営業から営業への転職、面接官を納得させる転職理由の伝え方【例文あり】
営業として経験を積み、日々の仕事にも慣れてきた。しかし、ふと「このままでいいのだろうか」「もっと自分の力を試せる場所があるのではないか」と、さらなる成長や新たな挑戦を求めて、同じ営業職として別の会社へ転職を考えるのは、非常に前向きで自然なことです。
ただ、その転職活動の面接で、必ずと言っていいほど聞かれるのが**「同じ営業職なのに、なぜ転職するのですか?」**という質問です。この問いに、どう答えれば良いか分からず、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
しかし、この質問はあなたを試すためのものではありません。むしろ、あなたのキャリアに対する考え方や、プロフェッショナルとしての意識をアピールする絶好のチャンスなのです。この記事では、面接官の疑問を払拭し、あなたの転職が前向きで計画的なものであることを力強く伝えるための、ストーリー構築法を分かりやすく解説します。
なぜ聞かれる?「営業から営業へ」の転職理由で面接官が見ていること
まず、なぜ面接官がこの質問を重視するのか、その視点を理解しておきましょう。
- 定着性と再現性: 「また同じような理由ですぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を持っています。現職への不満を、ただ環境のせいにしていないか、その人自身の姿勢を見ています。
- キャリアの一貫性: 今回の転職が、行き当たりばったりのものではなく、あなたのキャリアプランに基づいた、目的のあるステップなのかを知りたいと考えています。
- 企業への貢献意欲: 「なぜ、数ある同業他社ではなく、うちの会社を選んだのか」という、企業への本気度と貢献意欲を具体的に知りたいのです。
- スキルと経験のマッチ度: あなたが培ってきた営業経験が、自社の営業スタイルや扱っている商材、そして企業文化と本当に合っているのかを見極めようとしています。
そのままではNG!評価を下げてしまう残念な転職理由
たとえ本音であっても、伝え方を間違えるとマイナス評価に繋がってしまいます。
- 「今の会社の〇〇が嫌で…」給与、人間関係、残業時間など、不満だけを並べてしまうと、「どこに行っても不満を言う人」「他責思考が強い人」という印象を与えてしまいます。
- 「より成長したいので」非常に聞こえは良いですが、「何を」「どのように」成長したいのかが具体的でなければ、ただの定型文に聞こえてしまい、熱意は伝わりません。
- 「御社の製品(サービス)が好きなので」好意を持つことは大切ですが、それだけでは「ファン」の域を出ません。ビジネスとして、その製品をどう広め、どう会社に貢献したいのかが伝わらなければ、説得力に欠けます。
説得力を生む!転職理由を構成する「3つの軸」
面接官を納得させる転職理由は、過去・現在・未来を繋ぐ、一貫したストーリーになっています。以下の3つの軸を意識して、あなただけの物語を組み立てましょう。
- 軸1:現職での「実績」と「課題意識」まずは、現職で何を成し遂げ、どんなスキルを身につけたのかを具体的に語り、経験者としての価値を示します。その上で、「現職での経験を通じて、〇〇という新たな目標(課題意識)が生まれた」という流れに繋げます。
- 軸2:実現したい「次のステップ」その新たな目標を達成するために、次はどのような環境(扱う商材、営業スタイル、業界、顧客層など)で自分の力を試したいのかを具体的に語ります。
- 軸3:応募先企業との「接点」最後に、なぜその「次のステップ」が、応募先の企業でこそ実現できるのかを、その企業の強みや特徴と結びつけて説明します。そして、入社後にどう貢献したいかという意欲を示して締めくくります。
【ケース別】面接で使える!営業から営業への転職理由・例文集
あなたの状況に合わせて、上記の3つの軸をどのように組み立てるか、具体的な例文を見ていきましょう。
例文1:【扱う商材を変えたい】有形商材 → 無形商材へ
現職では、有形商材であるOA機器の営業として、お客様との信頼関係を築き、課題をヒアリングすることにやりがいを感じてまいりました。しかし、お客様の課題を深く知るほど、機器の導入だけでは解決できない、より本質的な業務プロセスの問題に直面することが多くありました。今後は、顧客の課題に合わせてソリューションをゼロから組み立てられる無形商材の営業に挑戦し、より深く顧客の事業成功に貢献したいと考えております。中でも、中小企業のDX化を支援する貴社のSaaSサービスは、まさに私が実現したい価値提供そのものであり、これまでの経験で培った顧客折衝能力を活かし、貢献できると確信しております。
例文2:【営業スタイルを変えたい】新規開拓 → ルートセールスへ
現職では、新規開拓営業として、多くのお客様との接点を持つことに面白さを感じておりましたが、一方で、契約後のお客様と長期的な関係を築けないことにもどかしさを感じるようになりました。この経験から、私は一社一社のお客様と深く長く向き合い、ビジネスパートナーとして共に成長していくような営業スタイルに、より強いやりがいを感じると気づきました。既存顧客との関係深耕を最も重視し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す貴社でこそ、私の強みである関係構築力を最大限に発揮できると考えております。
例文3:【待遇・評価を改善したい】成果主義の環境へ
現職ではチーム一丸となって目標を達成することに貢献してまいりましたが、その中で、より自身の成果が正当に評価される環境で、自分の力を試したいという思いが強くなりました。もちろんチームワークは大切ですが、個々の頑張りが明確なインセンティブとして反映されることで、より高いモチベーションを持って仕事に取り組めると考えております。年齢や社歴に関わらず、成果を正当に評価する貴社の実力主義の風土の中で、トップを目指して貢献していきたいです。
転職理由は、あなたの「キャリア戦略」を語る場
営業から営業への転職理由は、単なる退職の説明ではありません。それは、あなたがこれまでの経験をどう捉え、未来のキャリアをどう描いているのかを示す、重要な「キャリア戦略」のプレゼンテーションです。
現状への不満は、視点を変えれば、次のステージへ向かうための「挑戦意欲」の源泉です。この記事を参考に、あなた自身の経験に基づいた、一貫性のある力強いストーリーを構築し、面接官を納得させ、理想のキャリアを手に入れてください。