下に、あなたの氏名を手書き(PDFの場合)またはタイプで記載します。
【例文あり】そのまま使える!英語カバーレターのテンプレート
上記の構成に沿った、汎用的なテンプレートです。[]の部分を、ご自身の情報や応募する企業の情報に合わせてカスタマイズしてご活用ください。
[Your Name]
[Your City, State, Zip Code] | [Your Phone Number] | [Your Email Address] | [Your LinkedIn URL]
[Date]
[Hiring Manager’s Name] (If known, otherwise omit)
[Hiring Manager’s Title]
[Company Name]
[Company Address]
Dear Mr./Ms. [Last Name]:
I am writing to express my keen interest in the [Job Title] position, which I saw advertised on [Platform where you saw the ad, e.g., LinkedIn]. Having followed [Company Name]’s innovative work in the [Industry] industry for some time, I was thrilled to see this opportunity to contribute to your team.
In my previous role as [Your Previous Job Title] at [Previous Company], I was responsible for [Your key responsibility]. I successfully [Your key achievement with numbers, e.g., increased sales by 20% by implementing a new digital marketing strategy]. My skills in [Skill 1] and [Skill 2] are a perfect match for the requirements outlined in the job description.
I am particularly drawn to [Company Name]’s commitment to [A specific company value, project, or mission you admire, e.g., sustainability and community outreach]. I am confident that my passion for [Your related passion] and my professional skills would allow me to contribute significantly to your team’s goals.
Thank you for your time and consideration. My résumé is attached for your review, and I look forward to the possibility of discussing this exciting opportunity with you further.
Sincerely,
[Your Typed Name]
ライバルに差をつける!カバーレター作成の3つの秘訣
秘訣1:求人票の「キーワード」を盛り込む
応募するポジションの求人票(Job Description)を注意深く読み込み、企業が求めているスキルや資質を示すキーワードを特定しましょう。そして、そのキーワードを、あなたの経験と結びつける形で、カバーレターの中に自然に盛り込みます。これは、AIが書類をスクリーニングするATS(採用管理システム)を通過するためにも、極めて有効なテクニックです。
秘訣2:レジュメの「コピペ」を避ける
カバーレターは、レジュメの要約ではありません。レジュメに書かれた「事実」をただ繰り返すのではなく、その実績の背景にあるストーリー(どんな課題があり、どう考え、どう行動したか)を語ることで、あなたの人物像がより深く伝わります。
秘訣3:情熱と個性を滲ませる
フォーマルなトーンは保ちつつも、なぜこの仕事に情熱を感じるのか、なぜこの会社に惹かれるのかを、あなた自身の言葉で語りましょう。テンプレートをなぞるだけではない、血の通った言葉こそが、採用担当者の心を動かすのです。
まとめ
英文カバーレターは、面倒な添付書類などではありません。それは、レジュメという客観的なデータだけでは伝えきれない、あなたの価値と情熱を、採用担当者に直接届けるための、パーソナルな「ラブレター」のようなものです。
この記事の構成と例文を参考に、あなたの魅力が最大限に伝わるカバーレターを作成し、理想のグローバルキャリアへの扉を開いてください。