【営業から事務へ】転職理由を面接でどう伝える？好印象な例文とNG例を解説

営業職から事務職へ。キャリアチェンジを考える際に、面接で最も重要視されるポイントの一つが「転職理由」です。畑違いとも思える職種への転身だからこそ、面接官は「なぜ営業から事務へ？」「本当に事務職に適性があるのか？」といった点に強い関心を持ちます。この記事では、営業職から事務職への転職面接において、面接官を納得させ、かつ好印象を与えるための転職理由の伝え方について、具体的な例文やNG例を交えながら詳しく解説します。

なぜ面接で「営業から事務への転職理由」が重視されるのか？質問の意図

まず、面接官が「営業から事務への転職理由」を詳しく尋ねる背景にある意図を理解しましょう。

• 職種変更の納得感: 営業職と事務職では、仕事の進め方や求められるスキルセットが異なります。なぜ全く異なる特性を持つ事務職を選んだのか、その理由に妥当性があるのかを確認し、安易な職種変更ではないかを見極めようとしています。
• 事務職への適性確認: 営業で培ってきたスキルが事務職でどのように活かせるのか、また、事務職に不可欠な素養（正確性、丁寧さ、サポート力、協調性など）を持ち合わせているかを確認したいと考えています。
• 早期離職リスクの判断: 「営業の仕事が嫌になったから」「ノルマから逃れたいから」といったネガティブな理由だけが先行していないか、事務職の仕事内容を正しく理解しているかを見極め、入社後のミスマッチによる早期離職のリスクを判断しようとしています。
• 志望度の高さ: 数ある事務職の求人の中で、なぜ自社を選んだのか、その企業で事務としてどのように貢献したいのかという具体的な志望度や熱意を知りたいと考えています。

これらの意図を踏まえ、具体的で前向きな転職理由を準備することが不可欠です。

営業から事務への転職理由を面接で伝える際の基本原則

「営業から事務への転職理由」を効果的に伝えるためには、以下の基本原則を押さえておきましょう。

• ポジティブな言葉で、前向きなキャリアチェンジであることを強調する: 「営業が嫌だから」ではなく、「事務職で〇〇を実現したいから」というように、未来志向のポジティブな言葉を選びましょう。
• 営業経験で得たスキルを、事務職でどのように活かせるかを具体的に示す: 営業で培ったコミュニケーション能力、PCスキル、目標達成意欲などが、事務職のどのような場面で役立つのかを具体的に結びつけて説明します。
• 事務職の仕事内容や役割を理解していることをアピールする: 事務職の仕事は多岐にわたります。その重要性や魅力を理解し、貢献したいという意欲を示すことが大切です。
• 応募企業の事務職に魅力を感じた理由を明確にする: なぜ他の企業ではなく、その企業の事務職として働きたいのか、具体的な理由を添えることで、志望度の高さが伝わります。
• 嘘やごまかしはせず、誠実な姿勢で伝える: 事実と異なることを話したり、都合の悪いことを隠したりするのは信頼を損ないます。正直に、しかし伝え方を工夫して誠実に話しましょう。

【ケース別】営業から事務への転職理由と志望動機の例文

ここでは、営業から事務への転職理由として考えられるいくつかのケース別に、面接で好印象を与える伝え方と具体的な例文をご紹介します。

ケース1：営業で培った「サポート力」を活かしたい

• 理由のポイント: 顧客やチームメンバーを支えることに喜びを感じ、より直接的に組織の円滑な運営に貢献したいという意欲を伝える。
• 例文: 「前職では営業として約〇年間、顧客の課題解決に尽力してまいりました。目標達成に向けて活動する中で、営業担当者を陰で支える事務の方々のきめ細やかなサポートが、いかにチーム全体の成果に繋がるかを日々実感しておりました。特に、営業がスムーズに業務に集中できるよう先回りして準備を整えたり、顧客からの問い合わせに丁寧に対応したりする姿を見て、組織全体の円滑な運営を支える業務に強い魅力を感じるようになりました。営業経験で培った、顧客のニーズを的確に把握する力や、社内外の関係者との調整力を活かし、今後は事務職として、より直接的に組織の基盤を支え、貢献していきたいと考え、転職を決意いたしました。貴社ではチームワークを重視し、社員同士がサポートし合う風土があると伺い、そのような環境で私の強みを活かせると確信しております。」

ケース2：営業で培った「コミュニケーション能力」や「PCスキル」を活かしたい

• 理由のポイント: 営業活動を通じて磨かれた対人スキルや、提案資料作成などで向上したPCスキルを、事務業務の効率化や社内外との円滑なコミュニケーションに役立てたいという点をアピールする。
• 例文: 「営業職として約〇年間、多様な業界のお客様や社内の関連部署と日々接する中で、相手の立場を理解し、円滑な関係を築くためのコミュニケーション能力と折衝力を培ってまいりました。また、顧客への提案資料や日々の報告書の作成を通じて、Excelでのデータ分析やPowerPointでの分かりやすい資料作成といったPCスキルも実践的に向上させることができました。これらのスキルは、事務職として社内外とのスムーズな連携を図り、正確かつ効率的な業務遂行に不可欠であると考えております。今後は、これらの経験を活かし、事務の立場から業務プロセスの改善や情報共有の円滑化に貢献したいと考え、転職を決意いたしました。貴社の〇〇という業務効率化への取り組みに共感し、私もその一翼を担いたいと考えております。」

ケース3：ワークライフバランスを整え、長期的に貢献したい（伝え方に注意）

• 理由のポイント: 「営業の仕事が辛かったから」というネガティブな印象を与えないよう、あくまで「長期的なキャリア形成」や「腰を据えた貢献」という前向きな視点で語ることが重要です。
• NG例: 「営業のノルマがきつくて、毎日残業ばかりで体力的にも限界でした。」
• 例文: 「前職の営業職では、目標達成に向けて日々邁進し、多くのお客様との出会いや成果を上げる喜びなど、非常に貴重な経験を積むことができました。その中で、今後のキャリアを長期的な視点で考えた際に、より腰を据えて専門性を高め、一つの企業に安定的に貢献していけるような働き方をしたいという思いが強くなりました。事務職は、企業の土台を支える非常に重要な役割であり、正確性や計画性が求められる点に自身の強みを活かせると感じております。これまでの営業経験で培った状況把握能力や目標達成に向けた計画性を活かしながら、長期的に貴社に貢献していきたいと考え、転職を決意いたしました。貴社では社員の長期的なキャリア形成を支援する制度が充実していると伺い、大変魅力に感じております。」

ケース4：特定の分野の事務（例：営業事務、経理事務など）に興味を持った

• 理由のポイント: 営業活動を通じて、特定の事務業務の重要性や専門性に気づき、その分野で専門性を高めたいという明確な目標があることを伝える。
• 例文: 「営業としてお客様と直接関わる中で、契約手続きの正確さや迅速な納期管理といった営業事務のサポートが、いかに顧客満足度や企業の信頼性に直結するかを肌で感じてまいりました。元々、細かなデータ管理や書類作成といった作業を得意としており、営業の現場感覚を理解しているからこそできる、より質の高い営業サポート業務に強い関心を持つようになりました。具体的には、営業担当者がより戦略的な活動に集中できるよう、先を見越した資料準備やスムーズな情報連携を行うことで、チーム全体の成果向上に貢献したいと考えております。貴社では営業部門との連携が密で、営業事務が主体的に業務改善に取り組める環境があると伺い、私の目指す働き方が実現できると確信し、志望いたしました。」

営業経験を事務職で活かせる強みのアピール方法

営業から事務への転職では、「営業経験で培ったスキルが事務職でどう活きるのか」を具体的に示すことが、面接官を納得させる上で非常に重要です。以下のような強みをアピールしましょう。

• コミュニケーション能力・折衝能力: 顧客や社内関連部署との円滑なやり取り、電話応対、来客応対、クレーム対応など、事務職でも対人スキルは不可欠です。
• PCスキル: 提案資料作成や顧客管理で培ったWord、Excel（関数、グラフ、データ分析など）、PowerPointのスキルは、事務作業の効率化に直結します。
• 目標達成意欲・計画性: 営業目標を達成するために培った計画性、タスク管理能力、期限管理能力は、事務業務を正確かつ効率的に進める上で役立ちます。
• 顧客志向・ホスピタリティ: 顧客満足を第一に考えてきた経験は、社内外の相手に対する丁寧な対応や、相手の立場に立ったサポート力に繋がります。
• ストレス耐性・問題解決能力: 営業活動で様々な困難やプレッシャーを乗り越えてきた経験は、予期せぬトラブルや多忙な状況にも冷静に対応できる力として評価されます。
• 業界知識（同業界の事務職の場合）: 営業として得た業界の知識や商習慣の理解は、事務職として業務をスムーズに進める上で大きな強みとなります。

これらの強みを、具体的なエピソードを交えながら説明することで、説得力が増します。

営業から事務への転職理由を伝える際のNGな伝え方

以下のような転職理由は、面接官にマイナスの印象を与えてしまう可能性が高いため、絶対に避けましょう。

• 「営業が嫌になったから」「ノルマが辛かったから」といったネガティブな理由のみを強調する: 前向きな意欲が感じられず、「事務職なら楽そうだ」という安易な考えで応募してきたのではないかと疑われます。
• 事務職の仕事を「楽そう」「誰でもできそう」と軽視するような発言: 事務職の専門性や重要性を理解していないと判断され、不快感を与えます。
• 営業経験を全く活かせないかのような話し方、あるいは営業経験を否定するような発言: これまでの経験を否定的に捉えていると、自己成長が見込めない人材と見なされる可能性があります。
• 志望動機が曖昧で、なぜその企業の事務職なのかが不明確: 「事務職ならどこでもいい」という印象を与え、入社意欲が低いと判断されます。
• 事務職の仕事内容を理解していないと思われる発言: 事務職の業務範囲や求められるスキルについて、基本的な理解がないと、ミスマッチを懸念されます。

面接官からの深掘り質問に備える

転職理由を述べた後、面接官からさらに深掘りする質問が投げかけられることがあります。

• 「営業のどのような点が、ご自身に合わないと感じられたのですか？」
• 「事務職の地道な作業やルーティンワークにも、抵抗なく取り組めますか？」
• 「営業経験で得た〇〇というスキルを、具体的に当社の事務の仕事でどのように活かせるとお考えですか？」
• 「周りの方からは、営業から事務への転職について何か言われましたか？（反対されませんでしたか？など）」
• 「もし、当社の事務職でも目標設定や成果が求められる場面があった場合、どのように取り組みますか？」

これらの質問に対しても、一貫性があり、かつポジティブで建設的な回答を準備しておくことが重要です。特に「営業の何が合わなかったか」という質問には、単なる不満ではなく、自身の適性や価値観とのギャップを客観的に説明し、それが事務職への志向にどう繋がったのかを論理的に述べることが求められます。

まとめ：営業経験を強みに変え、前向きな転職理由を伝えよう！

営業職から事務職への転職は、大きなキャリアチェンジです。面接官は、その決断に至った背景や、新しい職種で活躍できる可能性を慎重に見極めようとしています。大切なのは、職種変更の理由をネガティブなものとして捉えるのではなく、これまでの営業経験で培った貴重なスキルや経験を、事務職という新しいステージでどのように活かし、貢献していきたいのかという前向きな意欲と具体的なビジョンを伝えることです。

事務職の仕事内容や役割を深く理解し、応募企業への熱意をしっかりと伝えることができれば、営業経験はあなたの大きな強みとなり、面接官に好印象を与えることができるでしょう。この記事で紹介したポイントや例文を参考に、あなた自身の言葉で、説得力のある転職理由を準備してください。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。