【事務職の転職面接】「転職理由」の上手な伝え方｜例文とNG例で徹底解説！

転職活動の面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが「転職理由（退職理由）」です。「正直に話して良いものか…」「ネガティブに聞こえないか…」と、どう伝えれば良いか悩む方も多いのではないでしょうか。特に事務職の面接では、安定性や協調性を重視される傾向もあるため、伝え方には一層の配慮が必要です。この記事では、事務職の転職面接で「転職理由」を効果的に伝え、面接官に好印象を与えるためのポイントや具体的な例文、避けるべきNG例などを詳しく解説します。

なぜ面接で「転職理由（退職理由）」を聞かれるのか？質問の意図を理解しよう

まず、面接官が「転職理由」を尋ねる意図を理解することが、的確な回答を準備するための第一歩です。主な意図としては、以下のような点が挙げられます。

• 同じ理由で早期退職しないかの確認: 前職を辞めた理由が、自社でも起こりうる問題であれば、「またすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を抱かせます。
• ストレス耐性・問題解決能力の見極め: 困難な状況や不満に対して、どのように向き合い、解決しようと努力したのか、あるいは安易に諦めてしまったのかなど、応募者のストレス耐性や主体性を見ています。
• 仕事への価値観・キャリアプランの把握: 何を重視して仕事を選び、将来どのようにキャリアを築いていきたいのか、応募者の価値観やキャリアプランが自社の方向性と合致しているかを確認します。
• 自社への適性・志望度の高さの確認: 転職理由が、自社を志望する動機と一貫しているか、自社でならその課題が解決できると考えているのかなど、志望度の高さや企業理解度を測ります。
• 前向きな姿勢・成長意欲の確認: 過去の経験を糧に、新しい環境で成長したいという前向きな姿勢があるかを見ています。

これらの意図を踏まえ、単に事実を述べるだけでなく、将来への展望や応募企業への貢献意欲に繋げることが重要です。

事務職の転職面接で「転職理由」を答える際の基本原則

「転職理由」を答える際には、以下の基本原則を心がけましょう。

• ポジティブな表現を心がける: たとえネガティブな理由で退職した場合でも、それをそのまま伝えるのではなく、前向きな言葉に置き換え、将来への希望や目標に繋げるようにしましょう。
• 嘘やごまかしはNG、ただし伝え方は工夫する: 事実と異なることを話すのは信頼を損なうため絶対にNGです。しかし、ネガティブな事実も、伝え方次第で印象は大きく変わります。
• 前職への不平不満・批判は避ける: 前職の会社や上司、同僚などに対する不満や批判は、面接官に「他責にする人」「協調性がない人」というマイナスな印象を与えかねません。
• 応募企業への志望動機と一貫性を持たせる: 転職理由が、応募企業で実現したいことや、応募企業だからこそ解決できる課題と結びついていると、説得力が増し、志望度の高さも伝わります。
• 将来のキャリアプランと結びつける: 「今回の転職を通じて、将来こうなりたい」という明確なキャリアプランを示すことで、成長意欲や目的意識の高さをアピールできます。

【ケース別】事務職の転職面接における「転職理由」の伝え方と例文

ここでは、よくある転職理由のケース別に、事務職の面接で好印象を与える伝え方と具体的な例文をご紹介します。

キャリアアップ・スキルアップを目指したい場合

• ポイント: これまでの経験で得たスキルを土台に、応募企業でどのような新しいスキルを身につけたいのか、どのような業務に挑戦したいのかを具体的に伝えましょう。事務職としての専門性を高めたいという意欲を示すことが重要です。
• 例文: 「前職では一般事務として約〇年間勤務し、書類作成、データ入力、電話応対など幅広い業務に携わらせていただき、基本的な事務スキルを習得いたしました。その中で、特にデータ分析や資料作成を通じて業務改善に貢献することに大きなやりがいを感じ、今後はより専門性の高いExcelスキルや分析手法を習得し、企業の意思決定に直接的に貢献できるような業務に挑戦したいと考えるようになりました。貴社では、データに基づいた企画立案を重視されており、事務職であってもそのような業務に積極的に関与できる環境があると伺い、これまでの経験を活かしつつ、更なるスキルアップが実現できると確信し、転職を決意いたしました。」

労働条件・職場環境を改善したい場合（伝え方に細心の注意）

• ポイント: 残業時間や給与、人間関係といったネガティブな理由は、そのまま伝えると不満と捉えられがちです。「より効率的に働ける環境で成果を出したい」「自己成長の時間を確保し、長期的に貢献したい」など、前向きな表現に転換しましょう。
• NG例: 「前の会社は残業ばかりで自分の時間が全く取れませんでした。」「給料が安くて生活が苦しかったです。」
• 例文（残業が多い場合）: 「前職では、多くの業務に携わる機会をいただき、非常に多くの経験を積むことができました。ただ、日々の業務に追われる中で、新しい知識やスキルを学ぶための自己研鑽の時間を十分に確保することが難しい状況でした。今後は、これまでの経験で培った効率的な業務遂行能力を活かし、限られた時間の中で最大限の成果を上げるとともに、自己成長のための時間も確保することで、長期的に貴社に貢献できる人材へと成長していきたいと考えております。貴社の〇〇という業務効率化への取り組みや、社員の成長を支援する制度に魅力を感じております。」
• 例文（人間関係が理由の場合 ※非常に慎重な表現が必要）: 「前職ではチームの一員として業務に取り組んでまいりましたが、より多様なバックグラウンドを持つ方々と協調し、それぞれの強みを活かしながら目標達成を目指せるような環境で、自身のコミュニケーション能力をさらに高めていきたいと考えるようになりました。貴社のチームワークを重視する社風や、社員同士の連携を促進する取り組みについて拝見し、そのような環境であれば、より大きな貢献ができるのではないかと感じ、転職を決意いたしました。」 （注意点）: 人間関係が理由の場合、具体的な不満には一切触れず、あくまで「より良い環境を求めて」というポジティブな表現に終始することが鉄則です。

会社の将来性や経営方針への不安があった場合（客観的かつ慎重に）

• ポイント: 会社への批判と受け取られないよう、客観的な事実に基づき、自身のキャリアプランとの間にズレが生じたというニュアンスで伝えましょう。そして、応募企業の将来性や方向性に共感していることを示すことが重要です。
• 例文: 「前職では〇〇事業に携わっており、一定の成果を上げることに貢献できたと自負しております。しかし、業界全体の大きな変化の中で、私が今後目指していきたいキャリアパスと、会社の将来的な事業戦略との間に、徐々に方向性の違いを感じるようになりました。より成長が期待される△△分野において、これまでの事務経験で培ったサポート力や情報処理能力を活かし、貴社の発展に貢献したいという思いが強くなり、転職を決意いたしました。貴社の△△分野における先進的な取り組みや将来性に大きな魅力を感じております。」

結婚・出産・介護などライフスタイルの変化があった場合

• ポイント: 正直に伝えることが基本ですが、それが仕事への意欲低下に繋がらないことを明確にしましょう。むしろ、新しいライフステージを迎えたからこそ、より腰を据えて長く働きたいという意欲を伝えることが大切です。
• 例文: 「この度、結婚という人生の節目を迎え、今後のライフプランを考えた際に、より安定した環境で腰を据えて長く働き、会社に貢献していきたいという思いが強くなりました。貴社では、福利厚生制度が充実しており、社員が長期的にキャリアを築けるようなサポート体制が整っていると伺い、大変魅力に感じております。これまでの事務経験を活かし、仕事と家庭を両立させながら、貴社の一員として貢献していきたいと考えております。」

契約期間満了・会社都合（倒産、事業縮小など）の場合

• ポイント: 事実を正直に伝え、決して自身の能力不足が原因ではないことを明確にしましょう。そして、その経験を踏まえて、次のステージでどのように貢献したいかという前向きな姿勢を示すことが重要です。
• 例文: 「前職では契約社員として〇年間、〇〇業務を担当しておりましたが、この度、契約期間満了に伴い、新たな活躍の場を求めて転職活動を始めました。契約期間中は、〇〇といった成果を上げることができ、事務スキルだけでなく、〇〇といった能力も向上させることができたと実感しております。これまでの経験を活かし、今後は正社員としてより責任のある立場で、貴社の〇〇業務に貢献したいと考えております。」

事務職の面接で「転職理由」を伝える際のNGな伝え方

以下のような伝え方は、面接官にマイナスの印象を与えてしまう可能性が高いため、絶対に避けましょう。

• 前職の悪口や不平不満を言う: 「給料が安かった」「上司が無能だった」「人間関係が悪かった」など。
• 他責にする: 自分の努力不足や改善行動を語らず、全て会社や周囲のせいにする。
• 待遇面（給与、休日など）だけを理由にする: 仕事内容への関心よりも、条件面ばかりを重視していると見なされます。
• 曖昧で具体性のない理由: 「なんとなく合わなかった」「もっとやりがいのある仕事がしたい」など、具体的に何が問題で、何を求めているのかが伝わらない。
• 志望動機と矛盾する理由: 例えば、「残業が多いのが嫌で辞めた」と言いながら、残業が多いことで知られる企業に応募するなど。
• 嘘をつく、話を盛る: 事実と異なることを話すと、後で必ず矛盾が生じ、信頼を失います。

「転職理由」と「志望動機」の一貫性が重要

「転職理由」は、単独で存在するのではなく、応募企業への「志望動機」と密接に関連している必要があります。面接官は、その一貫性から、あなたの転職に対する本気度や論理的な思考力を見ています。

「転職理由（前職では〇〇ができなかった・実現できなかった）」 → 「志望動機（だから貴社で〇〇をしたい・実現したい）」

このように、転職理由が志望動機に自然と繋がるようなストーリーを組み立てることが重要です。例えば、「前職ではルーティンワークが多く、スキルアップの機会が限られていた（転職理由）ため、貴社のように多様な業務に挑戦でき、研修制度も充実している環境で専門性を高めたい（志望動機）」といった流れです。

面接官からの深掘り質問にも備えよう

転職理由を述べた後、面接官からさらに深掘りする質問が投げかけられることがあります。

• 「具体的にどのような点が不満だったのですか？」
• 「その状況を改善するために、ご自身で何か行動されましたか？」
• 「当社でも同じような状況になった場合、どうされますか？」
• 「〇〇という理由で転職されるとのことですが、当社ではその点が本当に解決できるとお考えですか？」

これらの質問に対しても、慌てずに、前向きかつ建設的な姿勢で答えられるように準備しておきましょう。特に「改善するために行動したこと」は、あなたの主体性や問題解決能力を示す上で非常に重要です。

まとめ：ポジティブな言葉で、未来志向の転職理由を伝えよう！

事務職の転職面接における「転職理由」は、あなたのキャリアに対する考え方や、新しい環境で何を成し遂げたいのかを伝える絶好の機会です。ネガティブな側面があったとしても、それをポジティブな言葉に転換し、応募企業への貢献意欲や将来への展望に繋げることが成功の鍵となります。

この記事で紹介したポイントや例文を参考に、あなた自身の言葉で、誠実かつ前向きな転職理由を準備してください。しっかりとした準備と練習を重ねることで、自信を持って面接に臨むことができるはずです。あなたの転職活動が実りあるものになることを心より応援しています。

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岩下隼人

ロイヤル合同会社　代表

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。